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「クロース→モドリッチ」ではなく、「クロース→エムバペ」の転換点。マドリーがぶち当たる本当の壁。

森田泰史スポーツライター
レアル・マドリーに移籍したエムバペ(写真:ムツ・カワモリ/アフロ)

物事はシンプル・イズ・ベストである。

それは分かっている。問題は、そのシンプルな行いを、如何に実践に移すかだ。

このムーブにおいて、カルロ・アンチェロッティ監督の右に出る者はいない。彼はいとも簡単に、難しいことを、シンプルにやってのける。

レアル・マドリーでの3度のチャンピオンズリーグ制覇(2014年/2022年/2024年)が、そのことを物語っている。「CLに強いマドリー」とはいえ、これだけビッグイヤーを掲げられる指揮官は、そういなかった。

■レアル・マドリーの苦戦

ただ、そのアンチェロッティ監督が今季は苦しんでいる。

まず、今季のマドリーを語る上で、考慮しなければならないのは、トニ・クロースの退団だろう。クロースは、昨季終了時、電撃的に引退を決断。2014年夏以降、マドリーの中盤に君臨してきた男が、突如としてチームを去ることになった。

今季開幕の段階で、記者から「クロースの退団でどのような変化がチームにあるか」と問われたアンチェロッティ監督は、このように答えている。

「良い質問だ。そうだね…。チームの雰囲気という意味では、若い選手たちが、もっと責任を負っていくべきだ。戦術という意味では…(黙考)…見てみなければいけない」

「我々は、より縦に速いスタイルで戦うようになるかもしれない。エネルギーに満ちた選手が、多くいるからだ。その代わり、ボールを持つ時間は短くなる可能性がある」

■世代交代の意識

マドリーは、この数年、世代交代を意識して動いてきた。2022年夏、カゼミロがマンチェスター・ユナイテッドに移籍。2023−24シーズン途中からモドリッチはレギュラーではなくなった。そして2024年夏、クロースが引退した。

昨季限りで引退したクロース
昨季限りで引退したクロース写真:ロイター/アフロ

その一方で、エドゥアルド・カマヴィンガ(2021年夏加入/移籍金3100万ユーロ)、オウレリアン・チュアメニ(2022年夏加入/移籍金8000万ユーロ)、ジュード・ベリンガム (2023年夏加入/移籍金1億300万ユーロ)が加わった。

フェデリコ・バルベルデを含め、彼らは順調に成長してきた。だが、クロースとは、プレースタイルも、存在感も異なる。

しかし、マドリーには、モドリッチが残っているではないか。そのような声もあるだろう。

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スポーツライター

執筆業、通訳、解説。東京生まれ。スペイン在住歴10年。2007年に21歳で単身で渡西して、バルセロナを拠点に現地のフットボールを堪能。2011年から執筆業を開始すると同時に活動場所をスペイン北部に移す。2018年に完全帰国。日本有数のラ・リーガ分析と解説に定評。過去・現在の投稿媒体/出演メディアは『DAZN』『U-NEXT』『WOWOW』『J SPORTS』『エルゴラッソ』『Goal.com』『ワールドサッカーキング』『サッカー批評』『フットボリスタ』『J-WAVE』『Foot! MARTES』等。2020年ラ・リーガのセミナー司会。

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