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MLBでも「20勝デュオ」は稀少ながら…。昨年結成したバーランダーとコールは17年ぶり

宇根夏樹ベースボール・ライター
左から4人目と5人目が,J.バーランダーとG.コール Jul 7, 2019(写真:USA TODAY Sports/ロイター/アフロ)

 昨シーズン、ヒューストン・アストロズでは「20勝デュオ」が結成された。ジャスティン・バーランダーゲリット・コール(現ニューヨーク・ヤンキース)が、それぞれ21勝と20勝を挙げた。2002年の2組、アリゾナ・ダイヤモンドバックスで24勝と23勝のランディ・ジョンソンカート・シリング(彼らは2001年も21勝と22勝)、ボストン・レッドソックスで21勝と20勝のデレク・ロウペドロ・マルティネスを最後に、「20勝デュオ」は途絶えていた。

 かつて、これほど長いブランクは存在しなかった。それまでは、1994~98年の5年間が最長だった。ストライキによって短縮されたシーズンを含めなければ、1986~89年の4年間が最も長かった。

 ただ、17年ぶりの「20勝デュオ」はそれほど話題にならなかった。今や、シーズンの白星(と黒星)は「投手を評価する指標」としての地位を大きく下げている。バーランダーとコールが、ア・リーグのサイ・ヤング賞投票で1位と2位にランクインしたのは、白星の多さが主な理由ではない。

 その上、彼らは「20勝デュオ」よりも稀少な「300奪三振デュオ」を結成した。こちらも、17年ぶりという点は同じだが、2002年のランディ(334奪三振)とシリング(316奪三振)は史上初、2019年のバーランダー(300奪三振)とコール(316326奪三振)は2組目だ。

 ランディとシリングは、2001年も2002年も、ナ・リーグのサイ・ヤング賞投票1位と2位だった。こちらは、ランディとシリングが3組目、バーランダーとコールは4組目。彼らの前には、1956年にブルックリン・ドジャースのドン・ニューカムサル・マグリー(5月にクリーブランド・インディアンズから移籍)、1974年にロサンゼルス・ドジャースのマイク・マーシャルアンディ・メッサースミスが、それぞれトップ2を占めた。

 ちなみに、2002年のロウとペドロは、ア・リーグのサイ・ヤング賞投票3位と2位。オークランド・アスレティックスのバリー・ジートが受賞した。この当時はまだ、勝敗がかなり重要視されていた。

筆者作成
筆者作成

 今シーズン、バーランダーはザック・グレインキーと「20勝デュオ」を結成するかもしれず、コールも田中将大とそうなる可能性はある。けれども、「300奪三振デュオ」はなさそうだ。あるとすれば、ワシントン・ナショナルズの2人、マックス・シャーザースティーブン・ストラスバーグだろう。

 なお、デュオに関する「姉妹編」はこちら。

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ベースボール・ライター

うねなつき/Natsuki Une。1968年生まれ。三重県出身。MLB(メジャーリーグ・ベースボール)専門誌『スラッガー』元編集長。現在はフリーランスのライター。著書『MLB人類学――名言・迷言・妄言集』(彩流社)。

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