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「体験型転職ゲーム」は危険な遊び? 転職する気もないのにゲーム感覚で転職活動する人たち

横山信弘経営コラムニスト
(ChatGPT DALL-E 3 にて著者作成)

■転職する気はないのに転職活動する人たち

最近、注目を集めている現象がある。それは、転職市場における「冷やかし転職活動」とも呼べる特殊な動きだ。

人間関係に苦労したり、キャリアアップを真剣に考えたりする中で、多くの人は転職活動をはじめる。

「もっと給料を増やしたい」

「もっと自分にとって相性のいい職場を見つけたい」

転職活動をする人の動機は様々だろう。ただ共通していることは、大半の人が真剣に転職活動と向き合っている、ということだ。ところが昨今、転職する意思はまったくなく、ゲーム感覚で転職活動を行なっている人が増えている。

まさに「体験型転職ゲーム」である。

なぜこんな手の込んだことをするのか? 人材紹介会社に対する嫌がらせか? というと、そうではない。目的は、自分の市場価値を知るためだ。自己のスキルや経験が市場でいかに評価されるのかを試す行動なのだ。若い人のみならず、30代、40代にも広がりつつある。

■体験型転職ゲームが迷惑な3つの理由

このようにして体験型の転職活動がトレンドとなることで、多くの問題が発生している。特にその迷惑を被るのは以下の三者だ。

まず、人材を仲介する紹介会社である。彼らは、真剣にキャリアチェンジを望む転職者と企業をマッチングさせることを信念としている。遊び半分で市場価値を確かめるだけの転職者によって、その志と労力は浪費されるだろう。

次に、転職市場の「買い手」とも言うべき企業側だ。

人材の採用は会社の成長戦略に直結する大切なプロセスであり、特に超採用難の現代においては一層の真剣勝負が求められている。求職者がただの気まぐれで活動している現状は、彼らの努力を水の泡にしているに等しい。

そして、最も重要な点は、真摯に転職活動を行う他の求職者たちだ。彼らは真剣に新たなキャリアを求め、努力を惜しまず転職活動に励んでいる。しかし、市場に遊び半分で介入する人々が増えることで、求職者本人の真剣な動機が軽視される可能性がある。

何より「転職ゲーマー」のせいで、志望する会社に受からなかったら悲惨だ

車を購入する意思もないのに試乗だけを繰り返す行為と似ている。試乗車を求めてディーラーを巡るが実際に買う気はない――そんな振る舞いが、転職市場にも広がっているのだ。

自分の市場価値を確かめるために転職活動をやってみる人は、昔からいた。奨励する会社もあったほどだ。しかし今はそんな「冷やかし」を許容できる時代ではない。

労働人口が急減していく日本において、相当な数の企業に必要な人材が行きわたらない現象が起きつつある。食糧難と同じで、切実な問題なのだ。自己中心的な転職ゲームは慎むほうがいいだろう。

経営コラムニスト

企業の現場に入り、目標を「絶対達成」させるコンサルタント。最低でも目標を達成させる「予材管理」の理論を体系的に整理し、仕組みを構築した考案者として知られる。12年間で1000回以上の関連セミナーや講演、書籍やコラムを通じ「予材管理」の普及に力を注いできた。NTTドコモ、ソフトバンク、サントリーなどの大企業から中小企業にいたるまで、200社以上を支援した実績を持つ。最大のメディアは「メルマガ草創花伝」。4万人超の企業経営者、管理者が購読する。「絶対達成マインドのつくり方」「絶対達成バイブル」など「絶対達成」シリーズの著者であり、著書の多くは、中国、韓国、台湾で翻訳版が発売されている。

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