静岡で“再出発”の元DeNA倉本寿彦、NPB復帰は「目標でもあり、そこを目指して僕は頑張ってる」
「挑戦」をテーマに掲げ、今シーズンからプロ野球(NPB)の二軍、ウエスタン・リーグに参加している新球団、くふうハヤテベンチャーズ静岡。母体もなく、まったくのゼロからスタートしたチームだけに前半戦は29もの借金を抱えてリーグ最下位と苦しんだが、その中でもしっかりと存在感を示している元NPB選手がいる。
現役時代は近鉄バファローズ(現在のオリックス・バファローズの前身球団の1つ)の守護神として活躍した赤堀元之監督も「しっかりと(打)率も残していますし、いいところで打ったりもしてますから」と言うその選手こそが、2022年までは横浜DeNAベイスターズに在籍していた倉本寿彦(33歳)だ。
前半戦は打率.333、出塁率.384。三塁の他、遊撃守備も
「(試合から)離れる時間がちょっと多かったので、そこはすごい悔しいというのはありますけど、それはそれでいい時間になったというかプラスになったんで。故障で外れてたんですけど、その時期に出会った人たちに助けてもらってまたこうやってグラウンドにも立ててるんで、そこは感謝してやっていかないといけないなって思ってます」
DeNAを戦力外となり、昨年は古巣の社会人・日本新薬でプレー。今年からは新生・くふうハヤテで「新たな挑戦」に臨んでいるが、そのシーズン前半戦を倉本はそんなふうに振り返る。
シーズン序盤は一時、ウエスタン・リーグの打率トップに立つなど出足は悪くなかったものの、故障のために4月下旬からは長期の離脱を強いられた。それでも7月2日のオリックス戦(ちゅ~るスタジアム清水)で代打として復帰すると、4日の同カードから指名打者、10日の阪神タイガース戦(阪神鳴尾浜球場)からは三塁手としてもスタメン出場するなど、復帰後の10試合で打率.316(19打数6安打)をマークした。
結局、前半戦はトータルで34試合の出場にとどまったが、うち13試合で三塁を守った他、6試合で遊撃の守備にも就いた。規定打席(203)には遠く及ばないとはいえ、打率.333(90打数30安打)、12打点、出塁率.384という成績はさすがと言っていい。
「やるべきことに集中してできているのが、いい結果を生んでる」
「まあ、あまり結果を気にせずというか、自分のやるべきことに集中してできているのが、いい結果を生んでるのかなと思います。もちろんヒットも打ちたいですし、毎日試合に出て活躍したいっていう気持ちもあるんですけど、打席に立ったら自分の空間に集中できているっていうのが今いいのかなと思ってます」
ドラフト3位で2015年に入団したDeNAでは、主に遊撃手として8年間プレー。2年目の2016年にはセ・リーグ7位の157安打、同11位の打率.294を記録するなど、通算667試合の出場で477安打、8本塁打、149打点、打率.255の成績を残した。
倉本はくふうハヤテに入団した当初、「ベイスターズを自由契約になった時は『ここまでかな』っていうのもすごい感じましたけど、社会人(日本新薬)を辞めた時は『まだできるぞ』と思っていたので」と、一軍を持つNPB球団復帰への思いも口にしていたのだが、その思いは今も変わらない。
「目標でもありますし、そこを目指して僕は頑張ってるんで。(NPB球団で)やりたい気持ちはありますし、そこ(シーズン中の復帰)がダメでもシーズンオフにいい話、チャンスがあればと思います。前を向いて頑張りたいです」
今日からの後半戦は「フルで出られるように頑張りたい」
もちろんくふうハヤテの一員としては、これも入団当初に「僕自身はやっぱり勝ちたい。それが一番最初に来てます」と話していたとおり、1試合でも多く勝つという大きな目標がある。
「チーム自体、力もついてきて戦えるところまで来てるんで。もうちょっと勝ちたいなっていうのもあるんで、ちゃんとフルで出られるように頑張りたいなと思います」
33歳という年齢もNPB通算667試合出場という実績も、チームの野手では35歳、通算785試合出場の福田秀平(前千葉ロッテマリーンズ)に次ぐ。自ら「声とかで引っ張るタイプじゃない」という倉本だが、後半戦はNPB球団復帰という自身の目標も見据えながら、勝利に向かってその背中で若いナインを引っ張る。
(文中の今季成績等は7月25日現在)
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