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山田孝之が仲間と作ったコミュニティ『原点回帰』とは

秋吉健太編集者

【山田孝之さんインタビュー】

7月初旬、山梨県にあるとあるキャンプ場にて、山田孝之さんが帰長を務めるコミュニティ『原点回帰』の収穫祭『BAMBOO MAN(バンブーマン) 2024』が開催された。

いまから3年前、『原点回帰』の設立当初から山田孝之さんを取材してきた筆者だが、ことし3回目の開催となる『BAMBOO MAN』にはこれまで参加したことはなかった。

会場の広場にはメンバーが作ったモニュメントが
会場の広場にはメンバーが作ったモニュメントが

『BAMBOO MAN』の開催当日、筆者が到着した時点では既に『原点回帰』のメンバーの手により会場が設営されており、火を用いた催しをするための間伐した枯れ竹で組み上げられたモニュメントや七夕の時期に合わせた短冊が結ばれた竹が飾られていた。

会場に設置された竹には間伐材を利用した短冊が結ばれていた
会場に設置された竹には間伐材を利用した短冊が結ばれていた

『BAMBOO MAN』の翌朝、会場にて山田さんにインタビューさせていただいた(インタビューは記事の後半に掲載)
『BAMBOO MAN』の翌朝、会場にて山田さんにインタビューさせていただいた(インタビューは記事の後半に掲載)

会場はキャンプ場のため、参加者はみな敷地内にテントを設営している。筆者も同じようにテントを張ったのち、「帰長である山田さんが到着して何時からこのイベントはスタートするのだろう?」と思いながら会場を歩いていると、流しそうめんをやっているみなさんの姿が目についた。

全長10m以上の長さ。この仕掛けも原点回帰メンバーの手作り
全長10m以上の長さ。この仕掛けも原点回帰メンバーの手作り

近寄って話しかけると快く列の中に入れていただき、冷たくて美味しいそうめんをいただくことができた。

そうめんを食べる箸もつゆを入れる器も現地にて竹で作ったものを使用
そうめんを食べる箸もつゆを入れる器も現地にて竹で作ったものを使用

食事のお礼を言ってその場を離れると、今度は髪を切っている人の姿が。普段は美容師をしている方が、『原点回帰』でメンバーが集まる時は無償で髪を切ってあげるのだそう。

キャンプ場で髪を切るメンバーの姿も
キャンプ場で髪を切るメンバーの姿も

その横では大きな木の木陰にブルーシートを敷き、ヨガをしているみなさんの姿が。ヨガのリーダーらしき人の説明を聴きながらゆったりとした動きを見ながら、この「『BAMBOO MAN』は山田さんが会場にいなくてもすでに始まっているのだ」ということに気づいた。

※山田孝之さんインタビューは記事の後半に登場します

木陰の下でヨガをする皆さん
木陰の下でヨガをする皆さん


メンバーができることを提供する空間

原点回帰の収穫祭、『BAMBOO MAN』はもう始まっている。そのことに気づき、朝早くからの移動で何も食べてなかった筆者は会場の飲食ブースへと足を運んだ。

『原点回帰』の畑で育てた野菜を使って調理をする人、流しそうめん、手巻き寿司、ヨガ、DJブースなど参加者の皆さんそれぞれがアイデアを出して参加者に自分ができることを提供することでみんなで『BAMBOO MAN』という空間を創り上げて楽しんでいる様子が見て取れた。

『原点回帰』の畑で作られた食材で調理した料理をいただく
『原点回帰』の畑で作られた食材で調理した料理をいただく

『原点回帰』のメンバーは全国16か所の畑で有機農法で野菜を作っている。今回はそれらの畑で収穫した野菜が会場に持ち込まれ、料理が得意なメンバーが腕を振るっていた。

筆者もいただいた優しい味わいの鶏汁カレー
筆者もいただいた優しい味わいの鶏汁カレー

会場ではメンバーそれぞれが自発的に自分ができることをやっているのが印象的だった。本職ではカフェを営む方がコーヒーコーナーを作ったり、本業はカメラマンの方が学生時代のバイト先で覚えた寿司を握ったり。

