老後2000万円問題 3%インフレが継続すれば2000万円の価値は40年後に600万円に #年金問題
かつて、「老後2000万円が必要」とメディアで話題になったことがありますが、日本では少子高齢化や債務の増加から将来の年金は今よりも条件が悪くなる可能性があります。
「財政検証」(将来の公的年金の財政見通し)が5年に1度実施されていますが、様々な要因によって、将来の年金額は変動しかねません。
2019年の所得代替率(年金を受け取り始める時点における年金額が現役時代の手取り収入額と比べてどれくらいの割合かを示すもの)は61.7%ですが、2046年には51.9%にまで低下するという予測もあります(財政検証 2019年度)。
そもそも諸外国は年金だけでは生活できない
これは日本だけではありません。他国では現時点でも現役時代の半分も年金がもらえない国はたくさんあります。年金はもらえなくなるわけではなく、支払った額以上には戻ってきます。しかし、現在程は恵まれていないかもしれないという覚悟を持ち、年金に頼りすぎない資産形成が必要です。
また、インフレが進めば老後資金は現金で2000万円を置いておくだけでは足りなくなる可能性もあります。なぜなら、インフレの中、一番ダメージを被るのがインフレに伴って増加する可能性の高い賃金を得ていない年金生活者だからです。
給与所得者の場合、物価上昇は、タイムラグはあっても、賃金にある程度反映されると考えられます。年金は物価や賃金の変動率のほかに、マクロ経済スライドによる調整が行われています。物価が上がっても、実質賃金が下がれば、物価上昇に見合うほどには年金額は増加しない場合もあるわけです。
3%インフレが継続すれば2000万円の価値は40年後に600万円に?
インフレの影響を考慮に入れて老後のお金を考えてみましょう。毎年3%ずつ物価が上昇した場合、現在100円の物は、5年間で約116円まで上がります。5年後の現金100円の実質的な価値は、現在の約84円まで目減りすることになります。
物価がこのまま20年間、毎年3%ずつ上昇した場合はどうなるでしょうか。100円の物の値段は約180円となり、現金の100円の実質的価値は、約55円まで目減りします。40年後は、物の値段は約326円円まで上昇し、現金の価値は約30円まで目減りする計算です。つまり、頑張って老後資金2000万円を貯めたとしても、20年後の実質的な価値は約1100万円、40年後の価値は約600万円ということになります。
現在の資産を守るためには資産運用をして、インフレ率以上のリターンを目指す必要があります。欧米ではインフレ率+3〜4%を目標設定するのが一般的です。
運用をすればもちろん老後資金も増えていきますので、貯金だけで貯める必要はありません。また、継続して物価が2〜3%上がり続ければ、銀行金利も上昇する可能性も高いでしょう。必要以上におそれることはありませんが、多くの方にとって資産運用は必須となるでしょう。
また、キャッシュフロー表を作り試算をすることも重要です。インフレと運用益を考慮したキャッシュフロー表を作ることをお勧めします。
関連記事