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チャンスは年2回!新宿高島屋「名古屋直行便」とは?都内やお取り寄せでは買えない和菓子も揃い踏み

柳谷ナオ和菓子ソムリエ・ライター

日本三大和菓子処と言われる京都・金沢・松江。個人的にはもっと沢山あるのではないかと思っているのですが、その最たる場所として挙げられるのが「名古屋」。

名古屋といえば、味噌カツにひつまぶし、どて煮、あんかけスパなどなかなかこってりとした味から個性的なもの、そして徳川家康が愛してやまなかったという八丁味噌を使用したグルメが揃い、それと和菓子がどう結びつくのか?と思う方もいらっしゃるかと思います。

和菓子の普及の重大なキーポイントのひとつが、名古屋城の築城です。

一朶「さくら餅」
一朶「さくら餅」

徳川家康の天下となったのち、彼は自身の領土をより強固なものにすべく尾張・紀伊・水戸にそれぞれ名古屋城・和歌山城・水戸城を築きました。それらに入府したのは徳川御三家とよばれる徳川家康の息子たち。その中の筆頭ともよばれたのが、名古屋城の徳川義直でした。

その後すぐ「御茶道後御茶道頭」が命じられます。当時の茶道は外交において非常に重要な位置づけかつ武士のマナーでもありましたから、いかに質の高い茶道の知見や技術を有しているかというのも勢力を誇示するための要素。そしてお茶席に必要な和菓子もまた、レベルの高いものを求められてきました。

亀広良・桜餅二種類
亀広良・桜餅二種類

また、明治時代以降は文明開化と共に女性の間でも茶の湯が普及し、ニーズの多様化に伴い、それぞれのお店の繁栄や技術向上と結びついたのも理由のひとつかと。今も尚毎日のおやつとしての位置づけのものからお茶席用に誂えたもの、更にはご進物用として人気を博すレベルの高い和菓子が根付いているのではないでしょうか。

とろりとして非常に優しい甘味は、小豆の風味や味わいを大切にしているのが伝わります
とろりとして非常に優しい甘味は、小豆の風味や味わいを大切にしているのが伝わります

さて、やっと本題へ。

名古屋直行便と申しますのは、年に二回だけ新宿高島屋で行われる名古屋のお菓子の販売会。テレビ番組や雑誌、そしてモデルとしても大活躍の見目麗しい高島屋の和菓子バイヤー、キアラ・ジュンティーニさんが春。高島屋の和菓子を取り仕切る筆頭とも称すべき和菓子のバイヤー、そして「ニッポン全国和菓子の食べ歩記」(私の愛読書のひとつ)の著者でもあり、雑誌やメディア、ご自身のSNSでも活躍していらっしゃる畑 主税(はた ちから)さんが秋。配送されるものだけではなく、お二人が自ら名古屋の名店を回り、自身が運べる和菓子の限界(むしろそれ以上)を携えて都内で販売致します。

朝生菓子と呼ばれる餅菓子など、当日限りのお日保ちのものを購入できる機会ともあり、事前に高島屋公式サイトで予約可能な人気商品は予約開始から15分もせずに完売するほど。

また、予約不可の当日販売のみの和菓子もあるというのだから、ファンや故郷の味を求める人たちで大行列をなす一大イベント。

私も利用しているのですが、その中から一例をちらりと。

きた川「よもぎ羽二重」
きた川「よもぎ羽二重」

たっぷりの空気と卵白を抱き、まるで高級布団のようなふわふわの羽二重餅でも有名な「きた川」さんからは、ちょっと大人の「よもぎ羽二重」。きた川さんの名物に、こちらの唯一無二といっても過言ではない羽二重餅で苺とこし餡にお布団をかぶせたような見た目のいちご羽二重という和菓子があるのですが、今回は蓬を合わせた羽二重餅でこし餡を包んだもの。

しゅわしゅわと泡沫の如く口の中で羽二重餅が溶けていくスピードと同じ速さで蓬の清涼感も香り立ち、今までには無い新しいアプローチに驚きを隠せません。儚いのに凛とした蓬の芳香がはっきりとした輪郭を描きます。一般的な噛みしめるたびにじわじわと滲む草餅とはまた別格です。

そして、今回最も注目していたのが、蛙のマークでもお馴染みの外郎の老舗「青柳総本家」さんの「ひとくち生ういろう」です。

ひとくち生ういろう「ローズピーチ」
ひとくち生ういろう「ローズピーチ」

通常の外郎は生地を透明な容器に流し込み、密封してから蒸しあげたもの。生ういろうはできたての外郎をそのまま包装、もしくはカットしたもので瑞々しさが全く違います。その中でも一口サイズにカットされ様々な食材と合わせた見た目も鮮やかなひとくち生ういろうは、守山直営店とKITTE名古屋店かつお日保ちも当日中という限定品。

ひとくち生ういろう「吉野」
ひとくち生ういろう「吉野」

薫り高いバラに可憐な桃が包まれ、優雅なひとときを提供してくれる「ローズピーチ」、道明寺のういろうにたっぷりと散りばめられた白小豆、道明寺をあわせたういろうとなめらかなこし餡のういろう、ちょこんと桜の花の塩漬けでおめかしをして桜の葉の塩漬けを纏ったまるで桜餅のような「吉野」、そして私のお気に入りでもある愛知県の酒蔵、澤田酒造さんの酒粕をあわせたういろうとこしあんのういろうにオレンジを添えた「甘酒とオレンジの生ういろう」の三種類がお目見え。

ひとくち生ういろう「甘酒とオレンジ」
ひとくち生ういろう「甘酒とオレンジ」

甘酒の濃厚なふくよかさ、薫香は生の瑞々しさでなくてはならないものだと実感。しつこくなく、さらにオレンジの酸味や果汁が入り混じり、和のカクテルのような印象も。しずる感や迸る果汁を堪能できるういろう、珍しいでしょう?

他にも練り切りなどの季節の上生菓子から大福まで多彩なラインナップに、あれこれ迷ってしまうのではないでしょうか。

次回は秋。

栗やさつまいもに思いを馳せながら、また半年後の合戦…いえいえ、甘いひとときを楽しみにしようかと思います。

新宿高島屋をはじめ高島屋では他にも京都航空便などの企画が目白押しですので、ぜひ公式サイトをご覧になってみてくださいね。

ついいつもの約3倍の文章量となってしまいました。最後までご覧いただきありがとうございました。

柳谷ナオ

<新宿高島屋>
公式サイト(外部リンク)
東京都渋谷区千駄ヶ谷5-24-2
03-5361-1111
10時30分~19時30分

和菓子ソムリエ・ライター

■年間400種を優に超える和菓子を頂く和菓子ソムリエ&ライター。美味しさだけではなく、職人さんやお店、その土地の魅力をいかに伝えるかに重きを置いて執筆中! ■製菓衛生士免許所持・製造・販売・百貨店勤務経験有 ■和菓子・お取り寄せ・お土産・アンテナショップ・都内物産展&催事・和菓子とお酒&珈琲&ノンアルコールとのペアリングなどの執筆や取材、監修を得意としています。

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