メンバーそれぞれが、自分にできることを他者に提供することで、自分の居場所を作ることができ、みんながいる場所がより良いものになっていく。そんなことを考えていた。

「餅つき始めるよ〜」の声に集まる子どもたち。大人たちにやり方を教えてもらいながら楽しそうに餅つきをしていた
「餅つき始めるよ〜」の声に集まる子どもたち。大人たちにやり方を教えてもらいながら楽しそうに餅つきをしていた

帰長・山田孝之さんが登場

山田孝之さんが『BAMBOO MAN』の会場に到着したのは夜の10時頃。仕事を終え、その場所から山梨のキャンプ場まで急いでやってきたのだと言う。それぐらい山田さんもこの『原点回帰』のイベントには参加したかったのだろう。

竹で作られたモニュメントに火をつける山田さん
竹で作られたモニュメントに火をつける山田さん


山田さんの登場で、盛り上がるメンバーのみなさん。いよいよ火祭りのスタートだ。竹で作った櫓に火を灯し、セレモニーを行った後は浴衣に着替えた山田さんも交えて盆踊りタイム。

山田さんの登場で盆踊りも盛り上がる
山田さんの登場で盆踊りも盛り上がる

浴衣姿で踊る山田さんに盆踊りについてたずねてみると「やったことないです」とい言いながら、流れに身を任せるように踊りの和の中に自ら入っていった。

盆踊りの輪の中に入る山田さん
盆踊りの輪の中に入る山田さん

盆踊りやフォークダンスを終えた後は、会場のあちこちで就寝まで歓談。山田さんも折りたたみチェアに座り、『原点回帰』のメンバーたちと言葉を交わしていた。筆者がテントに戻った深夜0時過ぎでも会場のあちこちから笑い声が聞こえていた。

山田孝之さんインタビュー

翌朝、原点回帰メンバーが入れたコーヒーを飲んだあと、今回で3回目となる『原点回帰』のイベント『BAMBOO MAN』について山田さんに話を聞くことができた。

翌朝、キャンプ場の心地よい木陰の下でインタビューさせていただいた
翌朝、キャンプ場の心地よい木陰の下でインタビューさせていただいた

筆者が感じた、メンバーが自発的に自分にできることについて取りくんでいる印象について伝えてみた。

山田孝之さん(以下:山田さん)「僕が参加するのは2回目なんですよ。初回は来れなくて、昨年と今年参加させていただきました。『BAMBOO MAN』ってものが何なのかっていうのがこの『原点回帰』内でみんなに認知され始めてきた中で、『じゃあ自分はこれやろう』みたいなのがどんどん自主的にみんな何かどんどん広がっていってアップグレードされている感じがしましたね」

アルコールからソフトドリンク、子ども向けのジュースまで用意されていたドリンクブース。参加者は全て飲み放題
アルコールからソフトドリンク、子ども向けのジュースまで用意されていたドリンクブース。参加者は全て飲み放題


『原点回帰』で『BAMBOO MAN』を始めたきっかけについてたずねてみた。

山田さん「きっかけは、『アメリカのバーニング・マンみたいな、フェスを『原点回帰』のメンバーで何かやりたいね』って話してたんですね。『原点回帰』と言えば、有機農法をする上で畑にもすでに竹を使っていたので、『やっぱり竹だろう』ってことで、『BAMBOO MAN』としてなにかお祭りやろうようということからですね」

フェスといえば、『原点回帰』メンバーは昨年11月に沖縄・宜野湾にて行われた音楽イベント、通称『モンパチフェス』に参加、自分たちで育てた作物を使ったメニューを提供する店を出店した。

山田さん「『BAMBOO MAN』はメンバーで実行委員会を作っているので、みんなでスケジュールを決めたり、誰が何を持ってこようかっていうのを話しているんですね。例えば初期からいるメンバーのテトラさんという方は毎年このイベントでは会場でDJをしてくださっています」

