アクセスは歩いて2時間半!なのにラグジュアリーな"ごほうび宿"が山の中に 奥鬼怒温泉郷「手白澤温泉」
鬼怒川温泉といえば、栃木県でも有数の観光地である温泉ですが、その温泉街を流れる鬼怒川の上流までさかのぼると、奥鬼怒温泉郷と呼ばれる4軒の秘湯が点在しています。
その中でも最も歩く距離が長い「手白澤温泉」は、お部屋も食事もとても山の中とは思えないラグジュアリーさ。お風呂もスタイリッシュで、もちろん温泉は源泉掛け流しの極上湯です。
奥鬼怒温泉郷へのアクセス
奥鬼怒温泉郷へのアクセスはなかなか困難で、鬼怒川温泉駅から1時半間以上バスに揺られて終点の女夫渕まで到着したら、ここからはいよいよ歩かなくてはなりません。同じ奥鬼怒温泉郷でも加仁湯と八丁の湯は宿泊客(及び送迎付きの日帰りプラン客)専用にシャトルバスを走らせていますが、手白澤温泉と日光澤温泉は自力でたどり着く必要があるのです。
登山というほどの難路ではありませんが、それなりに急な階段やぬかるんだ遊歩道なので、足元はハイキング~登山用の靴を履き、雨具や防寒具はきちんと準備した上で向かいましょう。
途中で八丁の湯、加仁湯といった秘湯の宿を経由して、一番奥まったところにあるのが今回ご紹介する「手白澤温泉」です。
「手白澤温泉」に到着!
「手白澤温泉」の館内へ
最後の沢、手白沢を渡って坂を上ればようやく到着。ここは奥鬼怒温泉郷の4軒のうち、唯一日帰り入浴を受け付けていませんから、こちらの温泉に入ろうと思ったらもう泊まるしか手はありません。
到着した時に玄関には看板犬の岳がいて、フレンドリーに出迎えてくれました。
館内のデザインには驚かされます。天井が高く、空間を贅沢に使った荘厳な雰囲気。床も隅々まで磨き抜かれています。本当にここは山の中なのでしょうか!
くつろげる客室
お部屋に入ると、広い!温かい!という印象。実は床下に温泉のパイプを通しているので、天然の床暖房になっているのだそう。暑い時は窓を開けて調節します。
お部屋の水道も、お湯を出すとゆで卵のようなにおいの温泉が出てきます。実はこの場所では、水よりも温泉の方が豊富なのです。
お部屋には浴衣、タオル、バスタオルの備え付けがあります。私のauのスマホは電波は入りませんでしたが、Wi-Fiがあるので不自由しませんでした。
手白澤の温泉
脱衣所も広く、日帰り入浴を受け付けていない全5室のお宿の脱衣所とは思えない空間の使い方。
「手白澤温泉」の女湯
浴室に入れば、内湯の奥に露天風呂が見えるようすがまるで絵のように美しい。
洗い場もユニークです。シャワーやカランの代わりに、まるでお風呂の湯口のようなものが取り付けてあります。
お湯を受ける所には木をくりぬいた臼のようなものが置かれていて、ここからお湯をすくえば洗髪時にシャンプーを流すのも楽に行えます。
「手白澤温泉」の泉質は硫化水素型の単純硫黄泉。メタケイ酸も130mg/1kg以上含まれており、美肌効果を期待したくなりますね。白い湯の花が多く、漂う硫化水素臭と合わせて山の温泉らしい風情を添えてくれます。
露天風呂は岩風呂で、森の中で湯あみしているような気分が味わえます。
「手白澤温泉」の男湯
取材時に、特別に男湯露天風呂も見学させていただきました。内湯、洗い場の作りは女湯も男湯もほぼ同じですが、男湯露天風呂はまるで宙に浮いているような特別感が味わえる作りです。
内湯から窓を通して露天風呂が見える女湯のデザインも捨てがたいのですが、男湯の天空の露天風呂も羨ましいと思います。
リピートしたくなる「手白澤温泉」のお料理
夕食はワインで乾杯
夕食というより、ちょっと気取ってディナーといいたくなる「手白澤温泉」の夕ご飯。何もかもが洒落ていて、何度も言いますが本当にここが歩かないとたどり着かない山奥の秘湯だとはとても思えません。
思わずワインで乾杯したくなる。
ついさっきまで生け簀で泳いでいたんですよ、と供される岩魚の塩焼き。鮮度だけでなく野性味まで感じられる味わいです。
やしおポークの角煮はお箸で簡単にほぐせる柔らかさでボリューミー。
デザートはリンゴのシャーベットで爽やかに品よく。コーヒー、紅茶はセルフサービスですが、個人的にはアールグレイのティーバッグを置いてくれるところが嬉しい。
朝食は温泉卵にご注目
朝食もどのお皿もとても美味しいのですが、その中でも特に印象に残る味なのは栃木の誇るブランド卵「那須御養卵」を使った温泉卵!
とろ~りとろけてコクと甘みが強い。まさに一度食べたら忘れられない味。アツアツご飯にかけて召し上がれ!
※食事のメニューは季節などで変更になることがあります。
「手白澤温泉」をチェックアウト
名残惜しいけれどもチェックアウトの時間が来ました。さて、看板犬の岳は、しばしば帰るお客さんの道案内をしてくれるといいます。果たして私たちは道案内してもらえるでしょうか。
あっ、案内してくれるようです。とても嬉しいです。このサービスは岳の気分次第なので、一日限定一組様かつ運次第ということになります。送ってもらえたら大ラッキー!
岳は振り返ったり横道に逸れたりしながら、徒歩約40分離れた八丁の湯までずっと道案内してくれました。どうもありがとう!
手白澤温泉
住所:栃木県日光市川俣870
電話:0288-96-0156(問い合わせ・予約受付時間 午前8時から午後9時まで)
公式サイト:手白澤温泉(外部リンク)
予約は電話のみ、日帰り入浴は受け付けていません