クマ被害と動物保護との葛藤!秋田県では2,183頭⇒上限800頭|確実な被害防止対策が急務
昨年よりクマの出没が相次ぎ、農作物への被害や人的被害も多く起きています。
2023年の人的被害は「沖縄・九州・四国地方」を除いた北海道と本州で、198件・219人が被害に遭い、その内6名が死亡に至っています。
全国で最も多くクマ被害に遭ったのは秋田県で70名、そのため捕獲数も最も多く、2,183頭が捕殺されています!
今年も秋田県では、7月2日現在で6名が被害に遭っていますが、2024年のクマの捕獲数の上限を800頭台とする方針が出されました。
クマ被害と動物保護の葛藤を抱えている現状が見えてきます。
クマ類の捕獲数(許可捕獲数)から2024年を振り返る
これは環境省が公開している「クマ類の捕獲数(許可捕獲数)」から、2024年度(令和5年度)を抽出したものです。
水色で着色した「茨城・千葉・愛知・大阪・和歌山」の1府4県では、捕獲数はゼロでした。
一方で、北海道は1,422頭、秋田県は2,183頭が捕殺されており、秋田県に生息するツキノワグマの、推定4,400頭のほぼ半分の数です。
これだけの捕殺数は人的被害件数に比例する
これは先と同じく、環境省が公開している人的被害の一覧から、2024年度(令和5年度)を抽出した表です。
多くの都府県ではクマの出没は相次いでいますが、人的被害が少ないのが現状です。
ヒグマの被害は北海道で6件・9人、その内2名が死亡しており、岩手県でも46件・49人が被害に遭い2名が死亡に至っています。
しかしながら、秋田県では死亡者は出ていませんが、62件・70人が被害に遭っており、北海道の約10倍と被害が拡大しているのが分かります。
この数字から先のクマの捕殺数は、人的被害の件数に比例しているといってよいでしょう。
秋田県では2024年度は保護の観点から捕獲数の上限を800頭台にする
2024年7月5日の「FNNプライムオンライン」によると、7月5日に秋田県庁で開かれた学識経験者などで組織する検討委員会では、2024年度のクマの捕獲数の上限について協議が行われました。
その結果、推定される生存率や繁殖率などを基に、上限を800頭台とする方針を示しています。
ただし、捕獲数が上限を超えた場合でも「有害駆除」による捕獲は制限しない、との条件付きです。
- 去年と同じ数を捕殺するとツキノワグマの生態を脅かす
- クマの好物とされるブナの実が、今秋県内では「並作」となる予想
- クマが山で食料を調達できる
- 人里に現れることが比較的少なくなると予想
これらの要因から、7月中旬にも具体的な捕獲上限数を示す予定となっています。
7月4日時点の秋田県でのクマの目撃情報と被害者数
7月4日時点の秋田県でのクマの目撃情報は531件で、被害件数は5件・6人と今年も全国でトップになっています。
また、捕殺数も既に46頭にのぼっていますが、次のように全国では6番目に留まっているのです。
2024年(令和6年)6月27日現在のクマの捕獲数
道県/合計数/捕殺頭数/非捕殺
- 北海道/106/106/0
- 岩手/ 104/104/0
- 福島/ 79/ 78/1
- 新潟/ 52/ 52/0
- 山形/ 47/ 47/0
- 秋田/ 46/ 46/0
- 島根/ 43/ 35/8
- 京都/ 31/ 31/0
- 石川/ 29/ 29/0
- 群馬/ 28/ 28/0
6月27日時点では北海道が106頭とトップであり、次いで岩手県にて104頭が捕殺されています。
岩手県では人的被害が5件・6人起きており、1名が死亡に至っています。
この数字から見ると今年は北海道のヒグマや、岩手県のツキノワグマの被害が多くなると予想してしまいます。
確かにクマの出没は全国的に多くなっていますが、出没したクマを全て捕殺すると絶滅する恐れもあります。
そうなると、自然界の生態系のバランスが崩れることとなり、どのような副作用が起きるか分かりません。
クマの保護と確実な被害防止策は、各自治体だけでなく国策として急務であると、いえるのではないでしょうか。