昨年11月、MONGOL800のキヨサクさんらが沖縄・宜野湾で開催した音楽フェス『MONGOL800 ga FESTIVAL What a Wonderful World!! 23』へ飲食ブースを出店
昨年11月、MONGOL800のキヨサクさんらが沖縄・宜野湾で開催した音楽フェス『MONGOL800 ga FESTIVAL What a Wonderful World!! 23』へ飲食ブースを出店

山田さん「この『BAMBOO MAN』をみんなとやったことが、昨年『モンパチフェス』で『原点回帰』のメンバーで出店したことに繋がっているます。みんなが自発的行動されている姿を見て『これはできるなって』って思ったきっかけでもありますね」

今年のモンパチフェスへの出店についてたずねてみると「はい、出店させていただきます。僕も参加する予定です」とのことだった
今年のモンパチフェスへの出店についてたずねてみると「はい、出店させていただきます。僕も参加する予定です」とのことだった

昨晩、『BAMBOO MAN』で提供されていたフードについて聞いてみた。

山田さん「料理はおいしかったですね。手巻き寿司を出している人がいらっしゃいましたが、気がついたら5つくらい食べてました(笑)。クエの刺身も美味しかったですね。沖縄の高橋哲也さんという、僕らが釣りを学ぶ会でご一緒させていただいた方から魚を送っていただいて」

クエの刺身もたっぷり
クエの刺身もたっぷり


高級魚として知られるクエだが、大きさは平均して全長60cmと通常の家庭で捌くにはやや難しい。『原点回帰』の活動で大きな魚を捌くのは、普段魚屋で働いていたり、ホテルの料理長を務めているという『原点回帰』のメンバーたち。

取材中、手際よく大きな魚を捌いている大人たちの様子を間近で興味深そうに見続ける子供達の姿が印象的だった。

目の前で魚を捌く様子を眺める子どもたち
目の前で魚を捌く様子を眺める子どもたち

山田さん「そういうシーンを子ども達が目にすることはとても大事だと思っています。僕も沖縄で釣りに行く時に息子を連れて行く理由も同じです。生き物の命をいただいて、自分の命を繋いでいくんだっていうことを自分の子どもに理解してほしいんですね」

綺麗な赤い色が特徴で大きなオナガダイは子どもたちからも人気
綺麗な赤い色が特徴で大きなオナガダイは子どもたちからも人気

山田さん「いまは基本的にスーパーで買った肉を食べる生活をしていますよね。肉としてパッケージされ、棚に並ぶ前の動物たちはもともと息をしていて、歩いていたということをちゃんと理解しなきゃいけない。ただ、いきなりジビエなどの動物を自分の手で締めるというとハードルがものすごく高いから、その一歩目として僕は釣りがすごくいいと思っていて」

沖縄の釣り名人、高橋哲也さんから送られてきたクエ
沖縄の釣り名人、高橋哲也さんから送られてきたクエ

山田さん「魚には手や足はないけれど、目や口はついているし、切れば血が出る。釣りを楽しみつつ、釣った魚を自分達で捌いて、焼くだけでも煮るだけでもいいから自分で調理をやって『命をいただいている』っていうことを理解する。そこからスタートして、鶏や豚、牛などの足が着いてる生き物だって同じだし、最終的には植物だって全部同じ生き物だと。我々は生き物を食べて自分の命を繋いでいるっていうことを理解しないといけないと思っているんです」

誰もスマホを触らないフェス

『BAMBOO MAN』に参加していたのはおよそ150人。フェスの開催中、ほとんどの参加者たちはスマートフォンを触っていなかったのが印象的だった。

山田さん「メンバーは全国にいて、みんな常に会えるわけではないから。せっかく一緒の場所にいるのだから、スマホで外の情報に触れるよりも一人でも多く、一秒でも長くみんなとコミニケーションを取りたいとなりますよね」

