なぜ明日から、有名映画の舞台にもなったパーク ハイアット 東京が休館? 今後の展望と評判のグルメ総括
パーク ハイアット 東京がリニューアル
パーク ハイアット 東京は1994年7月9日に開業しました。東京都庁すぐ近くにある新宿パークタワーの39階から52階に位置し、アートあふれる洗練された館内から、東京を一望できる素晴らしいビューを有しています。ゲストルームはスイート23室を含む全177室があり、スタンダードルームでも平均55平方メートルと、非常にゆとりのある広さ。当時のゲストルームを鑑みれば、驚くべきスペーシャスな空間です。「ロスト・イン・トランスレーション」のロケ地としても国内外でよく知られており、根強いファンがいます。
1992年にオープンしたフォーシーズンズホテル椿山荘東京、1994年10月にオープンしたウェスティンホテル東京と共にホテル新御三家と呼ばれ、憧れのホテルとして存在感を示してきました。
フォーシーズンズホテル椿山荘東京は2013年にホテル椿山荘東京へとブランドチェンジし、ウェスティンホテル東京は2023年12月に館内施設をリニューアル。そして、今年で30年を迎えるパーク ハイアット 東京は明日2024年5月7日のチェックアウト後から休館し、約1年半の改修工事を経て、2025年秋に再オープンする予定です。
食の評価も高い
食の評価も非常に高く、8つもの料飲施設を擁しています。
・ニューヨーク グリル(グリルレストラン/52階)
・ニューヨーク バー(バー/52階)
・梢(日本料理/40階)
・ジランドール(オールデイダイニング/41階)
・ピーク ラウンジ(ラウンジ/41階)
・ピーク バー(バー/41階)
・ペストリー ブティック(ペストリーショップ/2階)
・デリカテッセン(デリカテッセン/1階)
グリルレストランから日本料理、オールデイダイニングにラウンジやバー、ホテルショップを擁しています。主な施設を詳しく紹介していきましょう。
ニューヨーク グリル
最上階52階に位置する「ニューヨーク グリル」はハイクオリティな美食に出逢える場所としても、プロポーズに最適なムーディーな空間としても、評価されているレストランです。世界の有名料理人とのコラボレーションもよく行われています。
2024年2月から料理長を務めるのはイギリス出身のベン ウィーラー氏。ラグジュアリーホテルで腕をふるってきた経験が豊富で、食をはじめとして日本の文化をとてもリスペクトしています。
シェフたちの活気あふれる姿を映す大きなガラス張りのオープンキッチンや、東京を見下ろすダイナミックな眺望が特徴。神戸ビーフや仙台牛など和牛のステーキが絶品で、前菜のタラバ蟹のケーキも定番です。
グリル料理が自慢ですが、ジャンルを超えた独創的な料理の数々も味わえます。カリフォルニアをはじめとして厳選したアメリカ産ワインも非常に充実。ワインセラーには常時約140種類、1800本以上が揃えられています。
ニューヨーク バー
「ニューヨーク グリル」の隣にあるのが、ニューヨークの摩天楼さながらの大都会の夜景とジャズバンドのライブ演奏を満喫できる「ニューヨーク バー」です。ニューヨークをテーマにしたオリジナルカクテルや数々の銘酒とともに、上質な大人の時間を楽しめます。
数あるカクテルの中でも白眉なのが、色合いが美しい「L.I.T.」。パーク ハイアット 東京が重要な舞台となった映画「ロスト・イン・トランスレーション」の製作を記念してつくられました。外国人の視点でとらえた日本をテーマにし、桜のリキュールや日本酒を使用し、美しい薄桃色とほどよく利いた酸味が、作中の淡い恋心を想起させます。
梢
個性豊かな器に繊細に盛りつけて、四季折々の旬の恵みを大切に生かした日本料理を味わえるのが「梢」。晴れた日には遠く富士山を眺めながら、ディナータイムには煌めく夜景を眼下に望めます。
2020年2月から料理長を務めるのは吉田展大氏。吉田氏の幅広いスキルと知識を生かし、料理の季節感と繊細な味覚を紡ぎ、器にもこだわっています。大鉢のお造りやダイナミックな八寸など、料理はどれも、洗練された繊細な味わいながらもビジュアルであっと目を引くプレゼンテーション。
空間美やきめ細やかなおもてなしに至るまで、五感に響くダイニング体験ができます。
ジランドール
天井までの高い壁を埋め尽くした144枚のモノクロ写真が印象的な、フレンチスタイルのオールデイダイニング。焼き立てのペストリーが並ぶ清々しい朝食から、カジュアルでありながら味わい深いフレンチブラッセリーのディナーまでと幅広いです。
堤耕次郎氏が2019年12月から料理長を担っています。フランスでの修業経験も有しており、調理の技術や感性に加えて、チームを率いるマネジメント力でも評価されているシェフです。
フランス料理のフルコースはもちろんのこと、クラブハウスサンドウィッチやナシゴレンといった軽食も好評を博しています。
ペストリー ブティック
ホテル2階正面玄関の左手にあるのが「ペストリー ブティック」。ケーキをはじめ、ペストリーやデニッシュ、焼き菓子、チョコレート、ギフトアイテムなどが購入できます。
ペストリーシェフはフランス・ブルターニュ地方出身のジュリアン ペリネ氏です。世界の名だたるホテルや名店で研鑽を積み、2020年12月から現職。ヨーロッパで習得した技術と豊富なアジアの経験を生かし、オリジナルスイーツを創出しています。
季節のショートケーキやダイナミックなエクレア、種類豊富なタルトなど、人気商品は枚挙に暇がありません。
さらなる進化のために
パーク ハイアット 東京は、利用した感じではオープン当時と変わらない装いです。しかし、30周年を迎えるにあたり、長年愛されてきた施設をこれまで以上に快適で心地よい滞在空間へと進化させるために、いったん全館の営業を休止し全面的に施設と設備の改修工事をすることになりました。
改修にあたっては、開業時からホテル全館のインテリアデザインを監修してきたジョン モーフォード氏による、時代を超越したオリジナルのデザイン哲学を尊重。多様化する現代旅行者のニーズに対応するため、これまでいくつものラグジュアリーブランドとのプロジェクトを手がけてきた、世界的に著名な建築デザイン事務所「ジュアン マンク」を起用します。
料飲施設の今後
8つあるレストラン&バーにも変化がありそうですが、リオープン後についての公式アナウンスはまだありません。ただ、絶大な支持を誇る「ニューヨーク グリル」や「梢」といったレストランが変わることは考え難いのではないでしょうか。
2024年4月25日に行われた、最後のクローズドなイベントが盛大な賑わいをみせていたように、熱心なファンがいることは周知の事実。パーク ハイアット 東京のファンは安心しながら、来年の秋を楽しみにして待つのがよいと思っています。