「謝ったら死ぬ病」の検察 喉元過ぎれば平然と熱さを忘れるのか
袴田事件の再審で検察が袴田巌氏の有罪を立証する方針だ。検察が起訴を取り消した大川原化工機事件の国賠訴訟では、捜査主任検事が非を認めず、謝罪も拒否した。河井克行元法相らを巡る選挙買収事件でも、特捜検事が取調べで利益誘導をしたり、証人テストで証言を押し付けたりした事実が明るみに出た。そもそも検察改革の原点は何だったのか。「謝ったら死ぬ病」におかされ、喉元過ぎれば平然と熱さを忘れるということでは困る。
袴田事件について
まず、袴田事件についてだが、すでにこの連載でも次のとおり繰り返し取り上げてきたところだ。
50年以上も前の事件であり、現場を見ていたわけでもないから、真相は分からない。それでも、DNA型鑑定の問題以外に、検察にとってマイナスに傾き、袴田氏にとってプラスに傾く証拠が数多く存在している。1968年の一審判決時に全て裁判所に示されていたら、間違いなく無罪になっていた。
違法不当で前近代的な取調べや卑劣な証拠隠しが二度と行われないようにするとともに、「疑わしきは罰せず」という刑事司法の基本原則に立ち返り、虚心坦懐にこの事案を見れば、無罪判決が導かれてしかるべきだ。検察としても、率直に非を認め、無罪論告をすべきではないかというのが持論である。
この記事は有料です。
元特捜部主任検事の被疑者ノートのバックナンバーをお申し込みください。
元特捜部主任検事の被疑者ノートのバックナンバー 2023年7月
税込1,100円(記事3本)
2023年7月号の有料記事一覧
※すでに購入済みの方はログインしてください。