「リアルでは始めましてですよね」と挨拶をしているシーンを何度も見かけた
「リアルでは始めましてですよね」と挨拶をしているシーンを何度も見かけた

プライベートで浴衣を着たのは10年ぶり

『BAMBOO MAN』の夜は、中央の広場でメンバーが盆踊りを繰り広げていた。もちろん、帰長である山田さんも盆踊りの輪の中に浴衣を着て参加していた。

山田さん「盆踊りをするから『みんなで浴衣や甚兵衛を持ちよるように』ということで連絡をいただいていたんですが、多分僕は持って来ないだろうなってことを察知したメンバーの人がこの浴衣をプレゼントしてくれました(笑)」

翌日のインタビューでもメンバーにプレゼントされた浴衣を着用
翌日のインタビューでもメンバーにプレゼントされた浴衣を着用

「プライベートで浴衣を着たのは10年以上じゃないかな」と山田さん。ちなみに盆踊りの経験について聞いてみた。

山田さん「初めてです。やったことないです。初めてだから振り付けも分からないし。途中フォークダンスフォークダンスにもなりましたが、もちろんそれもやったことないんで。ただ輪の中でノってただけですよ(笑)」

山田孝之さんの考えるコミュニティとは

2021年に『原点回帰』というコミュニティがスタートして3年が経った。現在の『原点回帰』について「みんなが助け合える場所の例」と山田さん。このコミュニティから生まれた間伐材を使った活動「もりとき」について教えていただいた。

山田さん「メンバーの中に、皮剥き間伐を使って味噌ベラを作ったりしている『もりとき』という活動を始めた人たちがいるんです。人と人が出会って、その中で同じ方向を向いてる人たちが何か一歩踏み出してみるっていうことがすごい素敵だし、かっこいいなと思いますね。皆さんが『原点回帰』で出会って新しいことが『原点回帰』で生まれたので、『原点回帰』はそういうことをもっと広めていくことができる場所じゃないかとって思います」

「もりとき」のブース
「もりとき」のブース

山田さん「まずは『原点回帰』内でそれをみんなで応援し合う。その人が普段やっていること、昔からやっていること。それをさらにみんなで広げていく場所にすることが僕の理想ですね。そうしなければコミュニティの意味がないというか。みんなが助け合える場所」

朝食の味噌汁用にメンバーそれぞれが持ち寄った自家製のお味噌が並ぶ
朝食の味噌汁用にメンバーそれぞれが持ち寄った自家製のお味噌が並ぶ

『BAMBOO MAN』の参加メンバーは各々が自分にできることを誰かのために自分も楽しみながら提供している様子が印象的だった。山田さんが『原点回帰』をスタートした3年前からこのような構想だったのだろうか。

山田さん「いや、こんなことは想像してきてなかったです。当初はなんとなくみんなが思っているような漠然とした危機感みたいなものが強かったんです。でも、そこまで危機感を感じる必要もないなと思ってきたのは、きっとこうやって仲間ができたからだと思いますね」

『原点回帰』メンバーインタビュー

『原点回帰』の収穫祭、『BAMBOO MAN』に参加している皆さんの話を聞いた。今回は5名の皆さんの話を紹介したい。

①皮剥き間伐材で木工カトラリーを販売「もりとき」あこさん

『原点回帰』がきっかけで「もりとき」の活動をはじめたあこさん
『原点回帰』がきっかけで「もりとき」の活動をはじめたあこさん


あこさんは、林業に興味があって『原点回帰』のメンバーになった。そこで皮剥き間伐という技法に出会い、志を同じくする女性と出会い、現在は3人で間伐材を使って作った木工カトラリーなど販売をする「もりとき」という活動をしている。

あこさん「『山の恵みを循環させて回していく』というコンセプトで福岡、大阪、愛知に住む女性3人で結成しています。林業ってやっぱり力仕事だったり、危険な仕事だったりで、女性が入って行きにくかったんですけど、『原点回帰』で皮剥き間伐っていう間伐方法に出会って、これだったら私たち女性でも子供でもできるっていうのを見つけて」

