米兵女性暴行事件、沖縄県の玉城デニー知事による防衛省と外務省への抗議要請文(全文)
沖縄で起きたアメリカ軍兵による女性への性的暴行事件をめぐり、沖縄県の玉城デニー知事が7月3日に上京し、防衛省と外務省を訪れて抗議した。抗議要請文の全文は以下の通り。外務省への抗議要請文は、宛名が「防衛大臣 木原稔殿」から「外務大臣 上川陽子殿」と変わっているだけで同じ内容となっている。
防衛大臣
木原 稔 殿
沖縄県知事 玉城デニー
在沖米軍兵による性的暴行事件等について(抗議)
昨年12月に米空軍兵による16歳未満の少女に対する誘拐と不同意性交等事件が、また、今年5月に米海兵隊員による女性に対する不同意性交等致傷事件が発生しました。
米軍兵士によるこのような非人間的で卑劣な犯罪は、女性の人権や尊厳を蔑ろにする重大かつ悪質なものであり、断じて許すことはできず、強い憤りを禁じ得ません。また、このような悪質な事件が立て続けに発覚したことは、県民に強い不安を与えるものです。
特に、12月に発生した事件は未成年者誘拐事件でもあり、本来であれば子どもたちを誘拐から守ることを最優先に、直ちに関係機関、地域が連携して安全確保に取り組むべき事案であったと考えます。しかしながら、県や地元自治体に一切の連絡がなく、結果、県として何ら対応をとることができなかったことは、極めて大きな問題であると考えております。
ついては、事件に強く抗議するとともに、このような事件が二度と起きないよう、下記の事項について要請します。
記
1 日米両政府において、より実効性のある再発防止策を早急に講じ、その内容を県民に公表すること。
2 リバティ制度における外出制限措置の更なる厳格化を図るとともに、在沖米軍兵士に対する教育や管理を徹底させること。
3 日米両政府において、被害者に対する適切な補償を遅滞なく実施すること。
4 平成29年4月以降開催されていない「米軍人・軍属等による事件・事故防止のための協力ワーキングチーム(CWT)」を速やかに開催すること。
5 米軍人による事件・事故について、県への通報を徹底すること。
なお、抗議要請文の中で述べられた「リバティ制度」とは、2012年10月に沖縄本島中部の住宅街で米海軍兵2人が帰宅途中の20代女性に性的乱暴をした集団女性暴行事件が導入の発端となった制度で、米兵らの外出・基地外飲酒を制限する勤務時間外行動指針だ。沖縄県民の反発を受けた在日米軍が全軍人を対象に深夜の外出禁止令(午後11時~午前5時)を発令した。しかし、米軍は2022年12月、このリバティ制度を緩和した。その後、米軍犯罪が増加傾向にある。沖縄県はリバティ制度の規制強化を訴えている。
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