ノルウェーの首相、国会の審議中にポケモンGOで遊ぶ 「女性は同時進行型」とゲーム仲間の政治家は擁護
10月5日、とうとう、ノルウェーのアーナ・ソールバルグ首相が、国会でポケモンGOをプレイしているところを、報道陣にキャッチされてしまった。
国会での自身の席で、首相はポケモンGOの画面を開く。しかし、「GPSの信号がなかったようです」と、クラッセカンペン紙で報道される。6日に国家予算が発表される直前とあり、「首相も疲れているのでしょう、少しぐらい休憩させてあげれば」とコメントする政治家までいた。
首相がポケモンGO。これは、恐らく時間の問題だろうと、現地の記者なら思っていたのではないだろうか。首相だけではなく、政治家たちもポケモンGOにはまっていることは、周知の事実だった。
筆者は、先日カフェで新聞を読んでいた。その日は、ピュリツァー賞の 「ナパーム弾の少女」写真を、自動ポルノ写真だとして、フェイスブックが削除し、それに対してノルウェー首相が抗議したことが、世界中で大きな話題となった直後だった。
地元紙は、この日の記事でこう伝えていた。「金曜日は、首相のフェイスブックの投稿に、どのネットメディアも夢中になっていました。気になるのは、ポケモンの調子はどうかということです。次はこんなタイトルのニュースはどうでしょう。『最新ニュース、首相がピカチュウを捕まえる』、『グランデ党首がレベル15に』」。
このように、ノルウェーでは「不謹慎だ」と冷たい視線や批判を浴びるよりは、笑いのネタになっている状態だった。
ノルウェーのリーダーたち、国会や報道陣のカメラがあるにも関わらず、ゲームするほど依存中
8月にも自由党のグランデ党首が、軍の問題の議論の最中に、ポケモンGOで遊んでいる姿が報道陣によってキャッチされてしまった。審議中、地元のVG紙にコメントを求められ、何か別のことをしながらのほうが、「しっかり聞くことができる」と、さらりと回答していた。
審議の様子は国会の公式動画でも録画されていた。同党首はポケモンGOの画面をオンにした状態のまま、審議中に質問、質問後はスマートフォンの画面に視線を戻し、ポケストップでアイテムを手に入れていた。
グランデ党首が審議中にプレイしていたことは、世界各国で国際ニュースに。「ポケモン・グランデが、世界中で注目を浴びる」と、国内でさらに盛り上がった。
国会の周辺にはポケストップがあり、国会内部は絶好の遊び場になっていることは、与野党の複数の政治家たちが、各々のSNSで喜んで伝えていた。
ゲームがリリースされて以降は、どの政党の政治家も、熱中していることをオープンにしていた。首相が所属する保守党も、党の公式インスタグラムで、ポケモンを見つけて喜ぶ写真を投稿するほどだ。
筆者が様々な現場で取材中も、テーマに関わらず、マイクをもってスピーチをする政治家たちが、「みなさん、ポケモンGOを楽しんでいますか?仕事中に遊んでいませんか?」と冗談にしていた。
実は、首相がこの日にポケモンGOで遊ぼうとしていた瞬間、国会の壇上に立ち議論していたのは、ゲーム仲間の自由党・グランデ党首だった。
クラッセカンペン紙に対し、首相は「彼女の話の最中に、私がゲームのページを開いたことを、グランデはきっと面白がっていると思いますよ :)」と、笑顔のマークを付けてコメント。グランデ党首も、自身のツイッターで、「首相は、きっと私の話を聞いていたでしょう :)私たち女性は、2つのことを同時にできますからね」と投稿。
首相がポケモンGOで国会で遊んでいたことは、ガーディアン紙などですぐさま報じられた。
Norway's PM caught playing Pokemon Go in parliament
ノルウェーの首相や記者たちは、恐らく今の状況を、面白がっているだろう。とはいえ、首相のフェイスブックには、「議会で話を聞くことより、ポケモンGOのほうが大事なのですか?学校の生徒たちは、携帯電話を持ち運びたがるでしょう。このようなルールを作るのは、あなた方政治家なのですよ」と抗議する国民もいた。
明日の6日は、それよりも国家予算の発表だ。記者たちはポケモンGOのネタはすぐ忘れるだろう。……他国では国際ニュースとして、また駆け巡り続けそうだが。
Photo&Text: Asaki Abumi 冒頭写真の1枚は、保守党の公式インスタグラム@hoyreより