新潟でヤクルトに大勝!江越選手が先頭打者場外弾、緒方選手は3安打3打点《阪神ファーム》
新潟県三条市でのファーム交流試合は2015年、2017年の日本ハム戦に続いて3度目で、ことしは初めてヤクルトと対戦しました。昨年は日本ハムに連敗し、ことしも23日の初戦を落としたので、何とかファンの皆さんに喜んでもらわねば…と臨んだ24日。打線は、前日の借りを返して余りある11得点!投手陣も1失点で踏ん張って勝っています。
きょうは、その試合結果をご紹介しましょう。なお23日の試合前セレモニーでの話や、試合後に行われた野球教室の件、他にも思い出したことがあれば、次の記事で『こぼれ話』として書かせていただきます。お待ちください。
先発の青柳晃洋投手は当初21日のオリックス戦(鳴尾浜)で先発と聞いていましたが、20日の試合を雨で流した岩田稔投手がスライド先発となり、24日に変更されたと思われます。この日は最後に点を取られたものの6回5安打1失点(自責0)。リーグトップに並ぶ7号が先頭打者ホームランとなった江越大賀選手から始まり、緒方凌介選手が3安打3打点で『ヒーロー賞』獲得、板山祐太郎選手も3安打、島田選手は2安打1盗塁(1位の熊谷敬宥選手に1差と迫る19個目!)でした。
《ファーム交流試合》6月24日
阪神-ヤクルト 2回戦 (新潟三条)
ヤク 000 001 000 = 1
阪神 202 502 00X =11
◆バッテリー
【阪神】○青柳(3勝2敗)-モレノ-島本-歳内 / 長坂
【ヤク】●高橋(5勝4敗)(3回1/3)-屋宜(1/3回)-ジュリアス(1/3回)-梅野(1回)-久古(2回)-星(1回) / 古賀-山川(7回~)
◆本塁打 神:江越7号ソロ(高橋)
◆二塁打 神:島田、板山
◆盗塁 神:島田(19)
◆打撃 (打-安-点/振-球/盗/失) 打率
1]右:江越 (4-1-1 / 2-1 / 0 / 0) .231
2]中:島田 (3-2-1 / 1-2 / 1 / 0) .229
3]三:大山 (4-1-1 / 1-0 / 0 / 1) .231
4]一:ロサリ (3-1-1 / 0-1 / 0 / 1) .341
〃一:今成 (0-0-0 / 0-1 / 0 / 0) .215
5]二:板山 (4-3-1 / 0-1 / 0 / 0) .268
6]左:緒方 (5-3-3 / 0-0 / 0 / 0) .302
7]遊:森越 (3-1-1 / 1-1 / 0 / 0) .221
〃遊:西田 (1-0-0 / 0-0 / 0 / 0) .227
8]指:坂本 (2-0-0 / 1-1 / 0 / 0) .346
〃打指:小宮 (1-1-1 / 0-0 / 0 / 0) .267
〃打指:荒木 (1-0-0 / 0-0 / 0 / 0) .213
9]捕:長坂 (4-1-0 / 1-0 / 0 / 0) .260
※ロサリ=ロサリオ
※小宮=小宮山
◆投手 (安-振-球/失-自/防御率) 最速キロ
青柳 6回 91球 (5-3-3 / 1-0 / 3.57) 144
モレ 1回 22球 (0-1-1 / 0-0 / 6.88) 153
島本 1回 20球 (0-2-0 / 0-0 / 6.75) 144
歳内 1回 23球 (0-1-1 / 0-0 / 5.06) 147
※モレ=モレノ
《試合経過》※敬称略
青柳は1回に先頭を味方エラーで出し、2死後に四球を与えるも無失点。2回は1死からヒットと連続四球で満塁のピンチを迎えますが、内野ゴロで後続を断ちました。3回と4回は2死からヒットを許したものの、やはり内野ゴロや長坂の盗塁阻止などで抑え、5回は三者凡退と得点を与えていません。
その間に打線が大量点を奪いました。まず1回に江越の先頭打者ホームラン!センター左の芝生席奥にある垣根を軽く越えていった“場外弾”です。続く島田の右前打と二盗、大山の中前打で無死一、三塁。大山は牽制で刺されて1死となるも、ロサリオは遊ゴロエラーでもう1点(記録はショートの送球エラーですが、生還は遊ゴロによるもので打点あり)。
3回は島田がストレートの四球、1死後にロサリオの左前打、板山は中飛に倒れましたが、島田だけでなくロサリオもタッチアップで二塁へ!そして緒方の右前タイムリーで2人とも生還、2点を追加しています。
4回は長坂の中前打と江越の四球で1死一、二塁として島田が左中間へタイムリー二塁打!なおも1死二、三塁で投手交代。次の大山が中犠飛で、この回2点目です。ロサリオはストレートの四球を選び、ここでまた投手が代わって、続く板山が中前タイムリー!なおセンターの悪送球によりボールが三塁ベンチに飛び込んだため、三塁まで進んでいたロサリオは生還。また送球の間に二塁へ到達した板山も三塁へ進み、緒方の中前タイムリーで還りました。
さらに連続四球で2死満塁となったものの、これ以上の得点はなし。それでも打者11人攻撃で5点を加えています。9対0という援護をもらった青柳は、6回もマウンドへ。先頭の4番・村上に右前打され、次いでサードの捕球エラーがあり無死一、二塁。6番・大村の打球をショートの森越がグラブに当てるも、これが左前タイムリーとなって1点を返されます。なおも無死一、三塁のピンチは二ゴロと二ゴロ併殺打で打ち取って最少失点でとどめた青柳。自責点はありません。
するとその裏、ヤクルト5人目の久古に対して1死から板山と緒方が連打で一、三塁となり森越が初球を右前タイムリー!代打・小宮山は左前タイムリー!4連打で2点を追加しました。
