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「久保育成論」に別れを告げなければ、久保建英とヘタフェの本質は見えてこない。

森田泰史スポーツライター
ヘタフェの久保(写真:ムツ・カワモリ/アフロ)

ポジティブキャンペーンは、限界に達している。

ヘタフェのホセ・ボルダラス監督が、ビッグチームを相手にした試合で最後の交代カードを切ろうとしていた。ピッチサイドに立っていた選手の背番号は「5番」ではなく、「32番」だった。

ヘタフェのカンテラーノ(下部組織出身選手)であるホセテ・ミランダが、エネス・ウナルとの交代でピッチに入る。リーガエスパニョーラ第33節レアル・マドリー戦で、久保建英に出番は訪れなかった。

ウォーミングアップする久保
ウォーミングアップする久保写真:ムツ・カワモリ/アフロ

いまだに久保の起用法に不満を漏らしているメディアには驚くばかりだが、愚かな人間はさておき、ヘタフェはマドリーに0-0と引き分けた。1部残留に向けて価値ある勝ち点1をもぎ取ったのだ。

久保がカンテラーノに先を越された。実は、これはビジャレアルでも起きた現象だ。ジェレミ・ピノ、フェル・ニーニョといった選手がウナイ・エメリ監督の信頼を勝ち取った。

こういった話をすると、必ず出てくるのが、「久保育成論」だ。つまり、若い久保は試合に出られるチームに行き、大事に育ててもらうべきだという論である。

レンタル契約で加入している久保が、出場機会を得られないのは当然だ。したり顔で、そう語る者は少なくない。

今回は、まず、それを破壊する。

(全3203文字)

■契約期間にフォーカスする無意味さ

いきなりだが、本題に入る。現在、ヘタフェで今季終了時に契約が満了する選手が何人いるか、ご存知だろうか。

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スポーツライター

執筆業、通訳、解説。東京生まれ。スペイン在住歴10年。2007年に21歳で単身で渡西して、バルセロナを拠点に現地のフットボールを堪能。2011年から執筆業を開始すると同時に活動場所をスペイン北部に移す。2018年に完全帰国。日本有数のラ・リーガ分析と解説に定評。過去・現在の投稿媒体/出演メディアは『DAZN』『U-NEXT』『WOWOW』『J SPORTS』『エルゴラッソ』『Goal.com』『ワールドサッカーキング』『サッカー批評』『フットボリスタ』『J-WAVE』『Foot! MARTES』等。2020年ラ・リーガのセミナー司会。

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