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食べ放題・ブッフェ・バイキングで一度にたくさん取っていいのか? 大量取得がダメな4つの理由

東龍グルメジャーナリスト
(写真:イメージマート)

大量取得

食べ放題や飲み放題の飲食店に訪れた際には、どのように食べますか。

先日、気になる記事を拝読しました。

“大食い客”食べ&飲み放題で大量オーダー 店は拒否できる? 弁護士に聞く/オトナンサー

食べ放題や飲み放題の飲食店で、大量に取ろうとしたり注文しようとしたりする人がいた場合にどうなるのか、弁護士に尋ねた記事です。残念なことに、飲食店は拒否できず、そして、食べ残されても賠償請求は難しいという回答になっています。

改めてブッフェの現況やマナーを紹介しましょう。

ブッフェ形式の大量取得

そもそも、食べ放題や飲み放題で大量に取ったり、注文したりすることはできるのでしょうか。

ブッフェ形式の場合には、自分でブッフェ台に行き、自由に取ることができます。食べ終える前でも、再び取りに行くこともできるので、大量に持って来ることができてしまうでしょう。実演方式であれば、スタッフに、口頭で伝えて料理をつくったり、サーブしたりしてもらうので、大量に持って来ることが難しいです。

大量に取ることを防ぐには、個々盛りについては「1人1つまで」と定めたり、食べ残したらペナルティを科すと周知するしかありません。

オーダー形式の大量取得

オーダー形式の場合には、料理であれば、1度のオーダーにつき何品まで注文できると決まっています。

だいたいのところ、一度のオーダーにつき、1人2品~3品といったところでしょうか。食べ終えてから、もしくは、食べ終えそうになってから注文するのが一般的です。ドリンクであれば、飲み終えてから空のグラスと交換になっています。

したがって、しっかりとルールが定められてさえいれば、大量に注文するのは容易ではありません。

飲食店が適切にルールを定めていれば、ブッフェ形式でもオーダー形式でも、大量取得をある程度は防ぐことができます。

ブッフェのマナー

ブッフェのマナーの立場からも考えてみましょう。

1958年8月1日に、日本におけるブッフェスタイルの発祥となった帝国ホテルのバイキングが誕生しました。日本ブッフェ協会は、バイキングにおけるマナーやバイキングのもとになった北欧料理のスモーガスボードをベースにして、ブッフェにおける基本マナーと上級マナーを紹介しています。

ブッフェを正しく楽しく味わうためのマナーを提案/一般社団法人 日本ブッフェ協会

基本マナーは以下の通りです。

・自分の分だけを取る
・全て食べる
・ブッフェ台をきれいに使う
・適度に食べる
・ドリンクを飲み終えてからお替わりする

基本マナーができた上で、上級マナーは下記のようになります。

・少しずつ取る
・色々なものを試してみる
・コースで食べる

こういったマナーを踏まえた上で、次の4点から大量取得が好ましくないことを説明していきます。

全て食べる

ブッフェでは、基本的に自分で取ったり、オーダーしたりしたものは、全て食べることが大前提です。大量に取ったりオーダーしたりしたとしても、全て食べられるのであれば、原則的には許容するしかありません。

ただ、飲食店の運営は、慈善事業ではなく営利事業です。したがって、赤字とならないように、システムを最適化したり、客を選別したりする必要性や権利があります。

少量多皿

食べ放題といっても、大食いを推奨するために存在しているわけではありません。各個人によって食べられる分量が異なるため、それぞれにとって最適なボリュームを食べて満足してもらえるようにしているだけです。

飲食店は、多量少皿ではなく少量多皿を標榜しており、客に食体験を広げてもらいたいと思い、様々なメニューを用意しています。同じものをたくさん食べるのではなく、色々なものを試してみるのがよいです。

適量だけ取る

適量だけ取って、食べ終えたらその都度取りに行くのがマナーです。大食いしたり、取りに行くのが面倒であったりするからといって、山盛りにするのは全くスマートではありません。

もしも食べ足りなければ、何度でも取りに行けばよいです。多く取ってしまうと、食べ残してしまう可能性も高くなります。山盛りにしてしまうと、皿の中で料理がくっついてしまったり、味や温度が混ざってしまったりして、食味も損なわれてしまうので、よくありません。

他の客に配慮

大量に取ったりオーダーしたりしてしまうと、他の客が食べられなくなる可能性があります。料理はあくまでも全ての客の共有物なので、ある程度は他の客に配慮しなければなりません。

1人で3人分以上を取得するのは多すぎるといってよいでしょう。一度にたくさん取る必要は全くありません。もしも好みのものを見つけたら、後でまた取ったりオーダーしたりすればよいです。

食育の観点

ブッフェは自由な食のスタイルであり、自主性と協調性を養えるので、食育に最適です。中学や高校でも「バイキング給食」が実施されることがあります。

食品のバランスを考える(自主性)
タンパク質を含む「赤」の食品、ビタミンなどを含む「緑」の食品、糖質を含む「黄」の食品をバランスよく食べる
料理を皿に整えて盛る(自主性)
自分のお皿に丁寧に盛る
きれいに片づける(協調性)
使ったトングなどの器具を、次の人が使いやすいようにする

通常の給食では給食当番が配膳しますが、バイキング給食では自分で考えて料理を取る必要があるので、上記のような振る舞いが必要となるのです。

考えながら楽しむ

大量に取ったり、オーダーしたりするのは、マナーに照らしても、本人の食体験からもあまりよいことではありません。飲食店にとってはもちろん、他の客にも迷惑をかけます。

ブッフェはせっかく好きなように食べられるスタイルであるだけに、ただ闇雲に取ったりオーダーしたりするのではなく、自分自身の食べ方や他の客のことも考えながら、自由に楽しく食べていただきたいと思います。

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グルメジャーナリスト

1976年台湾生まれ。テレビ東京「TVチャンピオン」で2002年と2007年に優勝。ファインダイニングやホテルグルメを中心に、料理とスイーツ、お酒をこよなく愛する。炎上事件から美食やトレンド、食のあり方から飲食店の課題まで、独自の切り口で分かりやすい記事を執筆。審査員や講演、プロデュースやコンサルタントも多数。

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