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月を愛でよう! 今年は9月13日が中秋の名月

縣秀彦自然科学研究機構 国立天文台 准教授
月見は古来からの風習ですが、月に注目する人々が増えつつあります。 提供:NAOJ

9月13日はお月見を

明日(9月13日)は「中秋の名月」です。全国どこからでも晴れていれば、満月一日前のほぼ丸い十五夜の月を見ることが出来ます。

「中秋の名月」とは、太陰太陽暦(いわゆる旧暦)8月15日の晩の月のことです。この晩のお月見の習慣は、中国から平安時代に伝わってきたそうです。

今年の中秋の名月の見え方 (国立天文台ほしぞら情報より引用)
今年の中秋の名月の見え方 (国立天文台ほしぞら情報より引用)

どうして満月ではないの?

今月、満月は翌日の9月14日です。なぜ、中秋の名月(十五夜)と満月が一致していないのでしょうか?

月の満ち欠けを暦の基準として用いる「太陰太陽暦」では、新月の日が、その月の一日目すなわち朔日(ついたち)と決めています。今年のカレンダー(太陽暦)上で8月30日が、太陰太陽暦での8月1日(朔日)でした。このため、月が次第に満ちて十五夜にあたる日は9月13日となります。古くからの風習である中秋の名月の観賞(お月見)はこのため13日(金)の晩となります。一方、天文学的な意味での満月は、地球から見て月と太陽が反対方向になった月のことで、9月14日に満月となります。このことは特別なことではなく、中秋の名月が満月になることのほうがじつはとても稀なのです。詳しくは、国立天文台暦計算室の暦wiki「名月必ずしも満月ならず」をご覧下さい。

9月14日は今年最小の満月

月は地球の周りを公転する衛星です。およそ27.3日間で一公転しています。その間に地球自身も太陽の周りを公転しているので、太陽-地球-月の相対的な位置関係が等しくなるまで、すなわち、満ち欠けの周期は29.5日(約ひと月)となります。

地球を回る月の軌道は真ん丸ではなくやや楕円の形をしているため、地球と月との距離は常に一定なのではありません。さらに月が地球に最も近づく位置(近地点)や最も遠ざかる位置(遠地点)での月までの距離は、毎回異なります。満月における地心距離(地球の中心から月の中心までの距離)は、およそ35万6千kmから40万6千kmの間で変化します。このため、最も大きな満月は最も小さな満月に比べて、約14%も見かけ上の直径が大きく見え、明るさも約30%も違います。しかし、満月の大きさや明るさの違いは、写真に撮ってわかる程度で、通常の肉眼での観察ではその差は認識できないことでしょう。

今年最も大きな満月は2月20日でしたが、2019年で最も小さな満月となる9月14日には、月は、9月13日22時32分に遠地点を通過し、9月14日13時33分に満月となります。満月の瞬間の地心距離は約40万6千kmです。

見かけ上の満月の大きさの違い (国際天文学ほしぞら情報より引用)
見かけ上の満月の大きさの違い (国際天文学ほしぞら情報より引用)

本記事は国立天文台ほしぞら情報を元に記述しています。より詳しい解説は、国立天文台ほしぞら情報をぜひご活用ください。

自然科学研究機構 国立天文台 准教授

1961年長野県大町市八坂生まれ(現在、信濃大町観光大使)。NHK高校講座、ラジオ深夜便にレギュラー出演中。国際天文学連合(IAU)国際普及室所属。国立天文台で天文教育と天文学の普及活動を担当。専門は天文教育(教育学博士)。「科学を文化に」、「世界を元気に」を合言葉に世界中を飛び回っている。

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