最高気温の記録の裏側
岐阜県多治見市で最高気温39.7度を観測するなど、各地で記録的な最高気温を観測しています。
今日も、埼玉県熊谷や秩父で最高気温の予想が39度となるなど、猛烈な暑さとなる見込みです。
そこで、最高気温の記録の裏側について、まとめてみました。
気温は、たえず変化しています。最高気温は、連続観測した値から一定間隔でデータを取り出して計算をし、その最大値が最高気温ですが、このデータの取り出し方には変遷があり、最高気温の定義が多少変わっています。
最高気温の観測
気象庁での最高気温は、温度計による連続観測から10秒毎の観測値から求めた1分平均気温の最大値を、アメダスの最高気温は、10秒毎の観測値の最大値を最高気温としていますので、求め方が多少違います。
ただ、アメダスができた頃は、毎正時の観測値の最大値から最高気温を求め、その後、平成19年までは10分毎の観測値の最大値を最高気温としていますので、平成19年以前の最高気温と、平成20年以降の最高気温は同じではありません。
日本の最高気温の極値
気象庁の気象観測統計指針では、毎10分の観測から求めた日最高気温の月平均については、5度未満の場合は0.1度、5度以上25度未満の場合は0.2度、25度以上の場合は0.3度の補正を加えてますが、特定の日の日最高気温には補正をかけないことが記されています。
昔の最高気温の観測は、最高温度計を百葉箱に水平にいれ、1日1回9時又は10時にその示度を読み取っていました。最高温度計は、球部と細管の連結部に狭い部分(留点)をつくった水銀温度計で、気温が上がると水銀は球部から留点の狭い隙間を通って出て行きますが、気温が下がっても留点のところで水銀はが切れて球部に戻れない構造になっていますので、頂部は最高気温を示します。水平に入れるのは、水銀が自身の重みで留点を通過させないためです。この観測値は、1分平均気温の最大値に対応しています。
日本の最高気温の記録
平成25年8月12日13時42分に高知県四万十市にあるアメダスの江川崎で41.0℃を観測し、日本最高気温となりました(表)。ただし、最高気温を平成19年以前のように、10分毎の観測値から求めていたとすると、40.3℃となります。
四万十市というと、平野を流れる清流の四万十川をイメージしますが、江川崎に四万十川中流の内陸部です。
最高気温のランキング上位には、内陸部の観測所が並びます。
日本最高気温のランキング表は、あくまで、気象庁の観測所に関するものです。中央気象台(現在の気象庁)が委託観測をしていた徳島県の憮養で観測した、大正12年8月6日の42.5度や、東京都環境科学研究所が東京都足立区江北小学校の百葉箱の中に置いた自動温湿度記録計で観測した42.7℃(平成16年7月20日13時40分)など、これを上回る記録があります。
「鯨の尾型」の天気図
平成25年の夏は、太平洋高気圧が強く、西日本を中心に全国的に高温となり、気温を観測するアメダス927地点のうち125地点で日最高気温の記録を更新しました。地上天気図(図2)では、等圧線の形が太平洋高気圧が胴体、東シナ海の小さな高気圧が尻尾に似ています。これは、「鯨の尾型」と呼ばれる晴天が長続きする天気図です。
最高気温のランキングは、気象庁の観測がある場所の、しかも、風通しが良い、日陰での観測です。
これ以上になる場所もありますので、最高気温が35度以上の猛暑日と聞いたら、暑さに最大限の警戒が必要です。