宇宙ゴミ掃除衛星、遂に宇宙へ!アストロスケールのスペースデブリ除去事業を紹介
2月18日、デブリの除去を目的とした衛星「ADRAS-J」が打ち上げられました。
デブリとは、軌道上での人工衛星やロケットの使用後、または故障して不要になった宇宙ゴミのことです。2019年までに、1mm以上のデブリがなんと1億個以上も存在すると推定されています。困ったデブリ問題なのですが、本記事ではデブリ除去に乗り出している日本企業「アストロスケール」をご紹介します。
■増え続ける宇宙ゴミ「スペースデブリ」の除去企業
「アストロスケール」は、宇宙ごみであるデブリの除去・軌道上サービスに取り組む初の民間企業で、2013年に設立されました。「アストロ」とは、ギリシア語語源で「宇宙」。「スケール」は天秤であり、「正義の象徴」を表しています。「宇宙規模で正義と秩序を背負っている社会」として、宇宙開発に持続的に取り組める社会を実現したい、というメッセージが込められているのです。
■初のデブリ観測衛星「IDEA OSG 1」を打ち上げ
2017年には世界初の微小サイズのデブリ観測衛星の「IDEA OSG 1」が打ち上げられました。その目的は、宇宙空間に漂うデブリの位置観測です。衛星には微小なデブリが貫通したことを計測するフィルムが搭載されています。デブリが衝突することで、フィルムにプリントされている3000本を超える導線が切断されることで、準リアルタイムにデブリの衝突を検知することができます。これにより、デブリのサイズの計測も可能となります。
しかし残念ながら、ロケットから分離された後、衛星との通信を確立することができなかったと発表されています。
■デブリ捕獲実験衛星「Elsa-d」を打ち上げ
そして2021年3月24日、民間世界初デブリ除去実証実験衛星の「Elsa-d」の打ち上げに成功しました。ELSA-dのミッションは、スペースデブリの捕獲と除去に必要な技術を初めて軌道上で実証することです。
Elsa-dは180kgの「捕獲機」と20kgの「模擬デブリ」で構成されています。Elsa-dは分離した模擬デブリへの追跡を開始、誘導接近の実証に成功しました。更に、磁石を用いた模擬デブリの再捕獲にも成功したことが発表しています。この成功は軌道上サービスを拡大し、将来の安全で持続可能な宇宙の実現にとって大きな一歩となったのです。
■H-IIAロケットを狙った「ADRAS-J」を打ち上げ
そして2024年2月18日、既存大型デブリの監視を目的として「ADRAS-J」が、米ロケットラボ社のエレクトロンロケットによって打ち上げられました。
ターゲットとするのは、2009年に打ち上げられたH-IIAロケット15号機の第二段部分です。地上約600kmの軌道を周回しており、ADRAS-Jは数mまで接近して撮影を行うことが計画されています。ミッションの完了までに約60日ほどかかるとのことです。
アストロスケール社は将来的にデブリ除去以外にも、高コストの静止軌道衛星などを対象とした、整備、修理、またはアップグレードなどにも参画するようです。まさに漫画のプラネテスの世界が現実になりそうです。今後の活躍に期待が膨らみますね。
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