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あなたの記憶は本物か:「嘘をつく記憶」の心理学

碓井真史社会心理学者/博士(心理学)/新潟青陵大学大学院 教授/SC
人の記憶は映画フィルムとは異なる(写真:イメージマート)

■確かな記憶でも、実は間違っている

ある女性の話です。小さいころ、おばさんの家に遊びに行くと、いとこの子からよく噛みつかれていたそうです。大人になっていから、おばさんに「私、おばさんの子から、よく噛みつかれていたよね」と話したところ、おばさんはびっくり。

「噛みついていたのは、あなたの方よ」。

嚙みつかれていていたと思っていたのに、実は自分が噛みつていたのです。

次は、ある事件の目撃者証言の話。

「私は、事件現場付近で、この人を見ました。確かに見ました」。その証言をもとにして、容疑者が逮捕されたのですが、あとになって、その人にはアリバイがあることがわかり、そして別人が真犯人として逮捕されました。

それでも、目撃者は「たしかに見たのに」と言っていました。研究によれば、自分の記憶の確信度と、その記憶が真実であるかどうかは、関係がありません。

また人は、「この人を見たことがある」とはわかるのですが、いつ、どこで見たのかは、記憶があいまいになるものです。アメリカでは、テレビで見ただけの人を、犯罪現場で見たと思い込み、証言してしまった例もありました。

私たちも、あの人どっかで見たことあるんだけど、どこだったけかなあ、なんてことはよくありますよね。

■作られる記憶:行ったことのない遊園地に行った記憶・事実無根の父からの性被害

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社会心理学者/博士(心理学)/新潟青陵大学大学院 教授/SC

1959年東京墨田区下町生まれ。幼稚園中退。日本大学大学院文学研究科博士後期課程修了。博士(心理学)。精神科救急受付等を経て、新潟青陵大学大学院臨床心理学研究科教授。新潟市スクールカウンセラー。好物はもんじゃ。専門は社会心理学。テレビ出演:「視点論点」「あさイチ」「めざまし8」「サンデーモーニング」「ミヤネ屋」「NEWS ZERO」「ホンマでっか!?TV」「チコちゃんに叱られる!」など。著書:『あなたが死んだら私は悲しい:心理学者からのいのちのメッセージ』『誰でもいいから殺したかった:追い詰められた青少年の心理』『ふつうの家庭から生まれる犯罪者』等。監修:『よくわかる人間関係の心理学』等。

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