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杏子と赤紫蘇の美味しいハーモニー!「あかね杏子」たっぷりの果肉を求肥で包んだおきな屋さんの津軽銘菓

柳谷ナオ和菓子ソムリエ・ライター

9月というのに30度を越え、半袖半ズボンで過ごす方が快適というのはいかほどに。

けれども暦の上では季節は進み、三連休が続く秋がやってきましたね!9月、10月、11月は全国でその色彩美にため息をついてしまうような紅葉シーズンと連休が重なるため、もうすでに旅行計画を練っているという方も多いのではないでしょうか。

画面から赤紫蘇の香りをお届けできないのがもどかしい!
画面から赤紫蘇の香りをお届けできないのがもどかしい!

雪の降りはじめ、もしくはこれから積もりそうな津軽の冬を連想させるようなグラニュー糖
雪の降りはじめ、もしくはこれから積もりそうな津軽の冬を連想させるようなグラニュー糖

東北新幹線の発着駅、新青森駅にもお店を構える1918年創業の老舗「おきな屋」さんでは、秋に収穫のピークを迎えるりんごを取り入れたバラエティ豊かな林檎の和菓子をお作りになっていて、観光のお土産にもぴったり!

ですが、個人的にはもうひとつ。青森県の食文化を語るには欠かせない和菓子があるのです。今回はおきな屋さんの「あかね杏子」をご紹介。

あかね杏子
あかね杏子

実は青森県、紫蘇巻きの文化が非常に盛んでして、江戸時代から寒冷な気候でも育ちやすい梅や杏子の栽培が盛んに行われていました。流通用ではなく食料用として津軽藩からも栽培が推奨されたという説も。

グラニュー糖のおかげで指先がべたつきません
グラニュー糖のおかげで指先がべたつきません

そのため、梅干しを紫蘇の葉で巻いた漬物が有名でして、旅館やホテルなどでも提供されるのですが、昔から「あんず梅」と呼ばれるほど甘く煮た杏子も紫蘇で巻いて食べられてきました。大ぶりで肉厚で煮崩れしにくい八助という品種も主流のひとつです。

その紫蘇巻き文化が和菓子の世界にも流入し、今では赤紫蘇で求肥やあんこ、杏子を包んだ紫蘇巻きの和菓子があちこちの青森県のお店で作られるようになりました。

菓子切りではなく指先でつまんで召し上がれ
菓子切りではなく指先でつまんで召し上がれ

翁屋さんの紫蘇巻き、あかね杏子は深い紫色の葉にきらきら眩しいグラニュー糖を塗したもの。そして中には求肥と杏子が包まれているのですが、これがまた実に食感も風味も豊かで芳しいのなんのって。

しっかり包まれてぴたっと閉じているのがお分かりいただけるでしょうか
しっかり包まれてぴたっと閉じているのがお分かりいただけるでしょうか

開封した瞬間から立ち昇る赤紫蘇のすっきりとした香りと共に、ぱりっと一口齧れば、非常にねっとりと粘り気溢れる求肥が。その求肥と対照的なシャキシャキ食感を演出するのがドライ杏子、しかも二枚包まれているではありませんか!求肥の甘さを堪能するように噛みしめていくと、徐々に姿を現しはじめる杏子と紫蘇の甘酸っぱさ。自然の産物なので個体差は勿論あるかと思いますが、酸味が誇張されすぎているわけではなく、自然に馴染んでいくというのも好感が持てる理由のひとつ。

肉厚で食感も風味も爽やかなあんずがたっぷり!
肉厚で食感も風味も爽やかなあんずがたっぷり!

林檎のお菓子も、しっとりからシャキシャキ、甘いものから酸味を活かしたものまで目移りしてしまうほどあちこちのお店で作られていますが、紫蘇巻きの和菓子も同様。

青森市や弘前市といった津軽地方へ訪れた際には、ぜひ紫蘇巻きの食べ比べにもチャレンジを。
最後までご覧いただきありがとうございました。
柳谷ナオ

<おきな屋・新町店>
公式サイト(外部リンク)
青森市新町1-8-2
017-722-4343
9時30分~17時30分
不定休

和菓子ソムリエ・ライター

■年間400種を優に超える和菓子を頂く和菓子ソムリエ&ライター。美味しさだけではなく、職人さんやお店、その土地の魅力をいかに伝えるかに重きを置いて執筆中! ■製菓衛生士免許所持・製造・販売・百貨店勤務経験有 ■和菓子・お取り寄せ・お土産・アンテナショップ・都内物産展&催事・和菓子とお酒&珈琲&ノンアルコールとのペアリングなどの執筆や取材、監修を得意としています。

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