政治家のSNS投稿は歴史資料?ノルウェー国立図書館が保存を希望
TwitterやFacebookで繰り広げられる政治家と市民の交流、大物政治家たちの政策議論。歴史資料としての価値があるとして、ノルウェーの国立図書館 ディレクターのミーレ氏は資料としての保存を希望している。
ノルウェーの政治家たちは、Facebook、Twitter、Snapchat、Instagramを日常的に利用。アーナ・ソールバルグ首相は自らフォロワーに返信し、議論に参加することで有名だ。
SNSでのやり取りが大好きなノルウェー首相
2014年には、ソールバルグ首相は「Twitterフォロワーと積極的に対話をする閣僚」として、欧州で1位、世界では5位に位置づけられた(国営放送局NRK報道、Twiplomacy研究結果)
ほとんどの言動が物議を醸しだすシルヴィ・リストハウグ移民・統合大臣のFacebookアカウントには11万8千人ものフォロワーがいる。「ノルウェーのメディアは左派的だ」。不満を抱えた一部の有権者は、伝統メディアから右派ポピュリスト政党のアカウントに流出しており、記者たちは不安を隠せない。
右派・左派問わず、ノルウェーの政治家たちは記者に連絡することより、自分個人や政党の公式SNSアカウントで政策議論を好む傾向が年々強まっている。
「政治家は批判的に報道されることから逃げてはいけない」と報道陣たちからは懸念する声が目立つ。
先日、首都オスロでは両者を招いて、「伝統メディアは必要とされなくなるのか?」というトークショーもおこなわれたばかり。
このように、今の政治の動きはSNSで繰り広げられている。だが、もし、首相たちが明日突然アカウントを停止して、過去の投稿を削除するとどうなるのだろうか? その価値ある資料は誰もアーカイブとして管理していないため、消滅してしまう。
国立図書館のミーレ氏が心配していることがまさにこれだ(NRK)。
法の改正により、ノルウェー国立図書館は7月1日より、ノルウェーのサイト上での記録の保存が可能となる。しかし、FacebookやTwitterは国外の企業により運営されているため、図書館は勝手に保存することができない。
ノルウェー首相(保守党)の同僚にグランデ党首(自由党)がいる。両者は国会で審議中にポケモンGOをして遊んでいた政治家として、世界的なニュースになったことでも知られている。
SNSでもアクティブなグランデ党首は、国立図書館がトップ政治家たちの投稿を記録することは問題はないとしている。しかし、政治家と対話する一般市民の投稿までも一緒に記録されるかもしれない可能性には懐疑的だ。
「次の日に、自分の投稿を後悔することもあるでしょう。自分の意見を安心して述べることができる場所が確保されていることも、大事なのでは」とNRKのニュース番組で語った。
Text:Asaki Abumi