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新潟・三条のこぼれ話 ロサリオ選手がファンを魅了した2日間《阪神ファーム》

岡本育子フリーアナウンサー、フリーライター
坂本選手とキー太。お互いの帽子を交換して、いったい何を話しているんでしょう?

 きょう26日から1週間、阪神タイガースの1軍は関東遠征です。DeNA(横浜)、ヤクルト(神宮)と3試合ずつ。そのあと来週は甲子園で中日、DeNAと3試合ずつ行って、休みなくマツダスタジアムで広島と3試合の9連戦となります。おなじみオールスター前の変則日程。もう7月なんですね。

 今週の阪神ファームは、きょう26日から鳴尾浜でソフトバンクとの首位攻防3連戦が始まりました。2位・ソフトバンクと1.5ゲーム差で迎えた初戦は、9対3で阪神の勝ち。1回に先制の2号3ランを放った大山悠輔選手は、そのあと単打と二塁打を続け、惜しくもサイクル安打はならなかったものの、最後は内野安打で5打数4安打5打点の大当たり!ヒーロースピーチももちろん大山選手です。

 また8回に江越大賀選手が、リーグ単独トップとなる8号ソロ!打線は4試合連続2ケタ安打となる、計14安打でした。

 なお先発して6回3安打無失点だった呂彦青投手は、公式戦の先発2試合目で嬉しい初勝利を挙げています。ゴンシー!そして新外国人のナバーロ選手が3番センターで先発出場。5回に二塁打を放ち、途中からファーストに回って最後まで出ましたが、4番のロサリオ選手は2四球を選んだけれどノーヒット。ナバーロ選手にファーストを譲って交代。う~ん…先を越されるのか?

 きょうは外国人野手の揃い踏みだけでなく、高橋聡文投手も復帰登板したので鳴尾浜は取材陣でひしめき合っていたでしょうねえ。取材に行けなくてすみません。

2年ぶりに雨の心配なく終了

 きょうは予告させていただいたように、新潟遠征のこぼれ話をご紹介します。23日と24日は、新潟県三条市の三条パール金属スタジアムでファーム交流試合が行われました。ことしはイースタンのヤクルトを迎えての2連戦で、結果は1勝1敗。23日が9対5でヤクルト、24日は11対1で阪神が勝っています。

練習中に話をする阪神・矢野燿大監督(左)とヤクルト・高津臣吾監督。おふたりは同い年なんですね。
練習中に話をする阪神・矢野燿大監督(左)とヤクルト・高津臣吾監督。おふたりは同い年なんですね。

 それぞれの試合詳細はこちらからご覧ください。

 23日<ヤクルトとの交流試合 ロサリオ&大山が連続弾!しかし3発を浴びて敗戦>

 24日<新潟でヤクルトに大勝!江越選手が先頭打者場外弾、緒方選手は3安打3打点>

 何よりも阪神が初めて訪れた2009年以降、開催時期にかかわらず雨の影響を受ける三条で、2日間とも心配なく終わったことに感謝ですね。驚くのは、翌日の天気予報が雨じゃないのに朝起きたら本降りだったり、2010年のように快晴で終わると思った2日目の終盤にゲリラ豪雨によって8回表でコールドゲームとなったり。どこかで必ず雨は降らないといけない仕組み?と苦笑いしたものです。

 

三条での試合では恒例となったファン投票『総選挙』の投票所。
三条での試合では恒例となったファン投票『総選挙』の投票所。

ただし、笑っていられないのが主催者の方々。試合開始に向けて一生懸命グラウンドを整備されている姿を、何度も見しました。皆さんの力と必死の願いが通じて、試合が中止になったのは初年度(2009年)の2日目のみ。あとは上記のコールドゲームだけで、以降は雨が降っても最後まで行われています。

 ことしのように雨が降らずに済んだ2日間というのは、2016年に続いて2度目。阪神が参加した9年間のうち、まだ2度目です。

お詫び ヤクルトとの対戦は2度目でした

 

