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猫背のほうがラク?「いい姿勢」のほうがツライと感じる3つの理由とは

畠山仁美所作講師

あなたは、背筋を伸ばした「いい姿勢」と、力を抜いた「猫背の姿勢」、どちらのほうがラクだと感じますか?

いわゆる「いい姿勢」というのは、「体にとって最も負担の少ない姿勢」ということができます。そうであるならば、いい姿勢のほうが疲れにくいはず。ですが実際には、姿勢を正してから3分もキープできない人がとても多いです。

「むしろ猫背のほうがラク」と感じてしまうのは一体なぜなのでしょうか。

1.長年のクセがついているから

丸めたポスターはまっすぐに伸ばしてもすぐにクルっと元に戻ってしまいます。

それと同じように、もう何年も(子どもの頃からであれば何十年も?)猫背でいるのが普通、と体が覚えてしまっていれば、伸ばしたほうが違和感があるのは当然のこと。一瞬姿勢を正しても、すぐに元通りになってしまいます。

2.よい姿勢をキープするだけの筋力がないから

姿勢をキープするための筋肉である抗重力筋、なかでも腹筋のインナーマッスル(腹横筋)が使えていない人は多いです。いい姿勢を保つための筋力がないので、すぐに猫背に戻ってしまいます。

そうなると、姿勢が悪い→筋肉を効果的に使えない→筋力が衰える→姿勢をキープできない→姿勢が悪い…の無限ループから、なかなか抜け出すことができません。

3.「筋肉を使わない=ラク」だと脳が錯覚しているから

前述したように、悪い姿勢は筋肉をうまく使えていません。

猫背であれば腹筋や背筋をあまり使わないせいで、脳が「体を休めている、リラックスしている」と錯覚し、ラクだと感じてしまいます。

しかし実際は、腹筋や背筋を使っていないぶん、首・肩・腰などに余計な負担を強いています。

そして、負担のかかった筋肉はガチガチに硬くなっているので、背すじを伸ばそうとしてもうまく伸びず、いい姿勢のほうがキツイと感じてしまいます。(なので、姿勢を正す前にはストレッチが欠かせません)

「ラクに感じる姿勢=体にとっていい姿勢」ではない

猫背、背もたれにもたれかかった座り方、片方の足に体重を乗せた立ち方、脚を組む、頬杖をつく…などなど、一時的・短期的にはラクに感じるかもしれません。

しかし長い目でみれば、負担をかけている腰や膝、首や肩になんらかの不調が出てきます。

猫背の方がラク、と感じる方は、姿勢を維持するための筋肉が弱っている可能性があります。

日常生活の中で「いい姿勢」を意識するだけでもインナーマッスルは鍛えられます。まずは立っているとき、座っているとき、しっかり腹筋を使う、ということから意識してみてくださいね。

所作講師

日常の振る舞いを見直すことで、心・体・生活を整えるお手伝いをする所作講師。立つ・座る・歩く・物を扱う・挨拶する、といった日常あたりまえに行っている所作を通して、振る舞いだけでなく自分の内面も見つめ直すレッスンが好評。2011年の開講以来マンツーマンレッスンにこだわり、一人一人と向き合ってきた。ブログ【所作美人のヒント】では、バタバタと忙しい日々の中で、所作を通して自分を磨く考え方を発信。著書「一日一分からはじめる『おだやかな人になる所作の習慣』」

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