紀ノ川沿いの農村地帯にあるホームだけの無人駅 和歌山線 大谷駅(和歌山県伊都郡かつらぎ町)
奈良県北葛城郡王寺町の王寺駅で関西本線から分岐し、大和高田市、五條市、橋本市、岩出市などを経て和歌山市の和歌山駅までを結ぶローカル線・和歌山線。五条から和歌山までは紀ノ川に沿ってのんびりと走っていく。その途中にある駅の一つが大谷(おおたに)駅だ。同名の駅は京阪京津線にもあるほか、気仙沼線の大谷海岸駅もかつては「大谷(おおや)」を名乗っていた。
大谷駅は昭和27(1952)年10月1日開業。当初から無人駅で、駅舎はない。駅入口も券売機と電話ボックスがあるだけで、駅名の看板も小さく駅としての主張は小さめだ。駅名は開業時の所在地・伊都郡大谷村に由来する。大谷村は昭和30(1955)年3月31日の合併で伊都郡伊都町となり、昭和33(1958)年7月1日の合併でかつらぎ町となり、今に至る。
ホームは一面一線。簡素な待合所が中程に設置されている。ホームの目の前に広がるのは梅畑。和歌山県は梅の出荷量が全国一位という梅の産地で、もちろんかつらぎ町でも梅の生産が盛んだ。
駅周辺は農村部で、かつらぎ町の中心からは少し離れている。そんな農村の風景の中で目を引くのが大正時代に建てられた旧:菊谷医院だ。平成28(2016)年まで二代に渡って医院として使われていた建物で、現在は「よりみち菊谷」として引きこもり・不登校支援のNPOの拠点として使われている。
大谷駅に停車する列車は日中は一時間に一本。途中下車して周辺を散策するにはちょうどいい列車間隔だ。国道沿いまで行けばラーメン屋もあるので旅の途中で降りてみるのもいいだろう。