 なお三条市にとっては毎年恒例のファーム公式戦で、2009年の阪神-ソフトバンク戦から数え、ことしで11回目だそうです。阪神は2010年もソフトバンクと、2012年からは3年続けて中日と対戦しました。そして2015年に初めてファーム交流試合として日本ハムを迎え、2016年は久しぶりにソフトバンク戦、2017年がまた日本ハムという顔合わせです。

23日の試合前セレモニーで花束を受け取った島田選手。
23日の試合前セレモニーで花束を受け取った島田選手。

 ことし対戦したヤクルトも、実は2011年と2012年に巨人と三条市でイースタン公式戦を行っているので、これが3回目。それ以前にもヤクルトはイースタン・リーグ新潟遠征の一環として三条(当時は三条市民球場)で試合をしたことがありますので、3回目というのは三条市が主催して毎年2連戦を行うようになってからの回数です。ご了承ください。

 そして阪神がヤクルトとファーム交流試合、つまり公式戦を行うのは初めてと散々書いてきたのですが…すみません!資料を見落としていました。言い訳になりますけど、とてもレアなケースだったもので。

両監督には花束と、これも恒例の自転車が贈呈されました。
両監督には花束と、これも恒例の自転車が贈呈されました。
矢野監督は自分で乗って帰る素振りを見せて…からの!
矢野監督は自分で乗って帰る素振りを見せて…からの!

 ファーム交流試合自体が始まったのは2005年で、2011年に実は『みやざきサンシャインシリーズ』というものがあったのです。これは、ウエスタン3チーム(阪神、広島、ソフトバンク)と、イースタン3チーム(巨人、ヤクルト、ロッテ)が参加して、5月17日から22日の1週間、宮崎県内で各6試合ずつ行うもの。つまりフェニックスリーグの5月版で、これも公式戦に含まれます。この時、阪神は巨人、ヤクルト、西武と2試合ずつ(西武戦は1つ中止)行いました。

 ということで、既に訂正済みですが…前々回の記事で見出しにもしてしまった「ヤクルトとは今回がファーム交流試合での初対戦」は間違いです。本当にすみません。みやざきサンシャインシリーズは、その後シリーズ化することなく一度きりで終わってしまったので、ヤクルトとの公式戦は、それ以来7年ぶり2度目。2011年も1勝1敗です。

 阪神は、これで今季のファーム交流試合はすべて終了。ことしは2011年(巨人2、ヤクルト1、西武1)と、2015年(巨人1、楽天2、日本ハム1)の4カードについで多い3カードで、日本ハム(1勝1雨)、巨人(1勝1敗)、ヤクルト(1勝1敗)という成績で終えています。

自転車パフォーマンス大成功!

 23日の試合前に行われたセレモニーは市長の挨拶に続き、両チームに記念品の贈呈。阪神は島田海吏選手、ヤクルトは宮本丈選手のルーキー2人が代表で受け取っています。

ロサリオ選手が気持ちよさそうに乗って帰ります。
ロサリオ選手が気持ちよさそうに乗って帰ります。
ベンチで降りるはずが、そのまま乗って行きました。
ベンチで降りるはずが、そのまま乗って行きました。
迎える選手たちも、なぜかハイタッチをしながら爆笑!
迎える選手たちも、なぜかハイタッチをしながら爆笑!

 そのあと阪神の矢野燿大監督、ヤクルトの高津臣吾監督に花束と、恒例の自転車も贈られました。この自転車に自分が乗る仕草を見せたものの、笑ってベンチの選手を呼んだ矢野監督。昨年までは掛布雅之監督が受け取り、植田海選手を手招きして「乗っていきなさい」と指令するのを見ていたのですが、いま植田選手は1軍にいます。やはりここは島田選手かなと思っていたら…なんとロサリオ選手が!

