ポイント「現金化」も可能に PayPay資産運用がサービス拡充
PayPayのアプリ内から投資ができる「PayPay資産運用」がサービスを拡充し、4月8日からポイントを買い付けに利用できるようになりました。
投資を始めるきっかけが増えるのは嬉しい点ですが、それに加えてポイントの「現金化」が可能になったことも注目されています。
PayPayで「ポイント投資」が可能に
PayPay経済圏で投資ができるサービスとして、最も手軽に使えるのは「ポイント運用」です。
これはあらかじめ用意されたコースを選んでポイントを投入すると、相場の動きにあわせてポイントが増減するというものです。
そこからステップアップしたい人に向いているのが、実際にETFや投資信託を売買できる「PayPay資産運用」です。
言葉は似ていますが、「ポイント運用」はポイント自体が増減するのに対し、「資産運用」(ポイント投資)はETFや投資信託の買い付け代金にポイントを充当できるという違いがあります。
位置付けとしては、日本株や米国株を1000円から買い付けできる「PayPay証券」の簡易版といえますが、より初心者向けに工夫されている印象です。
選べる銘柄も追加され、ETFとしては米国株式に投資できる「VTI」、全世界株式の「VT」、投資信託としては低コストで話題の「PayPay投資信託インデックス アメリカ株式」などが選べるようになっています。
このようにサービスが拡充されたことで、PayPay資産運用とPayPay証券の違いが分かりにくくなった感はあるものの、本格的に積み立てを始める前にポイントを使って実際の銘柄を保有する体験ができるのはメリットといえそうです。
また、長期の資産形成にはNISAやiDeCoといった制度をフルに活用したいところです。PayPay資産運用やPayPay証券はまだNISAに対応していないものの、新しいNISAへの対応を視野に入れて取り組むとの意向を表明しています。
ところで、このポイント投資機能の「裏」の使い方として、PayPayポイントの現金化ができるという点がSNS上で注目されているようです。
実はプレスリリースの中にも、「有価証券を売却するとPayPay残高(PayPayマネー)へチャージされ、お買い物などに利用できます」との記述があります。
PayPayマネーはPayPay銀行に出金することができるので、見方を変えればたしかに現金化ともいえそうです。PayPay証券に確認したところ、買い物などの利用だけでなく、資産をいったん売却して組み替えるといった用途も想定しているそうです。
実際に試してみました。まずは1000ポイント分の米国株式のETFを購入します。PayPay資産運用では、米国市場が閉じている時間帯でも取引が可能です。
価格には手数料などが含まれるスプレッドが上乗せされています。買い付けた直後は評価額がスプレッドの分だけ下がり、980円となりました。
これを即座に売却すると、PayPayマネーとして980円を受け取れます。そのままPayPay銀行の口座に出金することもできました。
注意点として、PayPay資産運用で使えるのはPayPayポイントのみで、「PayPayマネーライト」は使えません。これらの違いは残高の種類のページで確認してください。
もちろん、ポイントをPayPayでの支払いに使えば1000ポイントを1000円として使えるため、やや損をした形にはなりますが、ポイントを現金化できるコストとしては許容範囲と感じる人が多いでしょう。
PayPayで「投資」 本格化するか
PayPay証券は最近、第三者割当増資を発表し、筆頭株主はソフトバンクに代わって「PayPay株式会社」となりました。
PayPayはソフトバンクの連結子会社なので、同じグループであることに変わりはないものの、今後はPayPayのアプリやサービスとの連携がさらに深まることを予想させる動きです。
すでにポイント運用の画面には、PayPay資産運用の利用を促すリンクが目立つ場所に置かれています。PayPay資産運用でもポイントが使えるようになったことで、この移行が加速しそうです。
また、これまでのPayPayポイントは用途が限られていましたが、これがわずかなコストで「現金化」できるとなれば、ポイントの価値をより高く見積もることができるはずです。
ポイントが外に出て行ってしまう影響は気になるところですが、PayPay経済圏の利用者にとってポイントの魅力が高まることは間違いないでしょう。