アメリカは両刀使いである事を知るべし
フーテン老人世直し録(55)
睦月某日
安倍総理が昨年末に靖国神社を参拝した時、フーテンははじめ「アメリカと事を構える気か」と思った。昨年10月にケリー国務長官とヘーゲル国防長官がそろって千鳥ヶ淵の戦没者墓苑を訪れ、アメリカのアーリントン墓地に匹敵するのは靖国神社ではなく千鳥ヶ淵戦没者墓苑である事を行動で示していたからである。
しかしアメリカの足の裏をなめなければすべてがうまくいかなくなる安倍政権に「事を構える気」などあるはずがない。中国や韓国の反発に対抗するにはさらにアメリカへの従属度を強め、靖国参拝問題の拡大を収めてもらうしかない。保守化ではなく従属化がますます強まるだろうとフーテンはブログに書いた。
案の定、年が明けると安倍総理の靖国参拝にアメリカの理解を求める議員の訪米が相次いだ。8日から10日にかけて中曽根弘文、塩崎恭久、小坂憲次の各議員がワシントンでアーミテージ元国務副長官やラッセル国務次官補らと会談し、安倍総理が「不戦の誓い」のために参拝したとする総理談話を説明した。
また13日から15日にかけて安倍総理の実弟である岸信夫外務副大臣もシャボット下院アジア太平洋小委員長やバーンズ国務副長官と会談し、安倍総理の靖国参拝に理解を求めた。いずれの会談でも「安倍総理の靖国参拝はアメリカ側の理解を得られた」との報道がなされた。
なにやら部下が上司の不始末を揉み手しながら「見逃してくれ」とお願いに行ったような光景である。アメリカからは「説明は分かったが、その代りこれからはこちらの言う通りにしろ」と言われたようだ。
政権の中枢とも思えないレベルの人間に理解を求めに行く構図がこの国の従属度を示している。つい先ごろまでメディアの注目を集めていたキャロライン・ケネディ大使の存在はどうなったのか。この問題で政府与党関係者と会談したという話を聞かない。
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