 実は、セレモニーで両監督が呼ばれた際も、矢野監督に促されて出ていく素振りを見せ、チームメイトの笑いを誘ったロサリオ選手。自転車も、前もって打ち合わせはしてあったのでしょう。矢野監督から受け取ると、すぐに乗ってニコニコと走り出しました。それを見てベンチ前に並ぶコーチや選手たちが大笑い!

 しかもベンチの前で降りるかと思ったら乗ったままコーチや選手たちの方へ向かい、ホームランを打った選手のごとく手を振ったりハイタッチしたり。みんなも爆笑しながら手を伸ばしています。スタンドのお客様も大喜びで、例年以上に盛り上がったセレモニーでしたね。

ロサリオ・バッティング・スクール?

ロサリオはとても優しい笑顔なので、子どもたちも楽しそう。
ロサリオはとても優しい笑顔なので、子どもたちも楽しそう。

 23日の試合後に行われた野球教室でも大人気だったロサリオ選手。この日は三条市のスポーツ少年団に所属する9チームから、計143人の少年少女が参加しました。投手と捕手はライト外野付近で固定、内野手と外野手はバックネット前でのティー打撃と、フェアグラウンドでの守備練習を交互に行います。

これは内野手の守備を指導している大山選手です。
これは内野手の守備を指導している大山選手です。

 よって野手も子どもたちと一緒に入れ替わるのですが、ロサリオ選手は移動せず同じ位置でバッティング指導。しかも相方が仲良しのモレノ投手!彼は一度も投手練習のところに行かずじまいですよ。

 もちろん通訳の橘さんも一緒で、アドバイスは訳して伝えてもらいますが、ほとんどはボディランゲージと笑顔。言葉はわからなくても、2人の笑顔はそのまま届いたでしょう。最後にお手本を見せることになり、モレノ投手のトスでロサリオ選手が打ちました。柔らかいボールがバチンと鳴って飛んでいく様に、子どもたちは「おお~!」と感嘆の声。いい思い出になったかな。

★ロサリオ選手が(手前)お手本を見せているところ。右の“生徒たち”にご注目ください。
★ロサリオ選手が(手前)お手本を見せているところ。右の“生徒たち”にご注目ください。

 ただし、この“ロサリオ・バッティング・スクール”には、大きな生徒さんも(笑)。子どもたちと同じくらい真剣な眼差しで見ていたので、思わずシャッターを押しました。★がついた写真をご覧ください。大きな生徒さんはタテジマのユニホームを着ているので、わかりますね。右から荒木郁也選手、今成亮太選手、西田直斗選手、森越祐人選手。ロサリオ選手の向こうにいるのが橘通訳です。

矢野監督も今成選手も楽しそう

 また矢野監督もグラウンドへ出て、守備の指導をしました。バッテリーがいる付近だったでしょうか。ゴロ捕球の際、グラブで捕ってグラブでトスする練習をやろうということで、そこにいた松田遼馬投手を呼んで「やってみろ」と。何のことかよくわからないままグラブを出した松田投手ですが、うまくできません。すると矢野監督、「遼馬は下手やから」とバッサリ。

矢野監督がグラブで捕ってトス、を説明中です。
矢野監督がグラブで捕ってトス、を説明中です。

 お手本はどうするのかなと思っていたら、矢野監督が「俺はうまいで」とやって見せて、ちょこっとドヤ顔です(笑)。子どもたちも緊張がほぐれて、いい表情に。さすがです。実際にやらせてから、そうすべき理由などを話して、だから説明がよりわかりやすかったですね。子どもたちも生き生きと動いていました。

うまく芝生席に打ち込んで、子どもたちとハイタッチする今成選手。
うまく芝生席に打ち込んで、子どもたちとハイタッチする今成選手。
野球教室の締めの挨拶はルーキー・石井将希投手でした。
野球教室の締めの挨拶はルーキー・石井将希投手でした。

 野球教室で生き生きしているのは子どもだけじゃありません。選手たちもみんな飛びっきりの笑顔を見せてくれます。そんな中、今成選手が周囲を巻き込んで盛り上げるのはおなじみですね。この日はノックを終え、芝生席へ打球を放り込んで締めようということになったもよう。まあロングティーの要領でしょう。思い切り打って、最後に柵越えすると両手を突き上げてガッツポーズ!振り返り、子どもたちとハイタッチする顔に、みんな大笑いです。

