絶やせない歴史のお菓子はもちもち&キクラゲ入り?!「けんちん」ビスマン本舗殿畑双葉堂さんが紡ぐ味わい
郷土料理や郷土菓子といった、かつては各家庭で作られていた料理やお菓子が、いつの間にか身の回りから消えていた、または消えつつあるという事態に直面したことはありませんか?美味しいのに、なぜだろう?と思ったり、確かに作るのは手間がかかるし、昔ほど世帯の人数が多いわけでもないし…と、様々な事情があるかと思います。
確かに、一度に少量ずつ作ることが難しいというお菓子、それでいて日持ちがしないお菓子というものもあります。
大分県中津市。この地方に伝わる和菓子に「巻蒸」というお菓子があります。まきむし、と読みたくなるのですが「けんちん」と読みます。
江戸時代、中津藩出身の田中信平という医師が長崎にて蘭学を学んだ際に、中国(清国)より伝わりし料理を目の当たりにし、それを中津へ持ち帰った際に職人が和菓子にアレンジしたものなのですが、実は今お作りしている和菓子屋さんは検索しても一店舗のみ。(お取り寄せでは日本料理のお店でお作りなになっている場所も)
今回は、ビスマンというビスケットのような生地の焼菓子でもお馴染みの「ビスマン本舗殿畑双葉堂」さんの「けんちん」をご紹介。
中津市特有のけんちんの大きな特徴のひとつに、きくらげがたっぷり入っているということがあげられます。全国的に見てもきくらげを使用し通年販売している和菓子は少なく、そこからも希少性が伺えます。
溶かした吉野本葛粉をベースにお砂糖、刻んだ蜜付けの栗や手亡豆、そしてきくらげをあわせた具沢山の蒸し菓子といいますかお料理といいますか…勿論お味は甘いのでお菓子なのですが、一見するとお料理にも見えますね。にこごりのような。
外郎のようにも見えますが、食感はむっちりとしていてより歯切れも良く、外郎と若干かまぼこを合わせたような歯ごたえです。ふっくらとした蜜付けの栗と手亡豆の素朴な甘さとほくほくとした食感と同時に、こりこりとした軽快なきくらげが登場!なんでしょう、人生初の一口目はきくらげの食感と噛みしめると滲むほのかな苦味が全てをかっさらっていったのですが、ふたくちめからは山の恵みの甘さを素直に楽しめると申しますか。
郷土菓子として調べていると、軽くレンジで温めても美味しいと記載されていたので人肌より少しだけ温かめで加熱。確かに、甘さが際立ってよりお菓子らしくなります!一度に沢山の量を食べることは慣れなければ難しいかもしれませんが、これは薬膳カフェやヴィーガンカフェで提供されていても違和感がありません。
伝統的な和菓子ではありますが、アジアンスイーツのような一面もあわせた和菓子でした。
一度は召し上がっていただきたい中津の食文化「巻蒸」。もし出会う機会がございましたら、ぜひ日本の歴史の一部をご堪能あれ。
余談ですが、私は温めたこちらのけんちんが非常に食べやすく、一日で半分食べてしまいました。
最後までご覧いただきありがとうございました。
<ビスマン本舗殿畑双葉堂・本店>
公式サイト(外部リンク)
大分県中津市植野523-2
0979-32-6151
8時~17時
定休日 元旦