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ノート(36) 元特捜部長らを追い込むために続々と積み上がる供述調書

前田恒彦元特捜部主任検事
(ペイレスイメージズ/アフロ)

~解脱編(8)

勾留11日目

支離滅裂な対応

 この日の昼も、朝方に放送されたNHKラジオのニュース録音が流された。大坪さんと佐賀さんの2人が昨日夜に犯人隠避罪で逮捕されたとか、「被疑者として一般人同様に人権があるから」という理由を挙げ、最高検が彼らの逮捕時の認否を明らかにしなかったとか、本日、京都地検と神戸地検に捜索が入った、といった内容だった。

 大阪地検特捜部での勤務後、大坪さんは京都地検で次席検事を、佐賀さんは神戸地検で特別刑事部長を務めており、彼らの執務室が捜索の中心になるものと思われた。彼らの逮捕は既に知っていたことだったし、捜索も想定の範囲内であり、驚くものではなかった。

 しかし、リークの常習犯である最高検が、「被疑者として一般人同様に人権があるから」という理由を挙げ、元特捜部長らの逮捕時の認否を明らかにしなかったのは、まさしく笑止千万だった。

 僕の場合には、折りに触れ、故意ではなく過誤だと主張して容疑を否認しているとか、一転して容疑を認めたとか、大坪さんらの関与を認めたなどと、虚実ないまぜの情報をマスコミに内々でリークし、大きく報道させていたからだった。

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元特捜部主任検事

1996年の検事任官後、約15年間の現職中、大阪・東京地検特捜部に合計約9年間在籍。ハンナン事件や福島県知事事件、朝鮮総聯ビル詐欺事件、防衛汚職事件、陸山会事件などで主要な被疑者の取調べを担当したほか、西村眞悟弁護士法違反事件、NOVA積立金横領事件、小室哲哉詐欺事件、厚労省虚偽証明書事件などで主任検事を務める。刑事司法に関する解説や主張を独自の視点で発信中。

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