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増え続ける宇宙ゴミ 中国による衛星破壊実験や、衛星同士の衝突事故を紹介

衛星に形成されたデブリによる衝突跡©NASA / Wikipedia

人類の夢である宇宙開発。しかし、その弊害として今も宇宙ゴミである「スペースデブリ」は増え続けています。

本記事では、過去に発生した衛星破壊実験や、衛星同士の交通事故などをご紹介していきます。

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■スペースデブリって一体どんなもの?

宇宙ゴミである「スペースデブリ」とは、打ち上げて使用済みとなったロケットや、故障してしまった人工衛星、そしてそれらが互いに宇宙でぶつかって

発生した大量の破片のことです。

実はこのスペースデブリ、地球の引力と軌道上を回る遠心力が釣り合っており、なんと秒速8kmというライフルの弾丸並みのスピードを持っています。もしこのデブリが気象衛星や通信衛星に衝突してしまったことを考えると、破壊は避けられないでしょう。

■中国による衛星破壊実験

高度2000km以下を周回するスペースデブリの分布©Wikipedia
高度2000km以下を周回するスペースデブリの分布©Wikipedia

そんな危険なスペースデブリですが、なんと過去には意図的にデブリを発生させる実験も行われています。例えば、中国が2007年に行ったミサイルによる人工衛星破壊実験です。この目的は、アメリカのGPS衛星破壊を想定した実験と考えられています。専門家によれば、同実験によるデブリの発生は史上最大規模で、直径10cm以上のスぺースデブリが3000個も発生したと考えられています。国際宇宙ステーションをはじめ低軌道を周回する数多くの人工衛星が危険にさらされました。

地球上ですらゴミ問題が環境問題に発展している昨今で、あえて宇宙でもゴミを拡散してしまうとは、目を覆いたくなるような事件です。

■衛星同士の交通事故!?

続いて、2009年に発生した人工衛星衝突事故を紹介します。これは宇宙空間で発生した初めての人工衛星同士の衝突事故です。

1997年に打ち上げられ運用中であったアメリカのイリジウム社の通信衛星イリジウム33号と、1993年に打ち上げられ既に使われていなかったロシアの軍事用通信衛星コスモス2251号が衝突したのです。

衛星同士のドッキング実験や体当たりで相手の衛星を破壊する衛星攻撃兵器などによる意図的な衝突を除き、人工衛星本体同士の衝突は人類の宇宙開発史上初めてのことであり、この衝突により少なくとも数百個以上のスペースデブリが新たに発生したとみられています。今後、衛星が増えていく世の中になったら、これまで以上に衛星同士の衝突のリスクが増加するかもしれませんね。

■デブリをテーマにした映画や漫画も

大気圏に突入し、燃え尽きずに地球に落下したロケットタンク©Wikipedia
大気圏に突入し、燃え尽きずに地球に落下したロケットタンク©Wikipedia

このデブリを題材にした映画で、「ゼログラビティ」という映画があります。スペースデブリ群に遭遇した危機的状況から命懸けで脱出する内容で、圧巻のCGとリアルなストーリーがハラハラすること間違いなしなので、是非ご鑑賞下さい。

そして、漫画「プラネテス」では宇宙ゴミ回収事業者の主人公が、いつか自家用宇宙船を所有することを夢見て奮闘する、「生きるとは?」を考えさせられるストーリーが描かれています。

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