Yahoo!ニュース

【NHL】中国に続いてヨーロッパへ再び進出! KHLの失速を尻目に”一人勝ち”を狙う!!

加藤じろうフリーランススポーツアナウンサー、ライター、放送作家
スイスで開催されたベルンvsニュージー(Courtesy:@Blockaid1)

 NHLのレギュラーシーズンは明日(現地時間)開幕!

 サンノゼで開催される「オールスターウィークエンド(1月25、26日)」を挟み、来年の4月6日まで、31チームが1271試合(各チーム82試合)を戦います。

▼NHLがヨーロッパへ再び進出

 NHLは開幕に先駆けて、昨季から6季ぶりに再開した「グローバル シリーズ(北米以外での公式戦)」を2年続けて開催。

 スイスリーグに加盟しているSCベルン vs ニュージャージー デビルス」戦を、昨日ベルンで行ったのに続いて、明日はドイツリーグに参戦している「 ケルンvs エドモントン オイラーズ」戦をケルンで開催。

 さらに6日にはヨーテボリ(スウェーデン)で、NHLの公式戦として「ニュージャージー vs エドモントン」が顔を合わせます。

 

▼超満員のファンが大声援

 スイスはジュニアの選手強化に注力したのが実を結び、1990年代半ばから世界のトップレベルのチームとも互角の戦いを演じ、世界選手権で準優勝するほどの強豪国となりました(現在の世界ランク7位)。

 昨年6月のNHLドラフトでは、史上初めて全体1位指名選手を輩出したほどで、アイスホッケーへの注目度も、かなり高まっている模様。

 その証拠に、昨日行われたベルンの試合も超満員に!

 試合はオーバータイムに及ぶ熱戦の末、昨季のハートトロフィー(レギュラーシーズンMVP)に選ばれた テイラー・ホール(FW・26歳)のサヨナラゴールで、ニュージャージーが辛くも(!?)勝利。

 相手はベストメンバーではないとは言え、同点でオーバータイムに及ぶ熱戦を演じた地元のベルンの選手には、スタンドから大きな声援が送られました。

▼親子対決と元日本代表のヘッドコーチ

 続いて明日の試合の注目は、ケルンのジュニアチームで育った息子のリオン(エドモントンFW・22歳/写真左)と、昨年11月にケルンのヘッドコーチ(HC)に就任した父親のピーターという「ドライサイトル親子の対決!」

 父親のピーターは、現役時代に「長野オリンピック」や「ワールドカップ」などのドイツ代表でプレーした往年の名選手。

 引退後はコーチに転身し、昨季の途中からケルンを率いています。

 一方、息子のリオンも、前回の(2016年)の「ワールドカップ」に出場。エドモントンでも主力CFとして活躍しているとあって、多くのメディアとファンからの視線が集まりました。

 余談になりますが、ケルンには元日本代表HCのマーク・マホン(52歳)も、スポーツマネージャー(GM)として在籍しています。

▼来月はフィンランドで開催

 NHLは今週末に「エドモントン オイラーズ vs ニュージャージー デビルス」戦をスウェーデンで行うのに続いて、来月には「フロリダ パンサーズ vs ウィニペグ ジェッツ」の試合を、ヘルシンキ(フィンランド)で2試合開催します。

 ウィニペグには、フィンランドを代表するポイントゲッターの パトリック・ライネ(FW・20歳)が在籍。

 「U20世界選手権」に17歳で出場し、得点王に輝いたほどの選手が在籍しているチームを選んで、”目玉”にしようとNHLが思っているのは明らかです。

▼KHLの失速を尻目に

 ここで再度紹介したいのは、昨年4月に当サイトに掲載した ↓ こちらの記事。

 ヨーロッパ屈指の加盟チーム数を誇る「KHL」は、中国へ進出したのに続き、ロンドンにもチームを設けて、NHLに肩を並べようという青写真を描いてしました。

 しかし、中国から唯一参戦しているクンルン レッドスターは、初年度こそプレーオフへ勝ち上がったものの、さらなるレベルアップを狙って改革を断行した翌年からは、一転して低迷続き。

 現時点でスポンサー収入は順調な模様ながら、一般市民の関心は全くと言っていいほど高まらないため、筆者の知人でアイスホッケーの取材も請け負う中国人によれば、「北京オリンピックの前後に解散する可能性も十分あるのではないか」と話しています。

▼NHLは”一人勝ち”を狙う!!

 対してNHLは、ゲーリー・ベッドマン コミッショナーが、中国で初めて開催した昨年の「チャイナゲームス(プレシーズンゲーム)」終了後に、「今後8年間に中国で公式戦を6回以上開催する」と宣言したのに続いて、今年の「チャイナゲームス」に合わせて、「レギュラーシーズンの公式戦開催も検討する」との考えを明らかにしました。

 クンルンに限らず、一部のビッグクラブを除けば、財政面の心配が無用とは言い難いKHLの失速を尻目に、昨季からヨーロッパへ再び進出したNHLは、文字どおり”一人勝ち”を狙っているようです。

フリーランススポーツアナウンサー、ライター、放送作家

アイスホッケーをメインに、野球、バスケットボールなど、国内外のスポーツ20競技以上の実況を、20年以上にわたって務めるフリーランスアナウンサー。なかでもアイスホッケーやパラアイスホッケー(アイススレッジホッケー)では、公式大会のオフィシャルアナウンサーも担当。また、NHL全チームのホームゲームに足を運んで、取材をした経歴を誇る。ライターとしても、1998年から日本リーグ、アジアリーグの公式プログラムに寄稿するなど、アイスホッケーの魅力を伝え続ける。人呼んで、氷上の格闘技の「語りべ」 

加藤じろうの最近の記事