U-NEXT、米メジャー配信サービス・Maxと独占提携 日本コンテンツ世界配信にも進出
さまざまなジャンルのコンテンツを取り揃える動画配信サービス・U-NEXTの新戦略発表会が9月19日、都内にて行われ、U-NEXT代表取締役社長の堤天心氏とCOOの本多利彦氏が登壇。
米大手メディアグループであるワーナー・ブラザース・ディスカバリー(WBD)と新たな独占パートナーシップ契約を締結し、9月25日より同社の動画配信サービス・MaxがU-NEXT内で視聴できるようになることを発表した。
これにより、Maxの2500作品以上、1万6000エピソード以上におよぶ膨大なライブラリがU-NEXTのコンテンツに初年度から加わる。
同時に、U-NEXTからMaxへの作品供給もスタート。U-NEXTの日本コンテンツを全世界に配信することで、グローバルにおける日本IPの発掘、育成においても両サービスが協業していくことになる。
もともとU-NEXTは、2021年3月にワーナーメディア(現WBD)のHBO MaxとSVOD(月額会員は追加料金なく見放題)における独占パートナーシップを締結し、いち早く同メディアグループのコンテンツを日本に届けていた。
このたびのパートナーシップは、U-NEXTにとってこれまでの作品提供を受けるライセンスパートナーから、プラットフォームとしてコンテンツの相互やりとりを含む提携パートナーへの進化なり、日本コンテンツの世界配信という新たなフレームを実装することになる。
すでにオリジナルIP開発やコンテンツ制作に注力してきているU-NEXTだが、今回のWBDとの提携により、国内のグローバルプラットフォームと比較しても遜色ないコンテンツ数を有するのと同時に、映像をはじめとしたコンテンツ制作分野における存在感をより高めていくことになりそうだ。
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国内外メディアミックスを視野にしたIP開発へ
WBDは世界で1億330万人の会員を有し、Maxはその主力となる動画配信サービス。現在は北米、南米、ヨーロッパを中心に65の国と地域でサービスを提供しており、この先1〜2年でその他の地域へのサービス拡大を進める予定。
会見に登壇したWBDアジア・パシフィックプレジデント、ジェームズ・キボンズ氏は「アジア太平洋地域は、Maxのサービスを世界に拡大し、コンテンツを配信していくうえで、重要な発信源と捉えています。そのなかで日本の重要性は増しており、市場としても成長のポテンシャルは高い。U-NEXTとのこれまでのパートナーシップを進化させ、より多くのコンテンツをいち早くタイムリーに届けていきます」とアピールした。
一方、U-NEXTの本多COOは、今回のMaxとのパートナーシップによる日本コンテンツの世界配信について言及し、「日本のエンターテインメント文化を世界に発信し、日本コンテンツのファンダムの創出、拡大に貢献していきたい」と力を込めた。
堤社長は、現在NHK BSで放送中のドラマ『団地のふたり』や、実写ドラマ化が決定しているコミック『五十嵐夫妻は偽装他人』など、オリジナルIP開発からのメディアミックスが実現していることを挙げ、こう強調した。
「2020年8月よりオリジナルIP開発をスタートし、書籍、コミック、縦スクロールコミックとジャンルを増やしてきたなか、今年はじめて実写化が実現しました。これからは、国内外のメディアミックスを視野に、より一層オリジナルIP開発に注力していきます」(堤社長)
プラットフォームとしての次のステージへ
U-NEXTは、プロサッカーリーグ「プレミアリーグ(イングランド1部)」との7年間にわたるパートナーシップ契約による独占配信(国内における全380試合)を8月にスタートしたばかり。
昨今では、音楽やスポーツ、格闘技などのライブコンテンツを拡充するなか、Paraviとの統合による国内ドラマ、バラエティなどのテレビ番組のほか、HBO Maxとの提携による海外ドラマ、映画などを含め、国内サービス最大となる圧倒的なコンテンツ数を誇ってきた。また、漫画や雑誌、書籍も読めるユニークなサービス形態でも会員の裾野を広げている。
コロナ禍のあとも順調に成長を遂げてきたU-NEXT。現在の会員数は450万人を超えている。今回のMaxとの新たなパートナーシップがエンジンとなって、プラットフォームとしての次なるステージに向かっていく。
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