なぜ男は写真を撮り送らせるのか:リベンジポルノを実行する心理と現代ネット社会
■もちろん悪いのは加害者
以前の記事、なぜ女性は写真を送ってしまうのか:リベンジポルノの被害を防ぐために:すてきな恋をするためにへのご意見として、むしろ「なぜ男性は女性の写真を撮り送らせるのか」が問題であると言うご意見を受け、今回この記事を書くことにしました。
こんなニュースも今日ありました。
■なぜ男は女の裸の写真を求めるのか
かつて写真は現像に出していました。さらに公序良俗に反する写真はプリントしてもらえませんでした(プロ用のラボだたらOKだったかな)。この時代に、付き合っている女性の裸の写真をとる男性は、ほとんどいなかったでしょう。でも今は、写真屋を通さずに写真ができます。
男性は、視覚から多くの性的刺激を受けます。昔から、そういう商売が成立していました。そこで、付き合っている女性の写真が欲しいと思うこと自体は、悪いことではないでしょう。もちろん、盗撮とか、強制とか、最初からだますつもりなど、犯罪目的といったことは、まったく別問題です。悪いに決まっています。また男性が成人で女性が未成年の場合もだめです。
大人同士で双方合意であるなら、他人がとやかく言うことではないかもしれません。しかし、一見「双方合意」に見えて、本当は女性が嫌がっている場合もあるでしょう。無理して素直でかわいい女性を演じていることもあるでしょう(本当は、ありのままで良いのに。→『アナと雪の女王』の心理学:「ありのまま」と個性の本当の意味)。
あるいは、嫌がっていない、本当の双方同意でも、女性を危険にさらす可能性はあるでしょう。
■自分本位と女性の「モノ化」
本当の恋愛は、その人を愛することです。その人の顔でもスタイルでもなく、その人を愛します。他の人ではダメです。その人が好きなのです。その人が年をとっても、病気になっても愛します。その人とコミュニケーションをとりたいと願います。コミュニケーションとは、心の交流であり、おしゃべりもあれば、ハグもあるでしょう。
ところがポルノは、基本的には見た目が好みなら、誰でも良いものです。「物」であれば、それで当然です。自動車は物ですから、気に入れば買いますし、壊れたり古くなれば買い換えます。その自動車自体に固執する必要はありません。
これが、物と人の違いです。恋人でも親子でも、本来取替えのきかないものです。似たような背格好や成績や収入なら誰でも良いなんてことは、あるわけがありません。
ところが、女性を「物」と見なす男性がいます(男性を「物」と見なす女性もいるでしょうが)。人は、自動車を愛車と呼び大切にしますが、それは自分のためです。お金をかけて磨き上げても、それは自分のためです。自動車は、自分の思い通りに動いてくれなければなりません。
男が自分のために、女性の写真を撮り、また送らせることがあるでしょう。そのとき、女性の側の幸福や、女性を危険にさらす可能性があることは、あまり考えません。第一に優先されるのは、自分の都合と快楽です。
このような男性に限らず、性的なことがらに関する女性の心の深い傷を、男性はなかなか理解できません。
ほんとの愛は、相手の幸せを願うことなのに。
■リベンジポルノによる利得:恨みと金
最初から相手を苦しめる意図はなくても、結果的にリベンジポルノを実行する男たちがいます。彼らは、恨みの感情を晴らそうとしています。ストレス解消のための行為です。
やってしまった行為は、とんでもなく乱暴で、許されないことです(女が写真をばら撒いてももちろんダメです)。
乱暴で怖い存在ですが、実は心理学的には、恨みの感情は弱者の感情です。思い通りにならない、社会的力を使って問題解決ができない、そんな人が恨みの感情を持ちます。
普通は、いったん恨んでも、その後で良いことがあれば忘れられるのですが、良いことがないと恨みの感情がまします。そのとき彼の手の中に「写真」という大きな武器があり、ネットという便利な道具がある今、リベンジポルノを実行してしまうのでしょう。
人は、ある感情があっても、その感情を発散する機会がなければ行動には移しません。写真の存在とネット環境が、恨み感情によるリベンジポルノを生みます。
リベンジポルノで脅して、自分の思い通りにしようという人もいますね。
さらに、このようなストレス発散と、金銭的目的が合致することもあります。金を出させることで、自分が得をし、相手を困らせようとするのでしょう。
■自己破滅的なリベンジポルノ
後先考えないリベンジポルノもあります。写真をばら撒いた側が、法的な制裁を受けることもあります。
普通なら、どんなに憎みあって別れても、相手の性的なことなど絶対に口にするものではありません。そんなことをすれば、その人自身の評価を下げるでしょう。
ところが、ネットの匿名社会では、実行する人がいます(本当は匿名ではないが)。
なかには、写真をばら撒き、相手を殺し、自分の人生も終わりにしようと思ってしまう人もいます。追い詰められた心で、本来の自分らしさを失い、逆境を乗り越える力は消えうせてしまうのです。
かわいさ余って憎さ百倍ということはありますが、失恋したことで終わりだと感じてしまう人がいます。自分が不幸になってでもいいから、相手を不幸にしようとする人もいます。
本当の恋愛は、1人でも強く幸福に生きていける人間同士が、それでももっと幸福になるためのものなのですが。
■心の成熟:本当の恋愛
みんなが幸せになるために、良い恋愛をするために、個人の心の成熟と社会の成熟が必要だと思います。異性の思いに共感し、相手の幸せを願う本当の恋愛をしたいものです。
本当の恋愛をするためには、強さも必要です。相手に合わせる強さや、相手の幸せのために一生懸命になれる強さ。そして思い通りにならなくても、失恋しても、耐えることができる強さです。
だれでも時にはけんかしますし、落ち込んだり、怒ったりするのは当然です。でも、して良いことと悪いことがあります。法的規制だけではなく、恋愛にもルールとマナーがあります。
DVも、セクハラも、ストーカーも、リベンジポルノも、とても乱暴ですが、未成熟で力の足りない人々の行為でしょう。
不正義は許さず、でも恋する男女をやさしく支え鍛える社会にしたいと思います。
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