「英国も」2009年1月1日以降に生まれた人に「タバコ販売を禁止」へ
英国政府は2023年10月4日、2009年1月1日以降に生まれた人へのタバコ販売を禁止する法律を導入する予定、と発表した。この法律が成立すると、早ければ2040年には、若い世代の喫煙がほぼなくなる。
英国政府によれば、喫煙は英国での最大の死因となっていて、喫煙が原因で年間約6万4000人が死亡しているとし、健康格差の最大の原因の一つでもあるという。また、喫煙は経済への負の影響も大きく、年間約3兆4000万円以上の損失を社会へおよぼしているが、今回の法律が導入されれば2075年までに最大で約15兆7000億円、英国経済を押し上げる可能性があると見積もっている。
今回のアナウンスの中で英国政府の保健・社会介護大臣ステファン・ポール・バークレー(Stephen Paul Barclay)氏は「喫煙は多くの人の命を奪い、医療制度に大きな負担をおよぼし、毎年多額の経済的な損失をもたらしている。今回の施策により、子どもたちの将来の健康リスクを削減し、医療制度を喫煙の脅威から守ることができるだろう。電子タバコについても若い世代をターゲットにしているマーケティングやフレーバー付き電子タバコを規制する用意がある」と語っている。
バークレー氏が言うように、英国政府は子どもの喫煙のゲートウェイになる危険性を持つ電子タバコの大規模な取り締まり施策をするための協議に入った。英国での電子タバコの喫煙者は、過去3年間で3倍に増えていて、健康上の大きな問題になっている。
電子タバコについては、EU諸国の中で最も電子タバコの喫煙者が多いフランス政府も規制に乗り出している。特に、甘い香料を添加したフレーバー付き電子タバコが若い世代に人気で、フランスでは17歳以上の半数が電子タバコを吸ったことがあると回答した調査もある。
また、年齢を区切ったタバコ販売規制は、すでにニュージーランドが導入している。ニュージーランドでは、今回の英国のアナウンスと同様、2009年1月1日以降に生まれた人に対するタバコ販売の禁止政策を実施。ニュージーランドは電子タバコなどの新型タバコについての規制はないが、代わりにタバコ製品に対するニコチンの総量規制(1グラムあたり0.8ミリグラム以下)を入れている。
各国がタバコ規制に動く中、日本には「たばこ事業法」という奇っ怪な法律が残存し、中年男性や女性の喫煙率も横ばいで減っていない。国民の健康や命を本気で考える政府は日本にはまだないようだ。