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バルサがクラシコを制した理由。モドリッチの「ゼロトップ」と、デンベレのアイソレーション。

森田泰史スポーツライター
競り合うアラウホとヴィニシウス(写真:ロイター/アフロ)

ビッグマッチは意外な結果に終わった。

リーガエスパニョーラ第29節で、レアル・マドリーが本拠地サンティアゴ・ベルナベウにバルセロナを迎えた。「クラシコ」と呼ばれる伝統の一戦はバルセロナが4−0で勝利している。

バルセロナのシャビ監督
バルセロナのシャビ監督写真:ムツ・カワモリ/アフロ

「我々は戻ってきた。そのように言えるかもしれない。楽しむべき、祝うべき1日だ。少し前まで、我々はなかなか喜びの感情を得られずにいた。だが、ここでテーブルに拳を叩きつけた。我々はレアル・マドリーと正面から戦った。サンティアゴ・ベルナベウで、だ」

「スペクタクルな試合だった。もっと点差がついてもおかしくなかった。5点目が入る可能性もあった。選手たちのトレーニングの様子や試合でのプレーを見て、私は心を動かされている。我々はレアル・マドリーを上回っていた。私はクレ(バルセロナのファン)であり、バルセロナの監督なんだ」

これは大勝した後のシャビ・エルナンデス監督のコメントである。

■レアル・マドリーのプラン

マドリーはカリム・ベンゼマとフェルラン・メンディが負傷欠場した。そのような状況で、カルロ・アンチェロッティ監督は“実験”を試みた。ルカ・モドリッチのファルソ・ヌエベ(偽背番号9/ゼロトップ)である。

マリアーノ・ディアス、ルカ・ヨヴィッチ、ガレス・ベイルといった選手が控える中で、アンチェロッティ監督はモドリッチをCFの位置に据えた。

モドリッチのCF起用によって、彼が中盤に降りてきてポゼッションを高めるというのがアンチェロッティ監督の算段だった。だが結論から言えば、それは失敗に終わった。

モドリッチはスピードとパワーに優れた選手ではない。そのモドリッチが最前線にいることで、マドリーは前線からのプレスが掛からなくなった。バルセロナのCB(ピケーエリック)に厳しくチェックに行く選手がおらず、全体的にラインがズルズル下がった。

マドリーは守備時に【4−1−4−1】を敷いてブロックを組んだ。しかしながら、ジェラール・ピケとエリック・ガルシアが自由にプレーをするバルセロナが、円滑にビルドアップで前進してくる。

マドリーは守備面で後手に回っていった。

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■デンベレの突破力とアイソレーション

一方、バルセロナは【4−3−3】で臨んだ。シャビ監督の基本布陣で、盤石のメンバーだった。

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スポーツライター

執筆業、通訳、解説。東京生まれ。スペイン在住歴10年。2007年に21歳で単身で渡西して、バルセロナを拠点に現地のフットボールを堪能。2011年から執筆業を開始すると同時に活動場所をスペイン北部に移す。2018年に完全帰国。日本有数のラ・リーガ分析と解説に定評。過去・現在の投稿媒体/出演メディアは『DAZN』『U-NEXT』『WOWOW』『J SPORTS』『エルゴラッソ』『Goal.com』『ワールドサッカーキング』『サッカー批評』『フットボリスタ』『J-WAVE』『Foot! MARTES』等。2020年ラ・リーガのセミナー司会。

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