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司法が再び証拠ねつ造に言及 袴田事件で問われる検察の「引き返す勇気」

前田恒彦元特捜部主任検事
(写真:つのだよしお/アフロ)

 袴田事件の再審請求差し戻し審で、東京高裁は捜査機関による証拠ねつ造の可能性に言及し、再審開始を認めた。検察は最高裁に特別抗告する方向で検討を進めているという。

崩壊した「検察ストーリー」

 1966年6月未明、当時の静岡県清水市にある味噌会社専務方が放火され、焼け跡から専務(当時41)、妻(同38)、次女(同17)及び長男(同14)がメッタ刺しにされた状態で発見された。この日は給料日だったため、専務方には多額の現金が置かれており、約20万円入りの集金袋1袋が行方不明となった。

 現場には焼け焦げた「くり小刀」の刃体と焼けずに落ちていた小刀用の鞘(さや)、黒色の雨合羽が残されていた。そのため、内部事情に詳しい者がこの雨合羽を着て専務方に忍び込み、「くり小刀」を使って金目当てに犯行に及んだのではないかと考えられた。

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元特捜部主任検事

1996年の検事任官後、約15年間の現職中、大阪・東京地検特捜部に合計約9年間在籍。ハンナン事件や福島県知事事件、朝鮮総聯ビル詐欺事件、防衛汚職事件、陸山会事件などで主要な被疑者の取調べを担当したほか、西村眞悟弁護士法違反事件、NOVA積立金横領事件、小室哲哉詐欺事件、厚労省虚偽証明書事件などで主任検事を務める。刑事司法に関する解説や主張を独自の視点で発信中。

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