 そうそう、2日とも雨の心配がなかったと書いたんですけど、実は23日の試合中から雲の割合が多く、特に野球教室の頃はどんよりという状況でした。雨粒が落ちてきてもおかしくないくらいで。でも結局は降らなかったので、あれは雨雲ではなかったんですね。きっと。最後は石井将希投手が挨拶をして野球教室終了です。

ファン投票1位はロサリオ選手でした

 24日は朝から見事な晴れ具合で、気温もぐんぐん上昇。少し気になった夕立もなく、お客様は最後まで楽しんでくださったことでしょう。なお、ことしも恒例のファン投票『阪神-ヤクルト総選挙』が開催されました。24日の11時で締め切って集計、試合前に各チーム1位の選手への表彰というか、その選手に投票したお客様の代表の方から、それぞれ記念品が贈られます。

阪神の最多得票はロサリオ選手。投票者代表の方が記念品を手渡します。
阪神の最多得票はロサリオ選手。投票者代表の方が記念品を手渡します。
ヤクルト1位は高津監督でした。代表の方と握手。
ヤクルト1位は高津監督でした。代表の方と握手。

 選手だけでなく監督、コーチ、さらにマネージャーなどスタッフも何人か顔写真が貼られていて、その中から選んで投票したものです。両チームとも監督が最多得票かな~と思っていたら、ヤクルトは高津監督で本人も納得(笑)の様子。阪神はロサリオ選手でした。ことしは票数を聞いていないのですが、矢野監督も多かったみたいですよ。

 でも自転車に乗ったパフォーマンに加え、23日の試合ではタイムリーと2ランの活躍、野球教室での人気ぶりを考えたら妥当でしょう。神妙な面持ちでファン代表の方から記念品を受け取る姿も、また可愛いロサリオ選手。子どもたちは、マスコットのキー太と同じ接し方だったかも。

坂本選手とキー太、写真の真相は?

 キー太といえば、24日は阪神が勝ったので試合後の整列でヒーロースピーチがありました。前の記事でもご紹介したように、緒方凌介選手がマイクを持って話をしました。その時、並んだ選手たちを順番に撮っていたら、右端でキー太と一緒にいる坂本誠志郎選手を発見。なぜかキー太と自分の帽子を交換して手に持っているし、同じように2人で少し体を傾けているし(笑)。

 しかも、よく見たら何か会話を交わしながら、2人でしみじみしているように見えました。その直後を撮ったのが冒頭の写真です。帰りに聞いてみると「これから暑い季節は大変ですね~って言っていた」と坂本選手。せ、世間話ですかっ!そう聞いて写真を見直したら確かに、そんな吹き出しを書き入れたくなる感じでした。

 なるほど。この日もかなり気温が上がっていたので、そういう話になったのかもしれません。キー太の服…ではなく体も、坂本選手のキャッチャー道具も、お互いに暑い季節はきついでしょうねえ。水分をしっかり摂って、頑張ってください。

    <掲載写真は筆者撮影>

フリーアナウンサー、フリーライター

兵庫県加古川市出身。MBSラジオのプロ野球ナイター中継や『太田幸司のスポーツナウ』など、スポーツ番組にレギュラー出演したことが縁で阪神タイガースと関わって約40年。GAORAのウエスタンリーグ中継では実況にも挑戦。それからタイガースのファームを取材するようになり、はや30年が経ちました。2005年からスポニチのウェブサイトで連載していた『岡本育子の小虎日記』を新装開店。「ファームの母」と言われて数十年、母ではもう厚かましい年齢になってしまいましたが…1軍で活躍する選手の“小虎時代”や、これから1軍を目指す若虎、さらには退団後の元小虎たちの近況などもお伝えします。まだまだ母のつもりで!

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