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選手は「憤慨」「劣悪な食事と環境に涙」「胃が痛い…」 米英紙が酷評【北京五輪】

安部かすみニューヨーク在住ジャーナリスト、編集者
今年1月に北京で公開された、冬季五輪プレスセンターの調理用ロボット。(イメージ)(写真:ロイター/アフロ)

北京オリンピックの開会式前には、選手村やメディアセンターで導入された調理用ロボットや寝心地の良い豪華なベッドなどが話題になっていた。

しかし、大会が始まり実際に蓋を開けてみると、実情は異なるようだ。

7日付のニューヨークポストは、Olympians in tears over poor living conditions, lack of food at Winter Games(冬季オリンピックの劣悪な滞在環境や食事内容に選手が涙)とする記事を発表した。

英サンも、WINTER OF DISCONTENT Winter Olympic athletes fume over poor food, inhumane isolation rooms and bitter COLD weather as games go into meltdown不満の冬 貧しい食事内容や非人道的な隔離部屋、厳しい寒さなどに苛立ち)という見出しで、滞在環境について、選手や関係者から苦情が出ていることを明らかにした。

食事について

まず、延慶(Yanqing)会場にあるアルペンスキーセンターでのケータリングへの不満が、ドイツのコーチから出た。

「オリンピック委員会は温かい食事を提供してくれるとばかりに期待していたが温かい食べ物はなく、あるのはチップスとナッツとチョコレートだけ。オリンピックというスポーツの最高峰の場で提供されるものではない」

このような劣悪環境を予想してか、アメリカのチームの中には、自らパスタを持参しあとは茹でるだけの準備万端な選手もいたようだ。

ロシアのバイアスロン、Valeria Vasnetsova選手がインスタグラムに投稿した内容も、問題視された。

新型コロナで陽性反応が出た同選手は、隔離施設で提供された食事が劣悪過ぎて「毎日泣いている」と、写真付きで訴えた。

発泡スチロールのような入れ物には、何もかかっていないマカロニ、肉料理とポテトが少々、それにトマトソース(のようなもの)が、小分けされている。5日間毎日、朝昼夜このようなメニューだったという。

同選手は「ベッドから起き上がる気力さえなくなり、1日中寝ている。 毎日、ほんの一握りのパスタしか胃が受け付けず、残りは廃棄した」「胃は痛み、顔は青白くなり、目の周りのクマがひどい。毎日泣いている。疲れた」と悲痛の叫びが投稿されていた。(現在その投稿は削除され、アカウントはプライベート設定)

同選手の苦情を受け、大会委員会は隔離施設での食事内容を、サーモンとキュウリなど、より良い内容に改善したようだ。

選手や関係者からは、そのほかの不満も...

NPRによると、劣悪な食事内容のみならず、インターネットに接続できず、トレーニング機器がないなど、環境不備も指摘された。

前述のサンには、フィンランドの男子アイスホッケーのコーチから、中国が選手の人権を尊重していないと非難が出たことが指摘されている。ニューヨークポストは、寒すぎる最悪の天候もアスリートが最高のパフォーマンスを出すことを困難にしている要因だとした。

スウェーデンのチームからは、スケジュールはすでにフィックスされているので変更が困難であると承知しているとしながら、悪天候による最悪の状況を回避するため、試合時間をなんとか早めてもらえないかと懇願されているという。

中国の威信をかけて北京オリンピックを成功に導きたい大会委員会は、これらの諸問題にどう向き合っていくだろうか。

(Text by Kasumi Abe)無断転載禁止

ニューヨーク在住ジャーナリスト、編集者

米国務省外国記者組織所属のジャーナリスト。雑誌、ラジオ、テレビ、オンラインメディアを通し、米最新事情やトレンドを「現地発」で届けている。日本の出版社で雑誌編集者、有名アーティストのインタビュアー、ガイドブック編集長を経て、2002年活動拠点をN.Y.に移す。N.Y.の出版社でシニアエディターとして街ネタ、トレンド、環境・社会問題を取材。日米で計13年半の正社員編集者・記者経験を経て、2014年アメリカで独立。著書「NYのクリエイティブ地区ブルックリンへ」イカロス出版。福岡県生まれ

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