「ミロ」が救う?やる気が出ない、疲れやすい。。。そんな人が食べるべきものは?
昨年9月と12月に栄養機能食品「ミロ」が突然販売休止になり、やっと3月に販売が再開されました。
理由は、SNSで拡散された「ミロ」はからだによい!という情報で、需要が急増したことで供給が追い付かなくなったためです。
昨年から続くコロナ禍で健康によい食品などに注目が集まりがちですが、ここまで需要が急増したのは、実際に足りていない栄養素を補うことができて、体調がよくなったと感じた人が多かったから、ということも大きいのではないかと思います。
■足りていない栄養素は、「鉄」
なんだか疲れやすい、だるい、やる気がでない、めまいがすることがある、よくあくびが出る、爪が割れやすい、ダイエットをしている、朝食を食べない、朝起きるのが辛い、冷え性、夜になると足がモゾモゾする。。。こんな状態に心当たりがある人は、鉄が足りていない可能性があります。
鉄は、血液中のヘモグロビンやミオグロビンの構成成分であり、酸素の運搬や保持の役割があります。鉄が不足すると酸素が全身にいきわたらなくなり鉄欠乏性貧血になります。鉄欠乏性貧血になると集中力が低下したり、食欲不振になる、また、筋肉中のミオグロビンが減ることで、筋力低下や疲労感といった症状も起こります。
鉄はすべての細胞に必要な元素であるため、貧血以外にも食べ物が飲み込みにくくなったり、氷などの堅いものを噛みたくなることや、舌に炎症が出るなど、貧血以外の症状が出ることがあります。
データでみると、日本人女性の鉄の摂取量は、推奨される量の6割ほどしかとれていません。国民健康・栄養調査(令和元年)では女性の鉄の摂取量の中央値は、20代5.9mg、30代6.1mg、40代6.3mgでした。
一方、日本人の食事摂取基準で推奨される量は、月経ありの女性で10.5mgです。
日本人女性のうち10~20%は、鉄欠乏性貧血を発症しているとされています。実際、献血に行った女性(2015~2017年)のうち、約18%の人がヘモグロビン不足で献血できていません(※)。
「ミロ」は、1食分で鉄3.2mgが含まれていますから、鉄不足を補うことができたと考えることができます。
■何を食べれば鉄はとれるのか?
大切な鉄を食事でとるには、何を食べればよいでしょうか。
以前は、鉄と言えば、ヒジキ!でしたが、ヒジキの乾燥に使う釜が鉄からステンレスに変わったことで、それまで多いとされていた鉄は、かなり少なくなりました。
鉄は、鶏レバー9mg/100g、牛もも肉の赤身 2.7mg/100g、鹿肉3.9mg/100gなどに豊富に含まれます。
また、あさり 3.8mg/100gやしじみ8.3mg/100g などにも含まれます。あさりの水煮缶 17.8mg/60gにも鉄が豊富に含まれていますので、レバーや肉が苦手な人にはおすすめです。
その他には、かつお 、豆乳 、厚揚げ、納豆、こまつななども鉄が豊富に含まれます。
その他、海苔、ごまなどは、少ししか使わないものの、鉄が含まれるため、普段の食事で取り入れると良いでしょう。
例えば、かつお 80g(1.5mg)、あさり缶詰 水煮20g(5.9mg)、生揚げ 50g(1.3mg)、小松菜50g(1.4mg)、いりごま 2g(0.2mg)、ひじきの油いため 40g(0.1mg)、切干しだいこんの油いため40g(0.3mg)で合計10.7mg鉄を摂取することができます。
あれ?鉄と言えば、ほうれん草、ドライプルーンでは?と思った方もいらっしゃるかもしれません。
実は、これらに含まれる鉄はイメージほど多くはありません。ほうれん草(50g)で1mg、ドライプルーン50gで0.5mg程度にとどまります。
また、鉄にはヘム鉄と非ヘム鉄という2種類があります。このうち植物性食品に含まれる非ヘム鉄は、動物性たんぱく質やビタミンCを一緒にとると吸収しやすくなります。
そのため、植物性の食品から鉄をとる時は、加熱しても壊れにくいビタミンCが含まれるいもを使ったポテトサラダや肉じゃがなどの料理を加えるとよいでしょう。
しっかり鉄をとって、元気な毎日をおくりたいですね。
※張替秀郎「鉄代謝と貧血」日本内科学会雑誌107巻9号