「久保育成論」に別れを告げなければ、久保建英とヘタフェの本質は見えてこない。
ポジティブキャンペーンは、限界に達している。
ヘタフェのホセ・ボルダラス監督が、ビッグチームを相手にした試合で最後の交代カードを切ろうとしていた。ピッチサイドに立っていた選手の背番号は「5番」ではなく、「32番」だった。
ヘタフェのカンテラーノ(下部組織出身選手)であるホセテ・ミランダが、エネス・ウナルとの交代でピッチに入る。リーガエスパニョーラ第33節レアル・マドリー戦で、久保建英に出番は訪れなかった。
いまだに久保の起用法に不満を漏らしているメディアには驚くばかりだが、愚かな人間はさておき、ヘタフェはマドリーに0-0と引き分けた。1部残留に向けて価値ある勝ち点1をもぎ取ったのだ。
久保がカンテラーノに先を越された。実は、これはビジャレアルでも起きた現象だ。ジェレミ・ピノ、フェル・ニーニョといった選手がウナイ・エメリ監督の信頼を勝ち取った。
こういった話をすると、必ず出てくるのが、「久保育成論」だ。つまり、若い久保は試合に出られるチームに行き、大事に育ててもらうべきだという論である。
レンタル契約で加入している久保が、出場機会を得られないのは当然だ。したり顔で、そう語る者は少なくない。
今回は、まず、それを破壊する。
(全3203文字)
■契約期間にフォーカスする無意味さ
いきなりだが、本題に入る。現在、ヘタフェで今季終了時に契約が満了する選手が何人いるか、ご存知だろうか。
この記事は有料です。
誰かに話したくなるサッカー戦術分析のバックナンバーをお申し込みください。
誰かに話したくなるサッカー戦術分析のバックナンバー 2021年4月
税込550円(記事4本)
2021年4月号の有料記事一覧
※すでに購入済みの方はログインしてください。