PayPayで米国株も「つみたて」 今後のNISA対応に期待高まる
PayPay経済圏のスマホ証券「PayPay証券」のアプリに、3月31日から米国株式の「つみたて」機能が加わりました。
まだ実現していない「NISA」対応についても前向きな姿勢を示すなど、PayPay経済圏の中で着実に足場を固めています。
米国株を1000円から積み立て可能に
PayPay証券は、前身となるスマホ証券「One Tap BUY」からブランド変更したという経緯もあり、まだNISAに対応していないことが課題の1つになっています。
この点についてPayPay証券は、今後予定している施策として「新しいNISA制度等への対応を視野に入れた取り組み」を表明。具体的な時期は示していないものの、一歩前進した印象です。
その中で新たに加わったのが、米国株の「つみたて」サービスです。これまで米国株の売買には対応していましたが、定期的な買い付けができるようになっています。
実際にPayPay証券のアプリで米国株を見てみると、「つみたて」というタブが加わっていることが分かります。
積み立ての頻度としては、「毎週」または「毎月」を選択可能で、毎週の場合は「曜日」、毎月の場合は「日付」を指定できます。
米国株は日本株に比べて最低投資単位が小さく、投資しやすい印象はありますが、さらにPayPay証券では金額を1000円から指定できます。これから始めたい人にとって優しい仕様といえるでしょう。
また、米国株の取引時間は日本時間では深夜になり、生活時間に合わないという人も多いと思われますが、PayPay証券は24時間の取引に対応しているというのも便利です。
一方で、こうした便利サービスはPayPay証券との相対取引であるからこそ実現しているともいえるため、利用にあたっては注意が必要な点もあります。
相対取引では、PayPay証券との間で株式を売買することになります。株価は市場価格などを参考にPayPay証券が決めており、時間帯によってスプレッドが上乗せされます。
また、日本円で米国株を売買するにあたっては、為替手数料が発生します。これは1ドルあたり片道35銭となっています。
これから少額で取引を始めてみたいという人にとってはそれほど大きな問題ではないものの、長期的な資産形成を目的とするならば、他の大手ネット証券のほうが無難といえます。
こうして見ていくと、2024年に始まる「新しいNISA」への対応だけでなく、ほかにもPayPay証券に実現してほしいサービスは山のようにあるのが現状です。
米国株式の取引でいえば、買い付け代金として手持ちの米ドルを使えるとか、売却後は米ドルで保有する、あるいは外貨建てMMFに移しておくといったサービスが実現しています。
PayPay銀行の外貨預金では米ドルを片道5銭で交換できることから、これをPayPay証券に移して米国株を買いたい、といったニーズが考えられます。
また、楽天証券で取引をすると「SPU」の仕組みで楽天市場での買い物がおトクになります。PayPay経済圏では、「PayPayステップ」とPayPay証券がどのように連携していくかというのも、気になるところです。
「超」低コスト投資信託も登場
もう1つ注目したいのが、低コスト投資信託の動向です。PayPayブランドの投資信託としては、3月22日から全米株式のインデックスファンドの運用が始まっています。
特徴として、このファンドを運用するPayPayアセットマネジメントは「業界最低水準の運用コスト」を目指すとうたっています。
他社のファンドと比較すると、先行する「楽天VTI」の年0.162%程度に対して、「SBI・V・全米株式」は年0.0938%程度という低コストで人気を集めてきました。そこにPayPayが年0.0806%程度というさらなる低コスト競争を挑んできた形です。
新しいNISA制度では、非課税で保有できる期間が無期限になることもあり、同じインデックスに投資するファンドならば、少しでもコストが低いに越したことはないでしょう。
現時点ではこのファンドは、PayPay証券のみの取り扱いとなっています。「超」低コストのメリットを享受するためにも、PayPay証券のNISA対応に期待したいところです。
追記:
6月29日、PayPay証券は新しいNISAへの対応について、2024年1月の制度開始にあわせて「PayPay資産運用」およびPayPay証券アプリで利用できるよう、準備を進めていることを明らかにしました。
PayPay証券アプリの取り扱い銘柄に投資信託12銘柄を追加しました ~新NISA取り扱いに向けて対象銘柄を強化~ | ニュースリリース | PayPay証券