ウィシュマさんの手紙を基にした朗読劇、名古屋各地で同時上演へ
名古屋出入国在留管理局(名古屋入管)で収容中に亡くなったスリランカ人女性、ウィシュマ・サンダマリさん=当時33歳=の手紙を基にした朗読劇が3月4日と5日、名古屋市内各地で同時上演される。2020年12月に始まった支援者との交流から、衰弱して翌年3月に亡くなるまでのウィシュマさんの心情が役者によって表現される。
「NAGOYA同時発信ウィシュマ」と銘打つこの企画は創立66年の「劇団名古屋」代表・谷川伸彦さんが呼び掛け、市内の7団体が応じた。
ウィシュマさんは収容中に支援者の一人で津島市のシンガーソングライター・眞野明美さんと約1カ月半の間に13通の手紙をやり取りしていた。ウィシュマさんの死後に眞野さんが遺族の許可を得て、『ウィシュマさんを知っていますか?』(風媒社)という本にまとめた。
谷川さんは本を読み、眞野さんから直接話を聞いたり入管に足を運んだりして、自分なりに何ができるかを考えた。ウィシュマさんの遺族による国を相手にした訴訟も始まったため、芝居よりも制作に時間のかからない朗読劇で伝えることを決めた。
3月6日の2年目の命日を前に、多くの場所で上演すればより多くの人に知ってもらえると考え、他の劇団や日本語教室などにも呼び掛けた。
谷川さんが構成した台本を各団体がアレンジし、講演やミニコンサートを組み合わせる舞台もあるという。
劇団名古屋は5日の午前11時と午後2時、稽古場でもある名古屋市熱田区の「アトリエ★758」で公演する。私も2月28日の稽古を取材したので、下の動画から雰囲気を感じ取ってもらいたい。
谷川さんは「言葉に出してみるとウィシュマさんの言葉の力をすごく感じる。眞野さんと会って生まれた希望や、やりたいことがあるという語り掛けがすごく胸を打つが、そういう夢や希望さえも踏みつけにする入管のあり方は許せない」と話していた。
公演する各団体名とリンク先は以下。
・劇団名古屋(4日16時半からの「おはなしトランク」公演も同稽古場で)
・劇団名芸
命日の6日には名古屋市内と津島市内で「しのぶ会」も予定している。