リリーフ陣は、7回のモレノが1四球を与えながらも抑え、8回の島本は村上を真っすぐで見逃し三振、大村はフォークで空振り三振に仕留めて三者凡退!9回の歳内は先頭・奥村に粘られて四球を与えますが、そのあとは三振と外野フライ2つで断ち切って試合終了です。
ヒーローと勝利投手について
23日はヤクルトが勝ったため、MVPに与えられるヒーロー賞も、もちろんヤクルトから選出されました。そして24日は最初に書いた通り、3安打3打点の緒方選手。試合終了時に矢野監督がマイクを渡した時点で確定ですね。緒方選手のヒーロースピーチは、勝利の『六甲おろし』と重なって聞き取れなかった方も多かったのでは?私も同じです…残念。
では試合後の談話は矢野燿大監督から。まずヒーロー・緒方選手の件です。いつもの勝ちゲーム同様、矢野監督の選出ですよね?マイクを渡して。「そうそう。でも(スピーチが)音楽と重なったので、ちょっとやりにくそうだったけど、今度は1軍で頑張ります!って言っていた。緒方はずっと調子がいいし、左ピッチャーからも打っているし」。いずれ訪れるであろう、その時を待ちましょう。
次は青柳投手について。先発に戻って2試合目、4月5日以来の3勝目を挙げたことに「勝ちはついた方がいい」という言葉があり、続けて「いつものようにボールが先行したり、ランナーを出したり、苦しいところはあったけど途中からね。点数もあったから、そうなったのかもしれない。その課題を克服できるかというと、まだ。勝ったからこそ、そういう気持ちを強く持って練習からやってほしい」とのこと。
「半端ねえ」ホームランと矢野監督
それから江越選手の先頭打者ホームランの話になり、矢野監督は「半端ないホームランやなあ」と目を丸くして、それから「半端ねえ?」と言い直して笑います。「あの飛距離、あの弾道!」。まさに江越アーチでしたね。「でも最後の打席がダメ」と矢野監督。6回、2点を追加して、なおも2死満塁で空振りの3球三振の場面です。
「(大山)悠輔もそうだけど、左の、あんなポトポト落としてくるピッチャーに。相手の思い描いているように打ち取られている。"自分のカウントを作って、自分で打ったヒット"を増やしていかないと。2軍だから打てた、ではダメ。でも状態自体はよくなってきているけどね」
1安打ながら打点を挙げ、走っても貢献したロサリオ選手は?「よかったと思うよ。(左前打、遊ゴロ、左飛という内容だが)気持ちが引っ張っていなくて、あっちに飛んでいる、いい打球だった。あとちょっとズレたらホームラン、というね。たまたまというのは減ってきた。いい捉え方ができている。2軍ではね。1軍がほしいと言えば、いいんじゃないかなという感じ」と矢野監督。さらに「もともと走塁にも興味がある選手。走塁もよかったしね」とのことでした。
意識の切り替えが奏功したバッテリー
変わって、選手のコメント。先発の青柳投手は振り返って「最初は制球に苦しんだので球数も増えて、いつもの悪い流れだったんですけど。でも後半は打ってもらう、守ってもらうっていう意識でいったので、全部ストライクゾーンで勝負しようと。ゴロヒットはしょうがないというイメージでやり始めたら、少しはテンポよくなったかなと思う」と言います。
「まあ僕がストライクだと思ったのがボールだったりというのもありましたし、僕の中でリズムがつかめないところもあったんですけど。でも“打ってもらう”と思ったらいけたので、よかったなと思いますね」。その意識は自分自身で切り替えた?「そうですね。長坂とも話して『もう打ってもらいましょ』という感じだったので」
久々に勝ち星がついたことで、また前を向いて課題に取り組める?「そうですね。勝ったのは野手に、あれだけ打ってもらったおかげなので。まあ1失点だったのはよかったですけど、その失点もヒットだったりエラーだったりが出てしまった、還してしまったってのは、やっぱりもったいないですね。僕の中では、もっと内容のいいピッチングができたら嬉しいなと思います」
なお長坂拳弥選手も「それが特長でもあるけど、フォアボールが続いて、1本出たらどうなったか…」と言います。でも切り替えてからは問題なく?「そうですね」。ファームで久しぶりに最後までマスクをかぶり、最少失点に抑えたことで少しホッとしたような、それでいて昇格前とはまた違う落ち着いた表情も見受けられました。
『打』は緒方選手と江越選手
このところ“打てばマルチ”という状態の緒方選手。24日も5打数3安打3打点で、ついに打率が3割を超えました。好調と言っていいですよね?「まあ結果が出ているので。でも、どこで変わるかわからないですからね。ナバーロが来て、西岡さんが復帰したら、またチャンスも少なくなってくる。続けていかないと」と危機感は常に抱えています。
でも「そんな中で結果を出せているのは、いいことですね。あまり余計なことを考えていないからいいのかもしれません」とやはり手応えは感じているのでしょう。1軍のチャンスはきっと来るはず。そのために継続と維持ですね。「はい。何であれ結果さえ出れば」
江越選手には、まずリーグトップタイの7号となった先頭打者ホームランについて聞いています。「(カウントが)スリーワンだったので、真っすぐのタイミングでコンパクトに、力まず振れました」。以降の打席で、もう1本ヒットが欲しかった?「最後、久古さんのところでもそうなんですが、少し強引になりすぎているので、もう少しセンター返しなどを意識していけたらと思います」
それでも矢野監督に「半端ねえ」と言わせた先頭打者ホームランをはじめ、江越選手ならではの“えげつない”ほど強烈な打球が、最近よく見られますね。
<掲載写真は筆者撮影>