速度の遅い低気圧で関東甲信は大雪
暖冬傾向と東京の寒さ
令和2年(2020年)の冬の特徴は「最低気温が高い暖冬」ということができるでしょう。
最高気温はほとんどの日で平年より高くなり、寒気が南下しても、平年並みを少し下回る程度しか下がりません。
西日本と沖縄では、最高気温が下がったと言っても、平年並みまでは下がりません。
そして、最低気温は、各地で平年より高い日が続いています。
このため、各地で記録的な暖冬となり、特に西日本と沖縄は記録的な暖冬となっています。
この週末の東京では、寒気が南下し、日照もないことから日中の気温が上がらず、寒く感じた人が多かったと思います。
ただ、最低気温は、平年より高くなっています(図1)。
前線上で低気圧発生
日本の南海上には停滞前線が停滞し、東日本から西日本の太平洋側を中心に、雨や曇りの天気が続いていました。
しかし、1月26日(日)の夜には、前線上の東シナ海で低気圧が発生する見込みです(図2)。
この低気圧は、閉塞前線と温暖前線、寒冷前線の3つの前線が、漢字の「入」の字になっています。
これは、低気圧の東側の寒気が西側の寒気より強い寒気であることの反映です。
閉塞前線で、温暖前線に追いついた寒冷前線の後ろ側の寒気が、先行していた温暖前線の前方にある寒気より暖かい場合は「入」の字になる「温暖型の閉塞前線」です。
図3は、2つの寒気を区別するため、より温度の高い寒気を、便宜上「冷気」とした場合の説明図です(図3)。
逆に、寒冷前線の後ろ側の寒気が、先行していた温暖前線の前方にある寒気より冷たい場合は「人」の字になる「寒冷型の閉塞前線」です。
日本付近は、大陸からの冷たい空気が次々に低気圧の後面に入ることが多いことから、2つの閉塞前線のうち、多いのは「寒冷型の閉塞前線」です。
ただ、今回は、低気圧前面の下層に強い寒気がありますので、低気圧によって南から持ち込まれた多量の水蒸気が大雪として降る可能性があります。
動きが遅いのが危険
低気圧が発達することから、26日夜から西日本では暴風警報が発表となる可能性があります(図4)。
低気圧の東進に伴って、東日本の太平洋側から西日本では雨となり、標高の高い地域や寒気が入っている地域では雪となります(図5)。
関東甲信地方では、低気圧の動きが遅いために雨や雪が降る期間が長くなり、関東甲信地方では、28日から29日に大雪警報が発表となる可能性が出ています(図6)。
図7は、72時間予想降雪量で、関東北部や関東西部では、所により70センチ以上の雪が降る計算ですが、その多くは明後日以降に降るものです。
今週の天気は、東シナ海でこれから発生する動きの遅い低気圧によって大きく変わりますので、最新の気象情報の入手に努めてください。
タイトル画像、図4、図5、図6、図7、図8の出典:ウェザーマップ提供。
図1の出典:気象庁資料とウェザーマップ資料をもとに著者作成。
図2の出典:気象庁ホームページ。
図3の出典:饒村曜(平成27年(2015年))、気象予報士完全合格教本(改定3版)、新星出版社。