「もりとき」メンバー3人ともチェーンソーを扱う資格も取得
「もりとき」メンバー3人ともチェーンソーを扱う資格も取得


あこさん「『原点回帰』に入ったことが本当に完全に転機になって。それまで自分にできる山への携わり方っていうのをずっとずっと模索してたんですけど、体力的にとか技術的にとかどれもぴったりくるものがなく。『原点回帰』に出会って皮剥き間伐を知って、それを一緒に進めてくれる仲間にも出会えて。もう完全に人生が変わりました。私の残りの人生はこの皮むき間伐を広めつつ、山の恵みを循環させて活動していくっていう方向に全振りしようと思っています」

「帰長は本当に自然の地球への愛に溢れてる人だなと思っていて、忙しい中でも『原点回帰』にも携わってくれてて感謝してます」(あこさん)
「帰長は本当に自然の地球への愛に溢れてる人だなと思っていて、忙しい中でも『原点回帰』にも携わってくれてて感謝してます」(あこさん)

②沖縄に移住をした小学校教諭

昴平さん、朝さんの二人は、『原点回帰』の活動を通して沖縄に移住した。

昴平さん「山田さんが畑を沖縄に作られたのと、我々の釣りの師匠である高橋哲也名人と出会って、『こういう人と一緒に今後の人生を歩んでいきたいな』と感じたのと、沖縄のに行くたびに『原点回帰』のメンバーが心よく受け入れてくれたので、移住の決断しました」

当時関東エリアで小学校教員として働いていた昴平さんは、沖縄の教員採用試験を受けてから沖縄に移住。『原点回帰』では保護猫活動に関わっているのだそう
当時関東エリアで小学校教員として働いていた昴平さんは、沖縄の教員採用試験を受けてから沖縄に移住。『原点回帰』では保護猫活動に関わっているのだそう

昴平さん「SNS時代になって、人と人との繋がりがとても薄いものに見えてしまうんです。でも、ここでは本物の仲間に出会える。これからの長い人生を共にするにあたって、人と人とが繋がっていく。そんな出会いを求めるならこの場所は最適だと思います」

パートナーの朝さんは美容師の腕を生かして会場でメンバーの髪を切っていた
パートナーの朝さんは美容師の腕を生かして会場でメンバーの髪を切っていた

③手巻き寿司体験を提供するカメラマン夫妻

東京でカメラマンとして活躍する悟丈さん、梨沙さん夫妻は手巻き寿司のブースを運営。『原点回帰』には1年前から参加し、神奈川畑で無農薬農法を実践している。

悟丈さん、梨沙さんは普段は二人ともカメラマンとして活躍
悟丈さん、梨沙さんは普段は二人ともカメラマンとして活躍

悟丈さん「土をいじることを一度もしたことなかったので、畝を作ったり、今回は固定種の種をポットで育てて、それを神奈川畑に持っていくということをやっています。畑はほんとに更地の状態からスタートして、最初は全く無収穫だったんです。今年はズッキーニから始まってインゲン、いまはトマトが数100個収穫できるようになっています。自分が一から育てた野菜が収穫できる感動、今までそんなことを味わったことはなかったですね」

手巻き寿司コーナーは子どもたちからも大人気
手巻き寿司コーナーは子どもたちからも大人気

梨沙さん「貴重な出会いがいっぱいあります。私だと写真展に家族で遊びに来てくれた人もいたり。メンバーの中には芸術に興味がある方も多いんですよ。大人になってもこれだけ友達ができるのは幸せだなと思う。そういう人たちと出会えたのも心の支えになっています」

