親は子供に「教科書を信ずるな」と教えなければならない
フーテン老人世直し録(143)
卯月某日
学校を卒業して社会に出てから様々な国で様々な取材をしたが、常に考えさせられたのは学校で習った事と実社会の現実は違うという事である。教科書に書いてある事はある種の見方やタテマエで、決して鵜呑みにして信じて良いものではない。
たとえば教科書では日本国の仕組みを「三権分立」と言い、立法権(国会)と行政権(政府)と司法権(裁判所)はそれぞれ独立していると教えるが、現実は全くそうではない。フーテンに言わせれば立法権や司法権は「行政権の下請け機関」と呼ぶ方が現実に近い。
文科省は来年からの中学生の教科書に領土に関する記述を増やし、竹島や尖閣諸島を「固有の領土」とする政府の立場を反映させる検定を行った。フーテンは以前から「『固有の領土』という言い方に違和感を感ずる」と書いてきたが、それがすべての教科書に記載される事になるらしい。
勿論フーテンは竹島や尖閣諸島を韓国や中国の領土と言っている訳ではない。しかし近隣諸国と問題が生じた歴史的経緯を教えずに、「固有の領土」とだけ信じ込ませれば、韓国や中国の対日批判と同レベルになり、衝突するしかなくなる。そうなれば力の強い方が勝つ。しかし領土を取っても取られても問題はそれだけで終わらない。衝突は永遠に続く。それはあまりにも知恵のない話だとフーテンは思う。
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