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ドラフト1位と2位が初の直接対決!世界のアイスホッケーファンが注目する新たなNHLのライバル誕生!!

加藤じろうフリーランススポーツアナウンサー、ライター、放送作家
世界選手権でMVPに輝いたウィニペグジェッツのルーキー パトリック・ライネ(写真:ロイター/アフロ)

プロ野球の「ドラフト会議」が今日開催されますが、上位指名確実と見られる指名候補選手たちの話題が、今年も多くのメディアで紹介されています。

一方、アイスホッケーに目を転じると、6月に開催された「NHLドラフト」で全体1位指名を受けた選手と、2位指名された選手による初めての直接対決が、昨夜(現地時間)カナダ・マニトバ州のウィニペグで行われました。

▼7巡目までなのに11人も指名したトロントメイプルリーフス

まず、NHLのドラフトについて紹介しましょう。

「逆指名」という制度はもちろんなく、全30チームが1巡目から7巡目まで指名をしていきます。

但し(翌年以降も含めた)ドラフト指名権と、選手とのトレードも頻繁に行われるため、全てのチームが7人ずつ指名するわけではなく、今年の6月に行われたドラフトでは、リーグワーストの成績に終わったトロント メイプルリーフスが、11人も指名。

これは前半戦から低迷し、主力選手と引き換えにドラフト指名権を手に入れたトレードを、多く行ったことによるものです。

▼指名順はその年の成績で決まる

ドラフトの指名順は、その年の成績によって決まります。

昨季のチャンピオンに輝いたピッツバーグ ペンギンズは、各ラウンドの指名が一番最後の「30番目」

そのピッツバーグに、ファイナルで敗れたサンノゼ シャークスは「29番目」と、プレーオフへ進んだチームは、勝ち上がったラウンド(同じラウンドで敗れたチームはレギュラーシーズンの成績)に基づいて、30番目から16番目までの指名順が決まります。

対して1番目から14番目の指名順は、カンファレンスやディビジョンを問わず、プレーオフに進むことができなかったリーグ全体の16位から30位のチームが、

30位(全体の最下位)→20% 29位→13.5% 28位→11.5% ・・・

17位→2% 16位→1%

というように、レギュラーシーズンの全体順位に基づいた倍率で行われる「ロッタリー(抽選)」によって決定。

つまり、低迷したチームには「来季は頑張りなさいよ」と、各ラウンドで早い指名順が与えられるのです。

▼全体1位指名はトロント 2位指名はウィニペグ

昨季の順位に基づいたロッタリーの結果、最下位に低迷したトロントが「全体1位指名」を得て、アリゾナで育った FWのオーストン・マトュースを指名。

イの一番に指名された期待に違わず、デビュー戦でNHL記録を樹立したマトュースについては、既に紹介していますので、こちらの記事 ↓ をご覧いただくことにして、、、

ロッタリーで全体2位指名を得たウィニペグ ジェッツは、フィランド人FWのパトリック・ライネを指名しました。

4月に18歳の誕生日を迎えたライネは、これまで国際試合での活躍が際立っています。

17歳の時に出場した昨季の「U20世界選手権」で得点王になり、フィンランドの優勝に大きく貢献。さらに今春の「世界選手権(シニア)」でも得点王に輝き、準優勝ながらMVPを受賞したゴールスコアラーです!

▼ビッグマウスもライネの魅力 !?

このように、一つ年上のマトュースと比べても、ライネの実力は引けをとりません。しかし、マトュースはアメリカ生まれとあって、北米メディアの視線は、ライネよりマトュースへ・・・。

さらに加えて、NHLがドラフト前に毎年発表している公式スカウティングランキングも、「1位→マトュース2位→ライネ」という評価でした。

そんな評価を知って負けん気に火が付いたのか、ライネはドラフトの前に、「マトュースと自分は、(ジョナサン)テイズ(シカゴ ブラックホークスのキャプテン)と、アレックス・オベチキン(ワシントン キャピタルズのキャプテン)のような存在だ」

こう言い放っただけでなく、4年連続得点王のタイトルを手にしている選手を引き合いに出して、

「5年後にはオベチキンのような選手になる」

とも宣言 !!

しかし、ビッグマウスだけに終わらず、マトュースとの初めての直接対決に挑んだライネ(紺#29)は、試合終了55秒前の同点弾に続いて、オーバータイムに(しかもマトュースのシュートがセーブされた直後に)サヨナラゴールを決めてハットトリック!

地元ファンを熱狂させました !!

▼新たなNHLのライバル誕生!

北米出身で高いスキルが光るマトュースと、

ヨーロッパで育ち豪快なゴールが持ち味のライネ

この両選手は、

カナダ出身のシドニー・クロスビー(ピッツバーグペンギンズ)と、

ロシア生まれのアレックス・オベチキン

という「NHL最大のライバル」と呼ばれる二人に匹敵する存在となるのか !?

世界のアイスホッケーファンからの注目が集まりそうです。

フリーランススポーツアナウンサー、ライター、放送作家

アイスホッケーをメインに、野球、バスケットボールなど、国内外のスポーツ20競技以上の実況を、20年以上にわたって務めるフリーランスアナウンサー。なかでもアイスホッケーやパラアイスホッケー(アイススレッジホッケー)では、公式大会のオフィシャルアナウンサーも担当。また、NHL全チームのホームゲームに足を運んで、取材をした経歴を誇る。ライターとしても、1998年から日本リーグ、アジアリーグの公式プログラムに寄稿するなど、アイスホッケーの魅力を伝え続ける。人呼んで、氷上の格闘技の「語りべ」 

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