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前回は53。「サッカー偏差値」に照らすと、いまの日本はどうなるか

杉山茂樹スポーツライター

世界のサッカー界全体の動きを気にしながら、国内の試合に臨まないと、井の中の蛙になる。

見えざるライバルを意識しながら、目の前のライバルに向き合う。日常の戦いと、見えざるライバルとの戦いと。サッカーの戦いには、大きく分けて2つのステージがある。 

受験生のライバルが、クラス内、学校内に留まらないのと同じ理屈だ。受験生には、したがって偏差値なる物差しが用意されている。これで自身の学力の全国比が露わになる。常に偏差値を気にしながら、勉学に励むこの受験生の意識と感覚。サッカー関係者にも不可欠なものだ。

選手、監督、審判、クラブ、協会。メディアやファンも同様だ。その国のサッカー偏差値は、サッカーに関わる人たちの平均値で決まる。偏差値的な考え方はサッカー界にも十分あてはまる。というわけで、ご承知の読者も多いかと思われるが、「日本サッカー偏差値52」なる本を、僕は数年前(2009年3月)に刊行した。以降も、ことあるごとに、サッカー偏差値という視点で、日本の立ち位置を記してきた。僕の独断的な視点ではあるけれど。

09年に52だったものは、2010年南アW杯を経て53、54まで上昇した。ドーハの悲劇(93年)前後を49とすれば、およそ20年かけて5ポイント上昇した計算になる。日本サッカー界は、じわじわと右肩上がりを続けてきた。このペースで行けば、20年後には偏差値60に到達する。つまり、W杯でベスト8以上を狙うことができる先進国の仲間入りを果たすことができる。そうした見通しは成り立ってしかるべきだった。

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スポーツライター

スポーツライター、スタジアム評論家。静岡県出身。大学卒業後、取材活動をスタート。得意分野はサッカーで、FIFAW杯取材は、プレスパス所有者として2022年カタール大会で11回連続となる。五輪も夏冬併せ9度取材。モットーは「サッカーらしさ」の追求。著書に「ドーハ以後」(文藝春秋)、「4−2−3−1」「バルサ対マンU」(光文社)、「3−4−3」(集英社)、日本サッカー偏差値52(じっぴコンパクト新書)、「『負け』に向き合う勇気」(星海社新書)、「監督図鑑」(廣済堂出版)など。最新刊は、SOCCER GAME EVIDENCE 「36.4%のゴールはサイドから生まれる」(実業之日本社)

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