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【鉄道】運休や徐行が多く発生、払い戻しは無手数料で対応 南海トラフ地震臨時情報への鉄道の対応は?

小林拓矢フリーライター
東海道新幹線は一部区間で速度を落として運転する(写真:イメージマート)

 8日に日向灘で地震が発生し、その影響で近く南海トラフ地震が発生する可能性が高まっている。この状況を受けて、太平洋側の鉄道各社は運休や徐行運転などの対応を発表した。あわせて、特急券などの払い戻しなどの案内も示した。

どんな列車が運休になったのか?

 JR東海は、特急「南紀」「伊那路」「ふじかわ」を運休にしている。また寝台特急「サンライズ瀬戸・出雲」も運休だ。「南紀」は何かあったら地震や津波に直撃されるエリアを走っており、「ふじかわ」は身延線内の土砂崩れや、東海道本線の海岸沿いで影響があるとなる。「伊那路」は土砂崩れ対応の問題を抱えている。「サンライズ瀬戸・出雲」は東海道本線を延々と走る列車であり、深夜に被災すると問題が大きいということである。

「サンライズ瀬戸・出雲」は運休となる
「サンライズ瀬戸・出雲」は運休となる写真:イメージマート

 JR西日本では、特急「くろしお」の和歌山以南が運休になっている。紀勢本線は海沿いを走っており、地震や津波の影響を受けやすい。

 近鉄では、五十鈴川~賢島間で特急を運休する。「しまかぜ」は宇治山田発着になる。なお「ひのとり」は停車駅を増やす。

 特急の運休は、8月15日ころまでを目途にしている。

 JR九州では、現在のところ運休は発生していないが、何かあった際には特急は運休になることが想定される。

 また土佐くろしお鉄道ごめん・なはり線では、安芸~奈半利間で運休となっている。

遅延も発生、ふだん通りではないことに注意

 鉄道各社では徐行運転も実施しており、それにより列車ダイヤが通常通りにはならないことにも注意していただきたい。

 JR東日本では、東海道本線の大磯~熱海間、伊東線の熱海~伊東間で速度を落として運転している。なお、伊東線に接続する伊豆急行でも、一部区間で速度を落として運転する。これらの区間は海沿いであり、地震や津波などの影響を受けやすい。湘南新宿ラインや上野東京ラインなど、広範囲に影響がある。

 また中央本線の大月~茅野間でも速度を落として運転する。土砂崩れなどの影響を受けやすいエリアである。これは特急「あずさ」「かいじ」が速度を落とすということであり、中央線快速などへの影響もある。

中央線特急遅延の影響は都心部にも波及する可能性も
中央線特急遅延の影響は都心部にも波及する可能性も写真:イメージマート

 JR東海では、東海道新幹線の三島~三河安城で速度を落として運転する。この影響でふだんよりも10分以上の遅れが見込まれる。その影響で山陽新幹線にも遅れが発生し、新幹線同士の接続が普段通りではない可能性もあることに気をつけていただきたい。

 JR西日本では紀勢本線の御坊~新宮間で徐行運転を行っている。

 JR四国では牟岐線の由岐駅~阿波海南間、土讃線の吾桑~土佐久礼間で徐行となる。

 土佐くろしお鉄道ではごめん・なはり線ののいち~安芸間で徐行、中村・宿毛線でも徐行運転となる。

 このほかにも、各社で徐行運転などが発生することがあり、それによるダイヤへの影響が見られることが想定される。

 運休や遅延は、地震や津波などによる被害が大きそうなところで実施されている。このあたりの鉄道を利用しようとしている人には、注意していただきたい。

払い戻しは乗車日から1年以内に

 8月8日から8月15日(ただしJR四国は14日)に有効期間を含む、JR東日本・JR東海・JR西日本・JR四国・JR九州を利用するきっぷを持っている人には、払い戻しや有効期間の変更を無手数料で行う。乗車(予定)日から1年以内なので、あわてて窓口に行く必要もない。なお、指定席券売機でも払い戻しができる場合もある。

「えきねっと」「エクスプレス予約」「e5489」「JR九州ネット予約」では、期間内で払い戻しの対象となる列車は、無手数料で払い戻しとなる。ネット予約の場合は、予約者自身で払い戻しの作業をする必要がある。

 南海トラフ地震臨時情報の発表を受けて、お盆の時期の旅行を取りやめる人は、あわてないでこれらの作業を行っていただきたい。

お盆時期の旅行の注意

 それでも、この時期に移動しなければならない人たちもいる。その人たちは、余裕を持った行動を取っていただきたい。ふだん接続できる列車が接続できなかったり、また万が一地震が起こったりした場合などを想定しながら行動していただきたい。

 夏は「青春18きっぷ」を使用して旅行する人も多い。ただこのきっぷは、何かあっても対応しない、利用者自身が自力でなんとかすることを前提にしたものなので、そのあたりは考慮した上で旅行に出かけてほしい。

「青春18きっぷ」は「自己責任」のきっぷだ
「青春18きっぷ」は「自己責任」のきっぷだ写真:イメージマート

 この時期に移動する人もしない人も、それぞれ事情はあるかもしれないが、くれぐれもご安全を第一にしてほしい。

 また状況は変わることもある。鉄道各社のホームページなどをこまめにチェックすることが大事だ。

フリーライター

1979年山梨県甲府市生まれ。早稲田大学教育学部社会科社会科学専修卒。鉄道関連では「東洋経済オンライン」「マイナビニュース」などに執筆。単著に『関東の私鉄沿線格差』(KAWADE夢新書)、『JR中央本線 知らなかった凄い話』(KAWADE夢文庫)、『早大を出た僕が入った3つの企業は、すべてブラックでした』(講談社)。共著に『関西の鉄道 関東の鉄道 勝ちはどっち?』(新田浩之氏との共著、KAWADE夢文庫)、首都圏鉄道路線研究会『沿線格差』『駅格差』(SB新書)など。鉄道以外では時事社会メディア関連を執筆。ニュース時事能力検定1級。

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