Yahoo!ニュース

夏の疲れをとる食事、4つのポイント

松崎恵理一般社団法人日本栄養検定協会代表理事、博士(栄養学)・料理家
(提供:イメージマート)

 8月も末になり、もうそろそろ秋の声が聞こえてきそう、いや、聞こえて欲しいところですが、酷暑が続いてなかなか疲れがとれない。。という方もいらっしゃるのではないでしょうか。
 疲労感が続いたり、胃腸の調子がよくない、よく眠れない、寝ているのに疲れがとれない、やる気が出ない。。。など、暑さよる体調不良は、いろいろな形で現れます。
 そこで、食事から夏の疲れをとるために、おすすめの食べ物や栄養成分をご紹介したいと思います。

■そもそも疲れって何?

 一般にいう疲労は、運動や精神的な要因などさまざまな要因によって、細胞の活動が活発になり、筋肉や神経細胞の活性酸素が過剰になることで細胞が傷つき、細胞を修復するエネルギーが十分に供給されないことで、疲労感を感じるようになります。
 中でも夏バテは、高温による自律神経の乱れや活性酸素の増加が影響しているのではないかと言われています。
 つまり、細胞の酸化(サビ)の増加と、修復するためのエネルギー不足、この2つが大きな要因と言うことができます。 

 以前は乳酸が疲労の原因物質と言われていましたが、現在は、疲労を回復させるために必要な物質とされています。

■疲れをとるための食事とは?

 では、疲れをとるためには、どんな食事をとったらよいのでしょうか。

 まず、細胞の酸化を抑える抗酸化の働きのあるものを食べる、そして、細胞を修復するために必要なエネルギーを補給できるものを食べる、ということになります。また、必要な栄養素をしっかりと消化・吸収するために胃腸の調子を整える必要があります。

具体的には、

・消化機能の低下を抑えるために、温かいものを食べる

・抗酸化作用のあるものを食べる

・細胞のエネルギー源となるものを食べる

・細胞のエネルギー源を得るために必要な栄養素が含まれるものを食べる

の4つのポイントが重要となります。

毎日、冷たいものを飲んだり食べたりしていると、胃腸が冷えることで血流が悪くなり、消化・吸収する力が落ちている場合があります。まずは、飲み物を温かいものにするなど、温かいものを飲む、食べるようにしてみましょう。

写真:アフロ

■抗酸化作用のあるものを食べる

 抗酸化物質と言えば、ビタミンC、ビタミンE、カロテノイド類、カテキン類など、また、抗酸化作用のあるアミノ酸の一種、イミダゾールペプチドがあります。こうした栄養素や成分が多く含まれる野菜や果物、鶏肉や赤身の魚をとることがおすすめです。
 具体的には、ビタミンCが豊富なピーマン、ブロッコリー、豆苗やカロテノイドが豊富なニンジン、ほうれん草、カボチャ、小松菜などがおすすめです。
 また、イミダゾールペプチドは、鶏むね肉、豚ロースやもも肉、マグロやカツオなどの赤身の魚に多く含まれます。
こうした食品を食べることで、抗酸化物質をしっかりとることができます。

写真:イメージマート

■細胞のエネルギー源になるものを食べる

 細胞のエネルギー源になるものを食べるということは、すなわち穀物に含まれる糖質を食べる、ということです。脂質やたんぱく質もエネルギーとして使われますが、細胞の発電所のような役割であるミトコンドリアで一番使われるのは、糖質から代謝されたものだからです。よく噛んで時間をかけて食べることでゆっくりと消化・吸収され、からだに負担をかけずに必要なエネルギーの材料を摂取することができます。

■ビタミンB1とアリシンをとる

 糖質をとって細胞の中で糖質からエネルギーを取り出すためには、他の栄養素が必要になります。それがビタミンB1です。また、ビタミンB1の吸収を高めるネギなどに含まれるアリシンもとっておきたい成分です。
 ビタミンB1は、豚肉、卵、鮭、タラ、鰻、ロースハムなどに豊富に含まれる他、全粒粉などの穀類にも含まれます。また、ビタミンB1の摂取を目的とした強化米といったものも販売されていますので、活用するのも良いでしょう。
 アリシンは、玉ねぎ、長ネギ、ニラ、ニンニクなどの香り成分に含まれています。日々の食事に取り入れることで、ビタミンB1の働きを持続させることができるため、疲労の回復に役立ちます。

写真:イメージマート

■クエン酸をとる

 クエン酸は、エネルギー代謝に必要です。クエン酸をとることは、細胞に必要なエネルギーを生み出す(つまり、疲れをとる)働きを助けることになります。また、クエン酸には、ミネラルを包み込んで溶けやすくするキレート作用があります。汗で失われたミネラルを効率よく補うためにも、クエン酸の摂取はおすすめです。レモンやグレープフルーツ、シークワーサー、梅干しなどに含まれます。レモン汁やシークワーサー果汁をかけてさっぱりと食べたり、酸味のある果物や梅干しを食べるのがおすすめです。

■まとめ

 温かい飲み物や食べ物で胃腸をいやし、細胞に必要なエネルギー源を穀類で補い、ネギ類と抗酸化成分が含まれている豚肉や鶏肉をたべ、細胞の酸化を抑える抗酸化成分が含まれている野菜もとりつつ、レモン風味などを取り入れてクエン酸もしっかり摂って夏の疲れを撃退したいですね。

写真:アフロ

一般社団法人日本栄養検定協会代表理事、博士(栄養学)・料理家

博士(栄養学)、料理家。専門は栄養疫学。栄養学を学ぶ栄養検定を実施・運営。美味しく健康的なレシピ作りも得意。日本栄養・食糧学会会員。慶應義塾大学卒業。オートファジーコンソーシアムアカデミア会員、栄養士養成校にて「統計学」の非常勤講師。LE CORDON BLEU(代官山校)料理を首席で卒業しグランディプロム取得。Paris Ecole Ritz Escoffier 短期クラス修了。問い合わせは、https://eiyokentei.or.jp/message/ から。毎週月曜朝、日本栄養検定協会無料メルマガ配信中!https://system.faymermail.com/forms/7515

松崎恵理の最近の記事