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【悲報】豪華な北京五輪ベッド、硬い東京の段ボール製。日本の環境配慮の理念がほとんど伝わっていなかった

安部かすみニューヨーク在住ジャーナリスト、編集者
東京五輪で活躍した、環境に優しい選手村の段ボール製ベッド。(写真:つのだよしお/アフロ)

北京オリンピックまであと4日に迫り、アメリカでも報道が増えてきた。

そんな中、リュージュのサマー・ブリッチャー(Summer Britcher)選手が北京の五輪選手村のベッドが「ハイテクですごい」と発信し、話題になっている。

ブリッチャー選手は、TikTokに投稿された質問「段ボールベッドですか?」に答える形で、このように発信した。

「素晴らしい体験を共有できるため、このような質問にワクワクします。北京大会の組織委員会が東京大会より良いものにできるかと考えてくれたこととして、ここには段ボールベッドがないだけでなく、Zero-G(ゼロジー)の素晴らしいベッドがあります」

同選手はリモコンで電動リクライニングベッドを操作しながら、北京大会の選手村のベッドの快適さを称賛した。

中国外務省の趙立堅副報道局長も、ブリッチャー選手のTikTokを引用し、「北京大会の選手村のベッドがどのように『世界を超える(規格外の)素晴らしさ』かご覧ください」と誇らしげにツイートした。

この話題について、米メディアも追随している。

五輪独占放映権を持つNBCニュースは、The Beds at the Beijing Olympic Village Are Guaranteed to Make Tokyo Athletes Jealous(北京オリンピックの選手村のベッドは、東京大会のアスリートを間違いなく嫉妬させるだろう)という見出しで、以下のように報じた。

「北京の選手村のベッドについて、悪名高かった東京大会のベッドのような段ボール製かと聞かれたブリッチャー選手の回答は、ファンを喜ばせるものだった。そして、おそらく何人かの東京五輪の出場選手を苛立たせることだろう」

実際に、東京大会に出場したラグビーのイロナ・マー(Ilona Maher)選手がブリッチャー選手の投稿内容に興味を示し、リプライした内容についても触れた。

「完全リモート操作のベッドですか?」「大きいベッドに見えますが、どのくらいの大きさですか?」。また東京大会のベッドについて「このくらいの大きさでした」(と言いながら、親指と人差し指で小さいサイズを示すジェスチャーをしながら)「可燃性が非常に高い(素材の)ものでした。そしてとても硬くて、使い始めて1週間で背中が痛くなりました」。

ニューヨークポストも、Plush Beijing Olympics beds put Tokyo’s cardboard mattresses to shame(豪華な北京オリンピックのベッドは東京大会の段ボールマットレスを超えた)という見出しで、東京大会の選手やチームUSAのリアクションを紹介した。

  • 「東京大会の段ボールのベッドがいかに不快だったかを思い出しました」(シッティングバレーボール、エマ・シークEmma Schieck選手)
  • 「(思い出して)泣いています」(重量挙げ、マティ・ロジャーズMattie Rogers選手)
  • 「あぁ、いいですね」(チームUSAのTikTok公式ハンドル)

東京オリンピックの1人用段ボール製ベッドについては、昨年の大会開催中、その耐久性を試す目的として、アイルランドの男子体操、リース・マクレナハン(Rhys McClenaghan)選手が「アンチセックス・ベッド」だと表現し、何度もジャンプする動画をソーシャルメディアに投稿し、炎上した。

また同様の目的で、イスラエルの野球選手も最大9人がベッドの上を飛び跳ね、意図的に損壊させ、その様子をソーシャルメディアに投稿し、こちらも炎上する騒ぎとなった。

住居も部屋の作りも日本に比べて大きいアメリカでは、体のサイズに合わせてクイーンサイズ以上のベッドを使用している人が多く、ベッドボードなども含めて頑丈で豪華な作りが好まれる傾向にあり、日本とは文化的な背景が異なる。それにしても、東京大会のベッドがツインサイズほどの大きさで高さもなく、段ボール製の素材が採用された背景として、新型コロナの感染対策および、車椅子利用者や地球環境への配慮という素晴らしい理念があったからだった。しかし、そのような背景や経緯が今回の報道でも触れられておらず、選手にもほとんど伝わっていないようで、とても残念だ。

(Text by Kasumi Abe)無断転載禁止

ニューヨーク在住ジャーナリスト、編集者

米国務省外国記者組織所属のジャーナリスト。雑誌、ラジオ、テレビ、オンラインメディアを通し、米最新事情やトレンドを「現地発」で届けている。日本の出版社で雑誌編集者、有名アーティストのインタビュアー、ガイドブック編集長を経て、2002年活動拠点をN.Y.に移す。N.Y.の出版社でシニアエディターとして街ネタ、トレンド、環境・社会問題を取材。日米で計13年半の正社員編集者・記者経験を経て、2014年アメリカで独立。著書「NYのクリエイティブ地区ブルックリンへ」イカロス出版。福岡県生まれ

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