ドイツと鹿島にあって、日本代表にはない “余力”
ドイツとチリが決勝を争ったコンフェデレーションズ杯は、ドイツの優勝で幕を閉じた。平均年齢24歳。今回のメンバーで、前年のユーロ2016を戦った選手は8人しかいない。優勝はまさかの結果だったと思われる。今回は選手層を厚くすることが一番の目的で、大真面目に優勝を目指していたわけではないはずだ。本番はあくまでも1年後。そこで優勝するために、いま何をするべきか。ゴールから逆算して強化を図るその計画性に、堅実なドイツ人気質を見る気がする。今回のドイツから学ぶべき一番のポイントになる。
このように物事をある計画に基づいて忠実に推し進める気質、能力は、日本人も負けないものがある。ドイツと日本は実際、似ている箇所が多い、近しい人種と考えられる。サッカーもその中に含まれてものだと言いたくなるが、なかなか見えてこないのが現実だ。むしろ計画性の乏しさが目立つ。日本代表に、今回のドイツ代表のような真似はまず望めない。
代表チームはベストメンバーで戦うものーーという概念が、日本国内には必要以上に蔓延している。メンバーを落として戦うことを許さないムードだ。メンバーを落とせば、世間の関心は、選手の知名度に比例するので、その分だけ低下する。テレビの視聴率やスポーツ系新聞の売り上げ、ネットメディアのページビュー等々は伸び悩む。日本代表産業にかかわる人が、それを後押しすれば、商売にブレーキを踏むことになる。
その昔、シドニー五輪予選フィリピン戦で小野伸二が相手の悪質なタックルを浴び、大怪我を負うという事件があった。彼はそもそも、パラグアイで行われるコパ・アメリカに参加する日本代表のメンバーで、それが出発直前、急遽、協会の司令でU23チームに呼び戻され、フィリピン戦出場することになった。国立競技場のスタンドは、小野が出場するとあって39000人を集める大盛況。悲劇はそうした中で起きた。あれがなければ、小野はもっと偉大な選手になっていたと言いたくなる、まさに取り返しのつかない大怪我に見舞われたのだ。
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