④コミュニティオーガナイジングを試みる放送作家

DJブースで心地よい音楽をプレイしていたテトラさん。普段は京都芸術大学で『メディアと芸術』について教えているという放送作家だ。

初期メンバーのテトラさん
初期メンバーのテトラさん

テトラさん「30年ぐらい前から環境問題について取材しているうちに、持続可能な暮らしとか生き方をしている人たちがいるエコビレッジの存在を知って。僕は最初期メンバーの一人なのですが、『原点回帰』のコミュニティーが立ち上がるって聞いた時に、そういった持続可能な暮らしの実践ができるんじゃないかと思って参加しました」

DJ機材も全てメンバーが持ち込んで設営したもの
DJ機材も全てメンバーが持ち込んで設営したもの

テトラさん「人がただ集まってるだけではコミュニティにならないんですけれど、アメリカのハーバード大学のガンツ博士という方がコミュニティオーガナイジングっていう手法を開発してるんですね。そのメソッドに従ってワークショップを企画してみようってことで『原点回帰カフェ』というワークショップをやらせてもらっています」

⑤公務員を辞めてアートの道へ

もともと公務員として働いていたkotaさんは、『原点回帰』に入ったことで人生を見つめ直し公務員を辞職、アーティストとして活動を始めた。

会場で自分の作品を販売していたkotaさん
会場で自分の作品を販売していたkotaさん

kotaさん「以前は県庁で公務員として働いていました。『原点回帰』に入るまでは考えたこともなかったんですが、皆さんと会話をするにつれ、時間は有限だし、好きなことに費やす時間は少しでも長い方が人生最後の時『楽しかったな』と思えるかなと思って、不安はあるけど一歩踏み出してみようと考えるようになりました」

kotaさんの作品が並べられたブース
kotaさんの作品が並べられたブース


kotaさん「『原点回帰』に勢いで入ってもらって、もしかしたら『やめたい』って思う時もあると思うんですね。でもその想いを一旦飲み込んでみてください。自分の場合、本当に『あ、間違った』みたいに最初は思ったんです(笑)。でも、それだと自分は変わらないかなと思って。自分という人間を出していくと、ここは自分の意見を誰かがサポートしてくれる場所だということに気づいていきました。僕にとっては心地のいい場所であり、冷水を浴びるというか、成長の場みたいなものですね」

山田孝之さん「僕はメンバーの一人」

今回、会場で話を聞いたメンバーたちに山田さんに言いたいことはないかと尋ねるとみんなが「この場所を作ってくれてありがとうございます」と言っていたのが印象的だった。

 
 

山田さん「僕はただ言いだしただけで、この場所を作っているのはメンバーの皆さんなので、むしろこんなに素敵な場にしてくれてありがとうって思っています」

メンバーが自分にできることを提供することで、それぞれが居場所を作り、みんなにとっての居心地のいい場所として育っていく。『原点回帰』のいまを見て、コミュニティの可能性を感じることができた。

『BAMBOO MAN2024』に参加したみなさん
『BAMBOO MAN2024』に参加したみなさん

『原点回帰』 第13期メンバー募集要項
募集期間/2024.8.19(月)〜2024.8.25(日)
応募に必要な書類などを添え、
「原点回帰」(https://about.gentenkaiki.jp )からアクセス
問い合わせ:株式会社 原点回帰
担当・伊月(イヅキ) mail:izuki@gentenkaiki.jp

<現在田畑がある場所は以下の通り>
石川県/能登エリア
山梨県/富士川町
埼玉県/さいたま市
神奈川県/横浜市
愛知県/豊川市
大阪府/和泉市
京都府/宮津市
香川県/高松市
広島県/尾道市
山口県/萩市
山口県/無人島
福岡県/福岡市
佐賀県/神埼市
鹿児島県/志布志市
沖縄県/中部
沖縄県/名護市


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編集者

編集者としてのキャリアは出版、web合わせて約30年。雑誌「東京ウォーカー」「九州ウォーカー」、webメディア「Yahoo!ライフマガジン」など雑誌・webメディアの編集長を歴任。街ネタやおすすめの新スポットなどユーザーニーズを意識した情報を、それらの合わせ持つストーリーと共にお届けします。

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