有名レストランでオリーブ牛のコース 完成までに3ヶ月もかけた珠玉のメニューとは?
オリーブオイルで有名な香川県
香川県の小豆島はオリーブオイルの産地として有名です。1908年に日本で初めて栽培を開始し、オリーブオイルの生産量は日本一を誇ります。
このオリーブを用いたサステナブルな循環型農業で育まれた黒毛和牛が、オリーブ牛です。オリーブ牛にはオリーブオイル搾油後の果実が飼料として与えられ、その排泄物はオリーブ栽培のために堆肥として使用されています。
オリーブ牛は良質なオレイン酸を摂取しているので、肉質がやわらかく、味わいにコクがあり、旨味のある脂質が特長です。
香川県を楽しめるコース
オリーブ牛は食味に優れていますが、東京では食べられる機会が多くありません。しかし今であれば、オリーブ牛に加えて、香川県の食材をふんだんに用いたコースが楽しめます。
それは、2022年7月6日から8月31日にかけて行われている、パーク ハイアット 東京「ニューヨーク グリル」の「オリーブ トゥ ビーフ」(4品 19,800円、5品 23,100円)。料理長のポール ガヤフスキー氏が、オリーブ牛を始めとした香川県の魅力を余すところなく表現したコースに仕上げました。
料理を詳しく紹介していきましょう。
香川県産オリーブ ポークテリーヌトースト
コースのショーケースの役割を担わせた最初の一品。まずオリーブそのもののおいしさを味わってもらいたいからと、香川県のグリーンオリーブがホールで添えられています。トーストしたホールウィートブレッドの上には、ピスタチオ、乾燥させたブラックオリーブ、国産ポークのテリーヌ、オリーブオイルキャビア。クミンなどスパイスのアクセントもあり、シャンパーニュとの相性も抜群です。
国産サーモンのシトラスマリネ 花丸胡瓜 ホースラディッシュクリーム バエリキャビア チャイブオイルヴィネグレット
サステナブルなサーモンをシトラスで爽やかにマリネしました。その上にはキャビアとイクラを載せ、メリハリのある味わいと彩りに。花丸胡瓜とディルの花、香川県産のミョウガ、イタリアンパセリが添えられ、仕上げにチャイブオイルとバターミルクのドレッシングが目の前でかけられます。
スイートコーンのヴルーテ コンキリエパスタ トリュフムース
スイートコーンを用いたヴルーテは濃厚ながらもさらりとした喉越し。コンキリエにはコーン、チキン、なめらかなトリュフムースが詰められていて、甘味のあるヴルーテにたっぷりの旨味と香気が添えられています。チャービルやアマランサスをあしらい、より華やかになっています。
サステナブルカナディアンロブスターのグリル チェリートマトのオリーブオイルコンフィ バジル
サステナブルカナディアンロブスターを鮮やかにグリルしました。ロブスターは身が大きいのでプリッとした弾力が感じられ、しっかりとした滋味も味わえます。チミチュリソースがほのかにスパイシーなアクセント。赤と緑のチェリートマト、ズッキーニと夏野菜もふんだんに合わせています。
西瓜 サングリアインフューズド オレンジゼスト ソレル
メインディッシュの前に口直しを。夏の味覚であるスイカに、サングリアの味わいを加えて上品な味わいに仕上げました。オレンジゼストの酸味と苦味が心地よいです。
香川県産オリーブ牛サーロインのグリル グリーンアスパラガスとハーブクラスト マデイラワインソース
オリーブ牛のサーロインはシェフおすすめのミディアムレアにグリルして、美しいロゼ色に。妙妙たる赤身肉の味わいと奥行きのある和牛香が堪能できます。芳醇な風味のマデイラワインソースは、旨味のあるオリーブ牛との相性が抜群です。グリーンアスパラガスの上にはハーブクラストが載せられ、ハーバルな香りとテクスチャの変化を。
ダークチョコレートオリーブ ピスタチオクリーム チェリー グリオットコンフィー オリーブオイルアイスクリーム
ダークチョコレート、オリーブ、ピスタチオ、チェリーが協奏したアシェットデセール。食味と食感にメリハリがあり、曲線を描いたプレゼンテーションも秀抜です。オリーブオイルの繊細な幽香で、最後が締めくくられます。
ワインペアリングとカクテル
料理に寄り添うワインや、「オリーブ トゥ ビーフ」に合わせたカクテルも充実。
「5杯のワインペアリング」(9,350円)は、夏にぴったりなシャンパーニュの「ルイナール ブリュット ブラン ド ブラン」に始まり、「カラ マリー ザ ラ ラ リースリング」「ケン ライト セラーズ シャルドネ」といった白ワイン、ロゼワインの「ソーコル ブロッサー エステート ロゼ オブ ピノノワール」に赤ワインの「レコール No.41 ペリジー エステート グロウン」とバリエーション豊か。それぞれのメニューにピタリとマリアージュするセレクションです。
今フェアに合わせたカクテルも白眉。「ソルティ ガルフ」(2,640円)は香川県にある綾菊酒造の本格焼酎「ダイシモチ」と西野金陵の桃を用いたリキュール「さぬきのももも」などを合わせており、和洋折衷のバランスが出色です。「ウィンドミル」(2,640円)は西野金陵の「瀬戸内オリーブ純米吟醸」をベースとし、京都ドライジンの「季の実」やボタニカルな要素を加えた、クリエイティブなマティーニ。
「オリーブ トゥ ビーフ」が行われた背景
どういった経緯で「オリーブ トゥ ビーフ」が行われることになったのでしょうか。
ポール氏は振り返ります。
「オリーブ牛は循環型農業で育成されており、国内外から注目されています。サステナブルなシステムであることに加えて、肉質も素晴らしいので、オリーブ牛のフェアを行えないかと思っていました」
パーク ハイアット 東京は他のホテルに先駆けて、サステナビリティに力を入れてきただけに、ポール氏が関心を寄せるのも自然なことでしょう。
オリーブ牛の魅力について、次のように説明します。
「干し草に加えて搾油後のオリーブが与えられているので、奥行きのある風味と豊かな旨味があります。オレイン酸によって脂の融点が低くなり、口当たりもよいですね」
メニュー完成までに3ヶ月
コースを完成するまでに時間を要したといいます。
「コンセプト自体は4ヶ月くらい前に決まり、サステナブルな方法で育成された牛肉を探すことに注力していました。メニューが完成するまでに3ヶ月ほどかかり、ほんの数週間前に確定しましたね」
最も力を入れているメニューはどちらでしょうか。
「いつも全ての料理に同じエネルギーを注いでいます。それは今回も同じですが、オリーブを使用したデザートは驚きがあると思いますので、ゲストの反応が楽しみですね」
最後にポール氏はオリーブ牛についてこう結びます。
「独特の飼育方法と素晴しい味わいによって、ますます評価されるのではないでしょうか。今後もオリーブ牛を使っていきたいですね」
※価格は全て税込・サ別