マラソンを走ることは、なぜ出産と似ているのか?
読んで頂いてありがとうございます!
たくや/ランナーです。都内で医師&ランニングコーチをしています。
今回は「マラソンを走ることが、出産と似ている理由」の文献より~マラソンのあと、薄れていく辛かった記憶、だからまたポチってしまう~について書きます。
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はじめに
マラソンを走ったことはありますか?
それはもうメチャクチャ辛くて、もう二度と走らない!と思った方は多いと思います。ですが時間がたつと辛かった経験を忘れて、気がつくとマラソンの申し込みをポチってしまう。そんな経験はありませんでしょうか。
そう、マラソンの辛かった・苦しかった経験は、時間とともに薄らぐことが知られています。
マラソンを走った痛みと、その後の記憶の変化
実際に文献でもいくつか報告があります。上のグラフはポーランドの文献で、ハーフトレイルマラソンを走った49人にアンケートを行ったものです。走る前後とその1ケ月後で、痛みの強さと不快感がどう変化するかを調べています。結果1ケ月後には、痛みの記憶が薄らいでいることが分かります。
また、フルマラソンを走った127人に行った調査では、1週間後、1ケ月後と経過するにつれて痛みの記憶は薄らいだとの文献もあります。
全ての痛みが、時間とともに薄らぐものではない
とはいえ、全ての痛みの記憶が時間とともに緩和するものではありません。手術に関連した痛みや慢性疼痛などは、時間を経ると痛みの記憶が強くなるとも言われています。マラソンの辛さ苦しさは、その心理的な要因や、生理学的要因から、時間とともに緩和すると言われています。
なぜマラソンは、痛みの記憶が緩和する?
痛みの記憶が緩和する要因には、以下の仮説があります。
1)極度の肉体的挑戦であること
2)ポジティブな感情や社会的背景があること
3)ランニング中にエンドルフィンとオキシトシンが分泌されることで、痛み記憶が緩和する
4)ランニング中やその後に分泌されるノルアドレナリンとグルココルチコイドが、痛み記憶を軽減する効果がある
そして1-4は出産にも共通であると、文献は結んでいます。出産は、痛みの記憶が時間とともに緩和するので、2人3人と妊娠・出産ができるのです。マラソンも同様に、痛みの記憶が時間とともに緩和するので、しばらくするとまたポチってしまうわけです。
以上、最後まで読んで頂いてありがとうございました。
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たくや/ランナーについて
中学・高校・大学と陸上競技部で、そして卒業後もランニングを続けています。フルマラソンのベストは2時間50分。
今は都内の病院で勤務をしつつ、ランステでコーチをしています。
発信はおもにNOTEでしています(ビアランニングドクターのNOTE)